新たな目標を見すえて

―質問1 2008年度の業績は大幅に計画未達となりましたが、厳しい経営環境の中での今後の経営方針・経営計画についてはどのように考えているのでしょうか?
2008年度は、2006年度から始まった3カ年の中期経営計画「STEP UP 2006」の最終年度でしたが、前半は原油価格の高騰による原料およびエネルギーのコストアップの影響を大きく受け、また、後半は世界同時不況の影響による末端消費の大幅な冷え込みや円高による打撃を受け、利益計画は大幅に未達となりました。
景気の底が見えない現状にあって、帝人グループも未曾有の危機的状況の真っ只中にあります。キャッシュフローを確保すべく、グループ内に「非常事態宣言」を発し、生産設備の操業短縮を継続するとともに、大型設備投資の凍結や在庫の圧縮、経費の徹底削減などを図っています。
経営基本方針について
短期と中・長期とに分けて経営方針および経営戦略を策定しました。
短期的には、事業構造改革を加速し、事業環境が悪化するなかにあっても、速やかな収益性回復と、キャッシュフローおよび財務健全性の確保をめざします。
中・長期的には、「グローバルエクセレンスの獲得」をめざし、先端材料・複合材料、バイオ素材やリサイクルシステムなどを通じて軽量化・安全・エネルギー再生などのソリューション提供を行う「グリーンケミストリー」事業と、大型新薬・次世代医薬品・新規在宅医療サービスなどのソリューションを提供する「ヘルスケア」事業により持続的な成長をめざしていきます。
これらの実現を加速するためには、次のような事業構造および組織体制の革新が必要となります。
- 技術開発や技術改良を基盤として、「自力成長」できる体制を強固にします。
- 景気やエネルギー価格などの影響を受けにくい事業構造をめざしてソリューション事業の拡大を図り、また、世界の成長地域に向けた事業の幅出しを推進します。
- 2003年より継続してきている持株会社制のあり方や、より迅速な意思決定に向けた審議体のあり方を見直し、競争戦略、技術戦略、人財活用の上で最適な体制構築を模索していきます。
- グループの経営基盤である公正、公平、透明性、迅速性を維持、改善していきます。
―質問2 昨今の経営環境悪化により、グループのCSR経営に変化はありますか?
CSRに対する基本的な考え方や姿勢は変わりません。帝人グループは、将来「グローバルエクセレンスの獲得」をめざしていますが、そのためには「優良なコーポレート・ガバナンス」と「企業の社会的責任を果たすCSR」をベースとして、「帝人らしさ」ともいえる企業ブランドを確立していることが必須です。そのうえで、展開する事業がグローバルに認知され、顧客から愛されているという状況を実現していきたいと思います。事業規模や経営効率もエクセレンスを表す指標ではありますが、それらが絶対的な基準であるとは考えていません。
CSRの具体的な施策については、重要性や緊急性を精査したうえで、さらに戦略的・効率的に運営していきたいと考えています。とくに現下の厳しい経営環境のもとでは、各生産拠点で大幅な操業短縮が行われていますので、安全、防災、品質などへの特段の注意が不可欠です。グループ社員全員のコンプライアンスやリスクに対する意識をより一層高めながら、マネジメントしていく必要があると考えています。
―質問3 これからの経営において、CSRの観点から重要課題となるのはどのようなことでしょうか?
いくつかの重要なポイントについてコメントしたいと思います。
「環境経営」の推進
私たちは2007年に「環境経営宣言」を発表して、「環境保全」「環境配慮設計」「環境ビジネス」を3本柱とする一連の環境方針を定めました。本年は温暖化国際交渉の節目の年でもあり、私たちも上記3本柱により環境経営を一層前進させます。
CO2の排出量については、2020年度までに1990年度対比国内で20%以上削減することを目標としています。当面、排出権取引には参加せず、自力での絶対量の削減を図ります。原燃料については、石油依存を低減し、代替原燃料への転換を推進します。環境配慮設計については、ガイドラインに沿った製品づくり、プロセスづくりを強化し、現場の開発活動のなかに根付かせていくことが重要です。また、環境ビジネスとしては、先端材料・複合材料、バイオ素材やリサイクルシステムなどを通じて軽量化・安全・エネルギー再生などのソリューション提供を行う「グリーンケミストリー」事業を推進していきたいと考えています。
人財・労働CSR
ワークライフバランスやダイバーシティの推進がますます重要になってきています。ワークライフバランスに関する施策を推進していくためには、やはり生産性向上に結びつく仕組みとの合わせ技を研究し、拡大していく必要があります。一方、ダイバーシティについて考える場合は、帝人グループで働く人たちの構成を認識しておく必要があります。現在、外国籍社員の比率は45%におよび、社員の半分を占めようとしています。また、女性管理職の比率は、現状ではわずか2.9%と低い水準ですが、これを計画的に増加させていきたいと考えています。これからの知識産業社会や少子化傾向を考えますと、ワークライフバランスとダイバーシティを推進することが、グループの持続的成長にとって大変重要であると思っています。
購買・調達CSR
帝人グループは、社会のサプライチェーンのなかで有機的な活動を行っており、その中でイニシエーター(創始者)の役割も担っています。そして、このような立場から、社会の要請に従い、取引先を巻き込んでCSR活動を推進していくことが必須であると認識しています。そこで私たち帝人グループでは、取り扱う原材料などの購買・調達に関して、サプライヤー共々満たしていくべきCSR調達ガイドラインを設定し、CSR調達の推進に取り組んでいます。産業界においてCSR基準の確立に向けた努力が払われている中にあって、帝人グループは自らが社会変革のイニシエーターの役割を担っていきたいと考えています。
CSRイノベーション
今後は、ステークホルダーを巻き込んで、社会的あるいは環境配慮的な新しいビジネスモデルを創出することがますます必要になってきます。帝人グループには、こうしたCSRイノベーションのすばらしい事例として、ポリエステル製品の循環型リサイクルシステム「エコサークル」がありますが、これに続く第二、第三の新たなビジネスモデルの創出を意欲的に進めていきたいと考えています。
ステークホルダーの皆様には、より一層のご理解、ご支援を賜りたく、心よりお願い申し上げます。




