中長期経営ビジョン

帝人グループは、厳しい事業環境の中、将来の社会が求める新たな価値を創出するための「発展戦略」と、それを支える事業体に転換するための「抜本的構造改革」に取り組んでおり、これらを同時に実行することにより、2012年策定の中長期経営ビジョン「CHANGE for 2016」に掲げた長期ビジョン「ソリューション提供型事業体への進化」を目指して強力に推進しています。

こうした中、帝人グループを取り巻く事業環境の変化と、抜本的構造改革への取り組みを反映して、2012年策定の中期経営計画を修正し、徹底してその必達を目指していきます。

中期経営計画修正の背景

市場ニーズの複雑化・多様化および商品ライフサイクルの短期化、グローバル競争の激化による素材全般の需給バランス失調、医療費抑制圧力の強まりなどの事業環境変化の中、帝人グループは、赤字体質事業に対して抜本的な対策を講じるとともに、将来の発展に向けた基盤整備のため、踏み込んだ事業構造改革、および発展戦略の実行体制の再整備を行います。これらを反映し、2016年度の経営目標を再設定することとしました。

中期経営計画修正のポイント

帝人グループは、修正中期経営計画の達成、および将来の発展に向けて、2016年度までに次のことをやり切ります。

構造改革: 課題事業に対する抜本的改革を断行

構造改革効果として、フル発現時において175億円/年(2014年対比)の収益改善を見込みます。一方、一時損失が440億円発生し、2014年度に処理を行います。これにより、構造改革に伴う一時損失は概ね出尽くしたことになります。

収益目標(2016年度): 営業利益500億円、当期利益ROE8%

重点戦略事業である高機能繊維・複合材料事業、ヘルスケア事業の成長と、事業構造改革の効果により達成します。

発展戦略: 「複合化」と「融合」による「ソリューション提供」の実現に向けた重点資源投入

2015~2016年度累計で1,000億円規模の発展戦略投資を行います。また、既に着手している熱可塑性CFRP、先端医療材料などに加え、高機能素材、ヘルスケア、ITの事業間融合領域を中心に複数の新規プロジェクトを立ち上げ、事業化を強力に推進します。

事業構造改革の取り組み

素材事業において、競争力を強化するための生産体制再編と、汎用品ビジネスを縮小して成長分野に経営資源を集中するための構造改革を断行し、赤字体質事業に対する抜本的対策を2016年度中に完了します。

また、収益低迷が続く米国の在宅医療事業においても、今後、抜本的な対策を講じ、帝人グループ全体で、2016年度には130億円、フル発現時には年間175億円の収益改善を見込んでいます。

電子材料・化成品事業における高付加価値分野への特化

樹脂分野では、需給バランスの失調が継続し、採算が低下している状況を踏まえ、エネルギーコスト競争力が劣るシンガポールのポリカーボネート生産工場を2015年12月末までに撤収し、汎用品ビジネスを縮小します。今後は、競争力のある中国子会社と、高機能品の開発に適した松山工場の2拠点体制に移行し、コンパウンド技術と加工技術を活かして、強みである事務機器・エレクトロニクス分野に加え、自動車、住宅設備、インフラ、高機能光学分野などで新規高付加価値品ビジネスの拡大を目指します。

フィルム分野では、今後、競争力を強化するための抜本的な生産体制見直しを実行するとともに、アジア拠点への生産移管を拡大し、超多層、耐熱、ハイバリア、圧電といった高機能フィルムの活用により、高機能ガラス、 電池分野、センサー分野などの新規用途展開を加速していきます。

高機能繊維事業の競争力強化

メタ系アラミド繊維では、2015年央に立ち上げ予定のタイの新工場を通じ、防護衣料向けを中心にアジアでのビジネス拡大を図ります。

ポリエステル繊維では、大きな成長が見込まれるアジア地域でのサプライチェーン構築・強化に向け、タイにおいて新たにタイヤコードの生産・販売会社を設立するとともに、既存工場の能力増強を行います。一方、国内の生産体制は、岩国事業所・三原事業所・徳山事業所の生産機能を松山事業所およびタイの子会社に移管し、国内での顧客対応力を維持しつつ、コスト競争力の強化を図ります。そして移管完了後、2017年度末を目途に、徳山事業所を閉鎖、岩国事業所・三原事業所の工業繊維および加工生産工場を停止します。

また、人工皮革は三原の不織布工場を島根工場に移管し、国内一貫生産体制を構築します。

原料・重合部門の抜本的見直し

コスト競争力の回復が困難な原料からのポリエステル製品生産モデルを見直し、昨年度実施したパラキシレンの生産停止に続き、DMT(テレフタル酸ジメチル)の自社生産を2015年度末までに停止します。また、松山事業所北地区・南地区のポリマー生産を北地区に集約します。

コストダウンの取り組み

これまで原燃料費、物流費・販管費などの経費削減といった即効性のある施策を中心にコストダウンを推進してきており、2014年度中には構造改革効果170億円と合わせ、修正前の中期経営計画における2016年度までの削減目標である400億円(2011年度対比)をほぼ達成します。さらに今後も、構造改革後の国内事業所の業容に応じたユーティリティ構造の見直し、革新的生産プロセスの開発、銘柄統廃合と既存設備の生産性向上などへの資源投入をはじめとするコストダウン活動を推進し、2016年度までに構造改革効果と合わせ、さらに180億円(2014年度対比)の効果発現を目指します。

発展戦略の取り組み

帝人グループを取り巻く事業環境変化の中、既存事業の延長線上では利益ある持続的な成長の実現が難しいため、高機能素材、ヘルスケア、ITという3つの異なる事業の強みを複合化したビジネスモデルの変革により、新たな高収益事業の創出に向けた発展戦略を展開していきます。

帝人グループの強み

帝人グループは、高機能素材、ヘルスケア、ITの各領域において、優位性を支える次のような強みを有しています。

  • 【高機能素材】
    高品質と低コストを両立する量産化技術と複合化技術
  • 【ヘルスケア】
    在宅医療事業の顧客基盤とサービス体制、医療分野の研究開発に関する知見
  • 【IT】
    ネットビジネスや病院基幹システムで培ったサービス開発スピード

マクロトレンドから見たビジネス機会

「環境・省エネ」「安心・安全・防災」「少子高齢化・健康志向」といったマクロトレンドから、帝人グループが有する強みをビジネス機会へとつなげていきます。

  • 【環境・省エネ領域】
    自動車の燃費性能を高める軽量素材、環境負荷の低い二次電池部材 など
  • 【安心・安全・防災領域】
    構造物強化素材、構造物などの劣化診断、モニタリング・サービス など
  • 【少子高齢化・健康志向領域】
    在宅医療/介護を支援するサービス、先端医療材料、健康維持・増進に寄与するコンテンツサービス など

事業間融合による新規ビジネスの創出

「高機能素材による顧客価値の実現」「モニタリング・サービスの横展開」「在宅医療モデルの横展開・市場創造」「生体適合医療材料の実用化」といった成長コンセプトに沿って、帝人グループとしての重点領域を見定め、新規ビジネスの創出を強力に推進していきます。

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発展戦略の主要施策

研究・開発機能の再編・強化

松山事業所を研究・開発の中核拠点とし、事業横断のソリューション開発機能の中枢とします。具体的には、大阪研究センターの機能を松山事業所に統合(大阪研究センターは閉鎖)し、繊維素材開発、エンジニアリングとの機能連携強化により、高機能繊維分野のソリューション開発機能の強化を図ります。また、松山事業所に商品開発センターを新設し、本年中国に開設した商品開発センターとともに、国内外で商品開発機能を強化します。

重点的な資源投入

重点戦略事業、新規事業の拡大に向けて経営資源を重点的に配分し、2015~2016年度累計で1,000億円規模の発展戦略投資を、M&Aを含め、熱可塑性CFRP、電池部材、先端医療材料などの重要プロジェクトに投入します。

「イノベーション・プロジェクト」の企画・推進

ビジネスモデル変革と持続的な収益獲得が期待できる事業横断プロジェクト推進のためのタスクフォースを編成し、全社的なバックアップのもとで強力に推進します。

社外との連携加速

ビジネスモデル変革の推進に向け、グループ内で充足できないリソースについて、外部との提携を強化します。

中期経営目標

これらの施策を実行することにより、2016年度の経営目標として、売上高8,000億円、営業利益500億円、当期利益ROE8%の達成を目指します。

また、将来的には、「ヘルスケア」および「複合/高機能材料」を主要2事業とする企業体として、2020年度には当期利益ROE10%超を目指します。

グループ全体目標

 

2014年度
(見通し)

2016年度
(修正目標)

2016年度
(修正前)

売上高 7,800億円 8,000億円 13,000億円
営業利益 250億円 500億円 1,000億円
営業利益率 3% 6% 8%
当期純利益

△200億円

250億円 600億円
営業利益ROA 3% 6% 8%
当期純利益ROE 8% 12%
D/Eレシオ 1.1 1.2
  • 当資料に記載されている内容は、種々の前提に基づいたものであり、記載された将来の計画数値、施策の実現を確約したり、保証するものではありません。