| 2010年1月25日 |
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消防職員の命を守る! ナノ構造ファイバーを使用した消防服素材を開発 | |
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独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO) 帝人テクノプロダクツ株式会社 ホソカワミクロン株式会社 | |
NEDOのナノテク・先端部材実用化研究開発事業の一環として、帝人テクノプロダクツ株式会社とホソカワミクロン株式会社は、ナノ構造ファイバー*1を適用した遮熱性・快適性に優れた消防服素材を開発しました。 開発したのは、熱伝導に寄与するナノサイズの炭素系超微粒子をアラミド繊維*2に複合化したナノ構造ファイバーから成る繊維素材で、この素材を使用することで、消防服の軽量化や火傷の進行抑制が可能となります。 *1 ナノ構造ファイバー:表面や内部構造がナノオーダーで制御された繊維状物質の総称。 *2 アラミド繊維:一般的に高強力、耐熱性、寸法安定性、耐薬品性などの特性を持つ高機能繊維のひとつ。
1.開発の背景 近年、消防活動のスタイルは、財産や人命の救助、延焼防止のため建物内に進入し、火源に極限まで接近して効率的に消火する傾向にあります。そのため、消防職員の安全な活動に寄与する消防服には、(1)消火活動時に火災から発生する炎・熱から身を守る遮熱性、(2)消火活動中の疲労や熱中症防止などの身体的負担を軽減させるための快適性、という主に二つの機能が求められますが、これまでの消防服は、遮熱性または快適性のどちらかに重点が置かれ、これらを高いレベルで両立することは困難でした。 こうした中、帝人テクノプロダクツとホソカワミクロンはNEDOのナノテク・先端部材実用化研究開発事業(ナノテクチャレンジ)のテーマの一つとして「ナノ構造ファイバーを適用した遮熱、耐熱、快適性に優れる先進消防服の開発」に共同で取り組んできました。 また、ナノ構造ファイバーの解析や評価方法、粒子分散方法などについては、東京工業大学の谷岡明彦教授、東京農工大学の神谷秀博教授の指導を受け、産・官・学連携での取り組みを進めてきました。
2.開発の内容 先進消防服の開発には繊維素材の機能向上が不可欠であり、この研究では、多機能ナノ粒子を複合化したナノ構造ファイバーの開発を行いました。
| (1) |
多機能ナノ粒子および粒子の表面処理技術の開発 ホソカワミクロンは、多機能ナノ粒子の開発と粒子表面処理技術の開発を担当し、アラミド繊維中へ均一分散を可能とする遮熱性に優れたナノ粒子の開発と製造条件を確立しました。 |
| (2) |
ナノ構造ファイバーの開発 帝人テクノプロダクツは、ホソカワミクロンが開発した多機能ナノ粒子を、アラミド繊維中に複合化したナノ構造ファイバーを開発しました。また、このナノ構造ファイバーを生地化し裏地として使用した消防服向けの積層構造体を開発しました。 | 3.開発素材の特徴 開発した素材は、「最外層」「中間層」「遮熱(最内)層」と呼ばれる3層構造から成る消防服のうち、肌への熱を遮蔽する機能が求められる遮熱層に相当する裏地に使用される繊維素材です。これは、アラミド繊維「テクノーラ*」の繊維内に、ホソカワミクロンの有する高度な粒子表面処理技術と帝人テクノプロダクツの混練・製糸技術を用いて、ナノサイズの炭素系超微粒子を均一分散することで、熱伝導率を通常のアラミド繊維よりも大幅に高め、熱拡散機能を付与することで遮熱性能の向上を図りました。 熱拡散機能により、火炎や熱に曝された際に消防服内に侵入した熱を分散・放熱し、ナノ構造ファイバーを適用しない場合との比較で、約40%の火傷*3抑制の改善が見られます。(下記写真・図参照<帝人テクノプロダクツ調べ>)また、従来の消防服用裏地と比較して、同じ遮熱レベルであれば生地を15%軽量化することが可能です。 性能試験の結果、これまで両立することが困難とされていた、世界で最も厳しい*4とされる北米の消防服性能*5と、世界最高レベルといわれる日本の消防服の快適性能*6の相反する機能を、高いレベルで両立することに成功しました。
| *3 |
ここでは、2度火傷(傷害部位:基底層~真皮)、および3度火傷(傷害部位:皮下組織)を指します。 |
| *4 |
1999年国際標準化機構から国際規格として定められたISO11613:1999「消防士用防護服-試験方法と性能要求」には北米型と欧州型の二つの規格が併記されています。北米型がより高い防護性能を要求するのに対し、欧州型は快適性を重視しています。日本では、欧州型に準拠した(財)日本防炎協会防火服性能基準があります。 |
| *5 |
ISO17492準拠の「Thermal Performance Property (TPP)」試験によるもの。 |
| *6 |
ASTM F1868準拠の「総熱損失;Total Heat Loss(THL)」というヒートストレス緩和機能を評価する試験によるもの。 |
 4.今後の展望 今後はこの繊維素材の量産技術の確立を推進し、消防服への実用化を目指します。また、このアラミド繊維ベースのナノ構造ファイバーは、繊維内部に分散させる機能性ナノ粒子の種類を変えることで、アラミド繊維の物性を損なうことなく、導電性や電磁波遮蔽性など、様々な機能を付与することが可能です。一例として、チタニア・シリカ系の無機複合ナノ粒子の添加により、難燃性の向上とともに熱収縮抑制を実現しており、これまで有機材料が使用できなかった様々な用途への水平展開が期待できます。
5.特許出願 7件
6.お問い合わせ先 (本プレス発表の内容についての問い合わせ先) ホソカワミクロン株式会社 広報・IR室 TEL 072-855-2226 帝人株式会社 広報・IR室 (東京) TEL 03-3506-4055 (大阪) TEL 06-6268-2763 (NEDO制度内容についての一般的な問い合せ先) NEDO ナノテクノロジー・材料技術開発部 勝又、 安井、半沢 TEL 044-520-5220 FAX 044-520-5223 (その他NEDO事業についての一般的な問合せ先) NEDO 広報室 萬木(ゆるぎ)、田窪 TEL 044-520-5151
※「テクノーラ」は帝人テクノプロダクツ株式会社の登録商標です。
以 上 |
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