2017年3月 8日

優れた耐摩耗性、耐候性の付与が可能

自動車用樹脂窓のハードコート技術を開発

帝人株式会社(本社:大阪市中央区、社長:鈴木 純)は、実車サイズの大型の樹脂窓や曲面が複雑な樹脂窓に、ガラス並みの高い耐摩耗性と、従来品の2倍という優れた耐候性を付与することができる、新たなハードコート技術を開発しました。これにより、自動車窓の樹脂化を大きく加速することが期待されます。

今後、早期の事業化に向け、松山事業所(愛媛県松山市)のパイロットプラントにおいて量産化を見据えた生産技術の確立に取り組んでいきます。

1.開発の背景

  • (1)自動車業界では、車体軽量化に向けた取り組みの1つとしてガラス窓から樹脂窓への転換が進んでおり、近年はバックウィンドウやサイドウィンドウなど、より高い耐摩耗性が求められる窓について樹脂化のニーズが高まっています。しかし、ポリカーボネート(PC)樹脂はガラスに比べて耐摩耗性が低く、窓の開閉やワイパーなどにより表面が傷つきやすいことが大きな課題となっていました。
  • (2)加えて、自動車保安基準が改正され、2017年7月から国内で発売される新車種の窓にはより高い耐摩耗性が求められるようになりますが、樹脂窓の一般的なハードコート法である「ウェット法」では、新基準で要求される耐摩耗性を満たすことができません。
  • (3)また、PC樹脂は紫外線などに長時間晒されると黄変しやすいため、外装部品に使用する際には耐候性が課題となっていました。
  • (4)こうした中、当社はウェット法でハードコートしたPC樹脂に、「プラズマCVD法(*)」と呼ばれる方法でハードコートを追加することにより、ガラス並みの高い耐摩耗性と優れた耐候性を付与する技術を確立しましたが、対応可能なサイズが0.3m2強に限定されることや、複雑な曲面へのコーティングが難しいことなどから樹脂窓への実用には至っておらず、ソリューションとなる新たな技術が求められていました。
     
    (*)プラズマCVD法: ハードコート材料をガス化し、対象物の表面にコーティングする方法。

2.新しいハードコート技術について

  • (1)大型で曲面が複雑な実車サイズに対応
    産業機械メーカーである月島機械株式会社と共同開発したハードコーティング設備を活用することにより、プラズマCVD法によるコーティング可能サイズが従来の3倍に相当する1m2強まで拡大し、実車サイズの大型樹脂窓や複雑な曲面を有する樹脂窓にも均一にコーティングすることが可能となりました。
  • (2)新保安基準を満たす高い耐摩耗性
    プラズマCVD法によるハードコーティングにより、ガラス並みの耐摩耗性を実現しました。これにより、2017年7月より適用される新保安基準や、アメリカやEUで求められる耐摩耗性を満たすことができます。
  • (3)優れた耐候性
    独自の技術によってCVD層の密着性を高め、酸素や水蒸気の浸透を防ぐことで、下地となるウェットハードコート層の劣化を抑制します。この層には樹脂の劣化原因となる紫外線を吸収する機能があるため、ウェットハードコートのみを施した場合に比べて、劣化や変色までの時間を倍増させることができます。

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3.今後の展開

  • (1)今後、パイロットプラントを活用し、実車サイズのサンプル試作や限定車向けの少量生産など、用途や生産数を限定した製品提供体制を段階的に整備していきます。さらに、量産化を見据えた生産技術の確立に取り組み、早期の事業化を目指します。
  • (2)当社は、2017年度から始まる中期経営計画において、環境規制を背景とした車体軽量化ニーズに応えるため、軽くて強い高機能素材やそれらの複合化による事業拡大を発展戦略の1つとして掲げています。このたび開発したハードコート技術による樹脂窓の事業化や、本年1月に完全子会社化した北米最大の自動車向け複合材料成形メーカー「Continental Structural Plastics社」との連携などにより、素材サプライヤーから、車体軽量化やマルチマテリアル化を総合的に提案できる部品供給パートナーへの変革を目指します。

 

  • 当件に関するお問い合わせ先
    • 報道関係のお問い合わせ先
      帝人株式会社 コーポレートコミュニケーション部 03-3506-4055
    • その他のお問い合わせ先
      帝人株式会社 樹脂事業本部 企画部 03-3506-4306

 

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