帝人株式会社 専務取締役 CHO 高野直人からのメッセージ
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人財観から見る、帝人グループのアイデンティティー
帝人グループでは、「ジンザイ」に「人財」という漢字を当てています。それは、企業経営というものは、戦略、ブランド、技術、商品、サービス、すべて人が源泉となり生み出されるものです。
人こそが企業にとって価値を生み出す最大の財産だからです。
また、私たちの企業理念に「社員と共に成長します」とあるように、その財を積極的に磨き続けることで、その価値を一段と発揮させることを高らかに宣言しています。
同時に、人は会社にとっての財である前に、社会にとっての財でもあることを忘れてはなりません。同じく企業理念「社会と共に成長します」には、そんな想いも込められています。
私たちは、地球環境との共生をはじめとした、社会との調和を保ちながら、社会に生きる一人ひとりの「Quality of Life(生きていることの価値)」を向上させる製品・サービスを提供し、再び社会に還元していくべき存在であり続けたいと考えています。
これが、私たち帝人グループの根底に流れる考え方です。
CHOの仕事の原点
1969年春。新入社員の私は、山口県の徳山工場に配属が決まりました。
この地から始まった、足かけ8年にわたる、ものづくりの現場での「人事労務管理」の仕事が、私の原点だと言えるでしょう。
当時は、高度成長期の終えん~オイルショックといったキーワードでくくられる時代です。そんな時代の節目を工場で働く仲間たちとともに過ごす中で、私の視野は自然と、彼ら自身のみならず、彼らの家族、彼らの生きる地域社会にまで広がっていきました。
そして、製品を世の中に提供するだけがメーカーとしての社会貢献ではなく、ものづくりという活動自体が、雇用を生み、それに関わる人々の生活に直結していくという、社会との共生というサイクルに気づかされたわけです。
こうして、人々の「働く」ことをサポートし、豊かさをもたらす「人事労務管理」という仕事に大きな使命感を抱いて、会社生活をスタートさせました。
がむしゃらに駆け抜けてきた40年間、CFO(Chief Finance Officer、グループ財務責任者)を経て、現在、CHO(Chief Human Resources Officer、グループ人財責任者)を務めているわけですから、これには縁を感じずにはいられません。
4つの“ション”と1つの“エイチ”
私が仕事・人生の指針としてきた「4つの“-tion”と1つの“H”」というコンセプトを紹介して、学生の皆さんへのメッセージとさせていただきます。
- 1つ目の"-tion"は、Vision(理想像・ゴール)。
- ビジョンなき人生は、目的地も決めずにふらふら歩くようなもの、未来はありません。
- 2つ目の"-tion"は、Decision(意思決定・決断)。
- 「チャンスの神様は前髪しかない」と言いますから、もたもたしていては、機を逃します。ビジョンに従って、熟慮した上での決断が欠かせません。
- 3つ目の"-tion"は、Execution(実行)。
- 一度決定したはいいものの、議論をこねくり回しているだけでは机上の空論。とにかく実行しなくては始まりません。
- 4つ目の"-tion"は、Passion(情熱)。
- 困難に立ち向かうとき、幾多の試練を乗り越え完遂させるとき、最後の分かれ目はやはり情熱なのです。
そして、これら4つの"ション(-tion)"のベースとなるのが1つの"エイチ(H)"、Humanity(人間性)です。仕事は一人でできるものではありませんし、社会も一人で生きられるものではありません。当然、大きな成果を手にするためには、周囲を巻き込むことが欠かせません。そのときに試されるのが、自分自身の人間性です。
この人間性のもとになるひとつの要素は、幅広い教養だと私は考えています。教養とは哲学や歴史認識と言い換えても良いと思います。また教養は、一朝一夕で身につくものではありません。じっくり焦らず身につけていただければ結構です。決してつまらないノウハウ本でわかった気にならないでください。一番身につきやすい知識は、一番早く陳腐化してしまうものです。
若者よ、体当たりでビジョンを見い出せ
最近の若者は夢がないとか、希望がないとか言われているようですが、私は決してそうは思いません。ただ、先ほどの「4つの"-tion"と1つの"H"」の入り口である Vision でつまずいているだけのように思えます。
ビジョンは、降ってわいて出てくるものではありませんし、目的もなくふらふら「自分探し」をしても見つかるものではないでしょう。何度も、現実と真っ正面からぶつかり、はね返されて、徐々にクリアになっていくものです。
人間の成長についても同じことが言えます。人間の成長をグラフで表すと、一次関数のような直線的なものではなく、階段のような軌跡を描くというのが私の実感です。
この踊り場は、グラフで示せば、停滞ですが、ここでいかに思考するか、いかに行動するかということが重要です。深く考え、積極的に動いていれば、あるとき、ポンと階段を上れます。
長い人生で、何度も踊り場に遭遇すると思いますが、その積み重ねの先に大きな成長があります。逆に言えば、踊り場でへこたれてしまったり、人や環境のせいにしてしまったら終わりです。自分自身で解決していくしかないのです。
まずは恐れることなく、ぶつかっていきましょう。そこにあなたの進化と未来があります。
帝人株式会社 専務取締役 CHO








