サステナビリティ

企業倫理・コンプライアンス

帝人グループは、「コンプライアンスの推進は健全な企業風土を形成する活動である」という考えの下、帝人グループの役員および社員が高い倫理観を持ち、責任ある行動をとるよう徹底しています。

基本的な考え方

「Integrity=常に正しく行動すること」は、帝人のコンプライアンスの原点であり、企業理念「Quality of Lifeの向上」を実現するための最も基本的な行動姿勢です。

帝人グループは、事業活動が「常に正しく」行われるよう、取締役会の監督のもと、企業理念、行動規範およびグループ企業倫理規程等の実践を徹底しています。「コンプライアンス推進は健全な企業風土を形成する活動である」という考えから、法令遵守はもとより、社会規範にも沿った誠実な行動を役員および社員に求めています。当社の代表取締役をはじめとする役員は率先垂範するとともに、当社および子会社の役員および社員に対するコンプライアンス教育・啓発を行っています。誠実な行動が尊重される企業風土を醸成することで、株主価値の増大や従業員満足度の向上を目指します。

コンプライアンスとリスクマネジメントの位置付け

コンプライアンスとリスクマネジメントの位置付け

帝人グループは、内部統制を支える要としてコンプライアンスとリスクマネジメントを位置付けています。 グローバル化が進み従業員の国籍や価値観の多様性が増している帝人グループの組織運営において、法令遵守だけでなく社会規範に照らして誠実に行動する姿勢を尊ぶ風土を醸成することは、帝人グループが企業理念の達成を目指す上で重要な経営課題のひとつです。

コンプライアンス推進の体制

帝人グループ内のコンプライアンス・リスクマネジメントの方針を審議・共有する場である「グループCSR委員会」の作業部会として、サステナビリティ推進部長を部会長、各事業のコンプライアンス担当部署の責任者をメンバーとする「グループ・コンプライアンス部会」を設置し、帝人グループ内各所のコンプライアンス推進の確認を行っています。

さらに、各事業およびグループ会社各社では「コンプライアンス・リスクマネジメント推進責任者(CRM推進責任者)」を選任し活動の実行を促しているほか、海外統轄法人においてもコンプライアンス担当を選任して地域性に応じた活動を進めています。

こうした体制のもと、ホットラインや職制を通じたコンプライアンス報告および従業員意識調査アンケートを通じて帝人グループ内各所の課題を認識しています。認識した課題については、教育・啓発などの対策を帝人グループ内各所のコンプライアンス推進計画に反映させ実施しています。

このPDCAサイクルをコンプライアンス推進体制に適用することで、持続的なコンプライアンスの確保が可能となり、定期的な評価や改善活動を通じて、組織内でのコンプライアンス意識の向上や法令遵守の風土を醸成し、リスクの最小化を図っています。

コンプライアンス活動のPDCAサイクル

コンプライアンス・リスクマネジメント活動のPDCAサイクル

企業倫理・コンプライアンス活動

「コンプライアンス推進は健全な企業風土を形成する活動である」という考えから、業務関連法令や社内規程だけでなく、企業倫理を周知徹底する教育を実施しています。

また、帝人グループ内で法的・倫理的に不適切な問題が発生した場合に、組織の自浄作用を働かせて組織内で解決することを目的として、相談・通報制度(ホットライン)を運営しています。

行動規範の浸透

帝人グループの企業理念を実現するための行動姿勢として行動規範を定め、帝人グループの役員および社員に周知徹底しています。社員は、就業規則および行動規範を含むその他の諸規則を遵守し、誠実に勤務することを入社時に誓約しています。

帝人グループの「行動規範」は、T/E/I/J/INを頭文字とする5つの要素で構成されています。

多様性を尊重する「Together」
環境・安全衛生を重視する「Environment, Safety & Health」
誠実であることを大切にする「Integrity」
互いを認め合う・活気を生む「Joy at work」
イノベーションを志向する「INnovation」

2021年度に引き続き、行動規範をより具体的な行動のレベルで理解を深めるための動画を制作し、帝人グループが展開する全地域・国の言語による字幕を付けて、全グループ会社に発信しました。

動画は、行動規範概念図の5色を用いた5人のキャラクターが登場するアニメーションで、職場でのさまざまなシチュエーションでの行動を通じて行動規範について学んでいくストーリーです。

2022年度は「人権の尊重」「公正・透明な商取引」「知的財産権の尊重・保護・活用」「取引先、関係先との付き合い」の4本を制作し社内外に公開しています。

税務方針の制定

帝人グループは、事業を行う国、地域、および多国間の税務に関する法令・規則を遵守するため、税に対する基本的な規範として2022年4月に税務方針を定めました。本方針に従って適正に納税することで、社会的責任を果たし、広く社会の理解と共感を得られる企業グループをめざすと同時に企業価値の増大に努めます。

企業倫理月間での全員研修

帝人グループは、毎年10月を企業倫理月間と定め、すべての役員・社員(契約社員や派遣社員を含む)を対象に全員研修を実施するほか、ポスターを掲示しています。

2022年度の研修は、帝人グループが事業を展開する全地域・国の言語による全世界共通の「企業倫理ハンドブック」を教材に使用しました。企業倫理月間での全員研修の参加率は93%(国内97%、海外83%)でした(研修終了後のアンケート調査より)。

ポスターは、「心をひとつに 人財は多様に」を標語とし、行動規範に沿った行動を呼びかけました。言語は、帝人グループが事業を展開する全地域・国の言語とし、日本語・英語・中国語(簡体字・繁体字)・韓国語・タイ語・ドイツ語・オランダ語・ベトナム語・スペイン語(欧州向け・南米向け)・フランス語・ミャンマー語、ポルトガル語(欧州向け)、チェコ語、ハンガリー語、計16言語で作成しました。

帝人グループ企業倫理月間
帝人グループ理念体系

従業員意識調査アンケートの実施

各国の帝人グループの役員および社員が企業理念や行動規範をどの程度認識し、どの程度行動に結びつけているかを把握し、今後のコンプライアンスの推進活動に活用するために、グローバルなアンケートプラットフォームを使用してコンプライアンスに関する従業員の意識調査を実施しました。2022年度は、帝人グループの役員および社員19,867名(IT事業を除く)を対象に実施し、59%が回答しました。

従来の企業理念や行動規範などの設問に加え、2022年度より、行動規範の「Integrity」に関連し、企業倫理ハンドブックに掲載する「コンプライアンス・リスク」(人権、競争法、プライバシー、贈収賄、利益相反、データの誠実性等)の設問により意識調査を行い、各項目の回答を5段階で評価しています。

調査結果は、サステナビリティ管掌と各事業組織の長とが共有し、コンプライアンス課題の把握、組織内の風土づくりやコンプライアンス推進の施策検討に活用していきます。

従業員意識調査アンケート結果(声のあげやすさ)

私の職場では、問題の深刻さに関係なく悪い情報(ミス、品質異常、目標未達など)は躊躇なく報告できる

企業倫理意識度
従業員意識調査アンケート結果(企業倫理意識度)

私の職場では、コンプライアンスに違反してまで達成した成果を評価しない

企業倫理意識度

企業倫理・コンプライアンスの浸透に向けた活動

(1)階層別研修

国内グループでは、新入社員、中堅社員、新任課長、新任部長に対する階層別研修の一環として、帝人グループの役員および社員が企業倫理・コンプライアンス活動に取り組む理由や社員が果たすべき役割等について毎年教育しています。2022年度は、新入社員研修は対面形式に戻り、Eラーニングを併用し、249人が受講しました。

(2)巡回研修

サステナビリティ推進部が各事業や関係会社の拠点に出向いて実施する巡回型の企業倫理研修に2016年度から取り組んでいます。2022年度は、日本国内で合計8回開催し、273人が受講しました。

この研修では、企業倫理・コンプライアンスを身近な問題として認識してもらうため、社内外で起こりがちなケーススタディを取り入れています。また、巡回先の事業や関係会社のニーズに合わせてカリキュラムを組むことで、研修効果の向上を図っています。

2022年度は、アメリカでもTeijin Holdings USA, Inc.が巡回研修を合計18回開催し、770人が受講しました。

(3)推進責任者への支援

上期・下期のコンプライアンス部会開催前に、各事業のコンプライアンス推進責任者をサステナビリティ推進部が訪問し、全社的なコンプライアンスの状況・課題を共有して、各事業組織が講じるべき推進の方向性を議論しました。

(4)各職場での教育

帝人グループでは、国内外の推進責任者が各職場で随時、企業倫理やコンプライアンスなどの教育を実施しているため、常時イントラネット上に教材や事例集を掲載し、自主的に教育・学習しやすい環境にサポートしています。

ホットライン窓口の運営

2022年度国内・海外を含めた内部通報の件数

帝人グループにおける非違行為を役員、社員および取引先が直接通報できる手段としてホットライン窓口を運営しています。重大なリスクとなり得る通報はトップマネジメントに報告がなされ適切に対処します。また対応が終了した通報事象について情報を一般化し、プライバシーに配慮した上で、半期ごとにイントラネット上に公表し、社員の意識向上につなげています。さらに、内部通報制度の運用状況を定期的に取締役会に報告し、監督を受けています。

1999年にすべてのグループ会社社員を対象としたホットライン窓口を開設しました。現在、国内の帝人グループの組織で働く人は誰でも利用可能です。2006年からは社外取引先向け窓口をウェブサイトに設けています。これに加え2013年度からは、毎年10月の企業倫理月間に、「企業倫理意見箱行き」の直送封筒を国内グループ企業の社員全員に配付しています。

グループ会社で働く社員は、帝人グループの相談・通報制度のうち、企業倫理意見箱や直接通報などを利用できます。また、北米ではTeijin Holdings USA, Inc.が、中国では帝人(中国)投資有限公司がそれぞれホットライン窓口を設置し、その他にも帝人フロンティア(株)、インフォコム(株)、Teijin Aramid B.V.がホットライン窓口を設定して、各社および傘下のグループ会社の役員、社員からの相談・通報を受け付けています。

さらに、2019年3月には、海外グループ会社の役員、社員が、所在地の言語で帝人グループ本社の通報窓口に直接通報できるグローバルホットライン窓口を新規に設置しています。

これら帝人グループの相談・通報制度について、運用上の責任と権限・方針と手続を定めた「グループ内部通報規則」を2019年に新設しました。また、自らの不正を申告した者に対しては、状況に応じて処分の減免をサステナビリティ管掌が意見する社内リニエンシーの制度も取り入れています。

重大なリスクとなり得る相談・通報はトップマネジメントに報告がなされ適切に対処します。また、社員の啓発や予防的見地より、社員からの相談・通報内容と対応については、プライバシーを守りつつ、半期ごとにイントラネット上に全件を開示しています。

2022年度の規範違反

2022年度までに寄せられた内部通報や職制報告案件のうち、調査の結果、規範に違反した事実が認められ、適正な措置がとられた件数は以下の通りです。

汚職・不正又は贈収賄 0件
差別又はハラスメント 4件
顧客情報の侵害・漏洩 0件
利益相反 0件
マネーロンダリングまたはインサイダー取引 0件
その他 13件
合計 17件

安全保障輸出管理体制の充実と継続的運用

グローバルに事業を展開する帝人グループにおいて、法令を遵守し確実な安全保障輸出管理を行うことは極めて重要です。帝人グループの中で輸出などを行う各社は、「グループ安全保障輸出管理規程」の下、それに整合する「安全保障輸出管理規程」「安全保障輸出管理実施細則」などを制定して運用しています。
実行体制は事業本部と本社に専門スタッフを置く二重の管理体制を採用し、確実な安全保障輸出管理に取り組んでいます。

安全保障輸出管理で遵守すべき法令などの詳細事項は頻繁に改正されているため、帝人グループでは、本社スタッフが得た最新情報を速やかに事業本部へ周知すると共に、定期的な教育の実施や社外の実務能力認定試験の受験推進によってレベルアップを図っています。

「中期経営計画2020-2022」の終了年度である2022年度は、事業本部の委員で構成するグループ安全保障輸出管理会議において、次期中期経営計画期間の課題を特定し、激変する安全保障環境に対応するため、特に体制・人財面の拡充に向けて取り組みを開始しています。