帝人グループのCSRのマテリアリティ

近年、株主・機関投資家をはじめとするさまざまなステークホルダーから、財務・非財務の情報開示に対する要請が高まっています。中でも、非財務情報のうちESG(「環境(Environment)」「社会(Social)」「ガバナンス(Governance)」)、すなわち企業の社会的責任に関わるさまざまな課題について重要性を特定し、それらをマテリアリティ(重要課題)に掲げる理由の説明を含む、適切な情報開示が求められています。

帝人グループは、事業と社会の持続可能な発展を目指し、企業の社会的責任に関するさまざまなCSR課題について次のようにマテリアリティを特定し、事業戦略と一体化したCSR経営を推進しています。2016年度、新たに特定したマテリアリティは「CSR調達」です。事業における重要度の再認識と外部有識者とのダイアログを通じて特定しました。

帝人グループのCSRマテリアリティ  

CSRマテリアリティへの取り組み  

特定したマテリアリティは、課題ごとに担当組織を決めて取り組みを推進しています。

2016年度は、各事業の取り組みを本に、課題ごとの対応範囲を再確認し、KPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)や中期目標を設定しました(KPIはコーポレート・ガバナンスと生物多様性を除き設定を完了)。特に重点注力領域に定めた6つの課題については、以下のように取り組みを推進しました。

  • コーポレート・ガバナンス

確立している仕組みの有効な運用を常に重要課題としており、アドバイザリーボードやTRMコミティーなどを実施しました。

  • 環境価値ソリューション
  • 安心・安全・防災ソリューション
  • 少子高齢化・健康志向ソリューション

これら3つのソリューションについて、その定義を行い、該当製品をリストアップしました。

  • 環境負荷低減

東邦テナックス(株)三島事業所のエネルギー転換工事を実施しました。2017年4月から稼働し、帝人グループ全体が排出するCO2総量の2%以上相当(約5万トン/年)の削減効果が見込まれています。さらに、パリ協定を踏まえ、2020年以降の目標を新中期経営計画期間(2017~2019年度)内に設定する予定です。

  • ダイバーシティ

ダイバーシティ意識啓発および働き方の多様化、女性活躍、人財の多様化に継続して取り組みました。また、新中期経営計画において「性別・国籍・経験・価値観を問わない多様な人材の活用促進」「時代に即応した多様なワークスタイルを支援する制度設計の促進」を設定しました。

2017年度は、新たにマテリアリティに特定した「CSR調達」も合わせて推進するとともに、今後も継続的にCSRマテリアリティの見直しを行っていきます。

マテリアリティ特定プロセス

帝人グループは、CSR課題を幅広く把握・整理し、ステークホルダーへの影響度と帝人グループにおける重要度の観点からマテリアリティの分析・抽出を行い、CSR管掌が外部有識者と対話した上で、最終的には経営会議で帝人グループのCSR課題に関するマテリアリティを特定しています。

  • STEP1 課題把握・整理

    CSR課題を幅広く把握し、マテリアリティ分析の対象とする課題群の整理を行っています。

    帝人グループがすでに取り組んでいる課題、および経営戦略でビジネス機会として捉えている価値創造(CSV)課題を基本として、ISO26000、GRIガイドライン、国連グローバル・コンパクト、国連SDGs、パリ協定などが示す社会課題や主要SRIの評価項目とも照合し、CSR課題を把握・整理しています。

  • STEP2 マテリアリティ分析

    課題把握で整理したCSR課題群のマテリアリティ分析を行っています。

    CSR課題群の帝人グループにおける重要度とステークホルダーへの影響度を分析し、それぞれを軸とする2軸平面にマッピングしています。

    ステークホルダーへの影響度(縦軸)の判定方法

    ステークホルダーを、「株主・投資家」「社員」「顧客」「サプライヤー」「地域住民」に分類し、CSR課題ごとに、各層のステークホルダーの立場からみて相当に関心があると推定されるか、それほど関心がないと推定されるかを判定し、ステークホルダーへの影響度を決定しています。

    帝人グループにおける 重要度(横軸)の判定方法

    事業への影響度(ポジティブ側面・ネガティブ側面の双方を考慮)と、発生の見込み・確率の両面から、帝人グループにおける重要度を決定しています。

    STEP3 重要課題抽出

    STEP2で分析した課題群から、帝人グループにおける重要度とステークホルダーへの影響度がともに高い課題(図中の赤線で囲んだ部分)を重要課題として抽出しています。
  • STEP4 外部有識者とのダイアログ

    帝人グループのCSR課題に関するマテリアリティの特定プロセスと抽出課題について、外部有識者と対話を実施しています。

    有識者からのご指摘(2017年3月)

    事業との関連が明確になることで、社会課題解決への意識が高まる

    現在、企業がその技術力や新規事業を通じて、社会の課題に対して何を貢献できるかが大きな課題となっています。帝人の新規中期経営計画では3つのソリューションとその道筋が示されており、特に社会課題へのアプローチが明示されていることは素晴らしいと思います。さらに、どの事業部門がどこに関連しているかについても明確になっており、社員にとっても、取り組んだ結果が見えてくることで、CSR思考の感度を高めるとともに、価値創造に結び付けることができると思います。

    ロイドレジスタージャパン(株)
    取締役 事業開発部門長
    冨田 秀実

    ストーリーの語り手を多様化することが、次のステップ

    前回ダイアログから、帝人の取り組みが進んでいること、活動がさらに広がっていることが分かります。次のステップとしては、ストーリーの語り手の多様化だと思います。役員の意識が高いのはよく分かりますが、今後はもっと社員への浸透を「見える化」し、CSR思考の再浸透を図ることが大切です。若手中心の社内キャラバンを実施して、新鮮な意見も取り込むことも有益だと考えます。10年後、20年後を見据えた時、今の若い世代が帝人を支えていることになるからです。

    コモンズ投信(株)会長
    渋澤 健

    自らの活動が売上に貢献することを実感することが重要

    社会課題解決についての意識醸成は教育すればよいということではありません。例えば、自らの環境製品の開発が売上や利益にどう結びつくのか、現場の社員が実感できることが重要です。環境や社会課題を製品・技術開発の目標に織り込むことで、現場のモチベーション向上にもつながります。自分たちで何ができるのかに自ら取り組むことで、さまざまなオポチュニティが生まれ、どんな開発、イノベーションが必要なのかが事業部から発信されるようになる、これが意識醸成だと考えています。

    グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン・ボードメンバー
    NPO法人サステナビリティ日本フォーラム代表理事
    後藤 敏彦
  • STEP5 マテリアリティの特定

    経営会議において審議・確認し、「帝人グループのCSR課題に関するマテリアリティ」を特定しています。
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