若き科学技術者の育成を行う - 公益財団法人帝人奨学会
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帝人久村奨学生交流会
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中国奨学金認定式・交流会
60周年記念シンポジウム 概要
パネリスト プロフィール
パネルディスカッション 詳細
パネルディスカッション 詳細
自分自身の軸を持ち続け、研究を続ける
文化の違いや言葉の壁を恐れず、海外へ進出しよう
若手研究者には専門性を超えて活躍してほしい
若手研究者には専門性を超えて活躍してほしい
吉田 直紀様(東京大学大学院 教授
第45回生(1997年)帝人奨学生)
近藤 史郎様(帝人グループフェロー)
横山
:
次は、これから研究を志す学生や博士課程で研究者の道を歩もうとしている人に伝えたいことをお伺い致します。
根岸
:
企業でも研究室でも、常に自分に忠実であり続けることが大切だと思います。どんな結果になろうと、全て自分の責任である。そう考えて研究に取り組むことで、失敗したときも再スタートが切りやすいと思います。
澤本
:
近年、博士課程に進む学生は減少し、修士課程で卒業し、企業で就職する学生が増えています。企業側も博士課程よりも、修士のほうが企業への貢献度が高いと考えている。加えて、博士課程に進んだ人はコミュニケーションが苦手である、専門性に固執する堅さがあるなどのイメージが強いため、なかなか博士課程の学生やポスドクを採用しづらいのが現状です。
この課題を解決するために必要なのは何か。それは「T型」と呼ばれる幅広い知識を学生の頃から身に付けることです。大学の教育ではそこが足りない。課題発見能力の高さに加えて、専門性の幅広さが身につけば、企業の活用も広がると思います。
川合
:
海外の多くの国の機関では、博士の学位を取得している人が大勢働いています。必ずしも専門性を活かしているわけではなく、他の分野で活躍されています。そんな現状を目の当たりにすると、他の分野で活躍できる、専門性の高い人材は他にも大勢いるのではないかと感じます。澤本先生がおっしゃっていたように、大学の教育が専門性を限定してしまい、自ら活躍できるフィールドを決めつけている部分があると思います。欧米では社会活動を体験できるインターンシップなどの制度が充実しており、企業で働く前にさまざまな世界を体験できます。日本は欧米諸国の取り組みを参考に、学生に新たな道を提示する努力をすべきです。
根岸
:
澤本先生、川合先生に同感です。米国では企業の研究職に就くには、博士の学位が必要ですが、日本では修士の学位が中心です。より専門性の高い人をどのように活かすのか。博士課程に進んだ学生が学位取得後、ポスドクになるのか企業で働くのか、選択できるようにしなければならない。それが日本の課題だと思います。
澤本
:
それには学校側の努力と、日本の企業のお力添えが必要となってきます。博士の学位を取得しても、学問の世界で活躍できる人は限られます。博士の学生に対して、企業が高い専門性を活かす場を提供する。そんな仕組みづくりを実現すれば、博士課程に進む学生を増やし、就職難に苦しむポスドクの数も減らすことができるのではないでしょうか。学校側は学生に幅広い専門性を身に付けさせ、社会活動を経験させるなどの取り組みを実施する努力をしていきます。
川合
:
吉田先生の研究分野は専門性を越えて活躍されている方が多いと思いますが、いかがですか。
吉田
:
そうですね。専門にこだわらずに、さまざまな分野で活躍したい人は多いと思います。学問の分野では専門を越えて活躍している方が大勢います。産業界でも同じだと思いますので、ぜひ目を向けて欲しいですね。
近藤
:
企業代表として、皆さまのご意見を真摯に受けとめたいと思います。博士の学生との面接で感じるのは、修士の学生より自分で考え、意思決定できる力があります。専門性に固執している人が少ないという印象もある。ただ採用には至っていないケースが多いのも事実です。そんな中、企業側からお願いしたいのは、専門性の高い分野をもう一つ増やして欲しい、つまり「π(パイ)型」の人材を育成していただきたい。企業で活かせる可能性がかなり高まります。またポスドクの方を私たちが評価するポイントは、研究に対してどのようにアプローチをして、成果を出してきたのかということ。現在のポスドクは、早く結果を出したいがために、大きな構想を持って研究している人が少ない。いわゆるペーパー主義の考え方を変え、より革新的な実験手法を試みる人を増やしていかなければならないと思います。
横山
:
皆様ありがとうございます。「イノベーションが未来を変える 世界をリードする先端科学技術者の育成」というテーマでパネルディスカッションを行って参りました。日本がもっと強くなり、世界の科学技術をリードできるような存在になるためには、本日のお話は非常に参考なることばかりでした。皆さまにも共感頂けるお話が多かったのではないでしょうか。本日はどうもありがとうございました。
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