特別講演のタイトルは「Magical Power of Transition Metals:Past, Present, and Future」。内容は、ノーベル化学賞の受賞理由である、異なる有機物を結びつけて新しい化合物を作り出す「クロスカップリング反応」についてです。実験で使用する触媒に今まで使用されてこなかった有機アルミニウムや有機亜鉛化合物のような反応剤を利用し、有機合成に高い成果を挙げることができたことなどをご紹介して頂きました。専門性の高い話を図や写真などを用いて、わかりやすく説明され、皆さん熱心に耳を傾けていました。
最後に、若手研究者のエールとして根岸先生が帝人に入社する際に当時の社長大屋晋三氏から掛けられた言葉が紹介されました。 「若者よ、海外へ出よ!」。この大屋社長の言葉に、根岸先生は大変驚かれたそうです。その後、帝人を休職し、フルブライト奨学生としてペンシルベニア大学へ留学し博士課程へ進学できたのは、この言葉が後押ししてくれたとお話を締めくくられました。