ヘルスケア事業領域:従来の保険医療に捉われない新たなヘルスケア総合サービスを提供 取締役専務執行役員 ヘルスケア事業統轄 宇野 洋

40年を超える歴史を持つ医薬品・在宅医療の事業基盤をもとに、さらなる事業の拡大を目指します。

変革と挑戦のDNA

私たちがヘルスケア事業を開始したのは1970年代に遡ります。骨関節・代謝循環・呼吸器といった重点領域への絞り込みを行いながら、医薬品・医療機器の双方にわたって自社での開発研究を積み重ねてきました。また帝人グループは、国内で在宅酸素療法(HOT)を最初に事業化したパイオニアであり、国内トップシェアの顧客基盤を誇ります。健康に対するニーズも多様化する中、この40年を超える技術・ノウハウの蓄積を活用しながら、さらに先端的なヘルスケア事業基盤の構築を図っていきます。

多様化するニーズへの対応として、従来の保険医療の枠組みにとらわれない、新たな領域へ事業を拡大し、ビジネスモデルの変革を図ります。

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    外部報告書および当社レンタル台数から推定

ヘルスケア事業の歩み

ヘルスケア事業の歩みの図

ヘルスケア総合サービスの提供

高齢化の進展がもたらす影響

高齢化が進む日本では、生活習慣病や多疾患などを患う人口も急激に増加するとみられています。そしてそれに伴う医療費の増大が大きな問題とされています。

医療のインフラ面においても、入院医療・施設介護が必要な患者さんの増加に伴い、病床数や介護施設数の不足が深刻化し、在宅での医療・介護の必要性が今後さらに高まっていくことが予想されます。

新たなニーズにどう応えていくか

医療費の抑制、さらには人々の健康で長生きしたいというニーズに応えるため、疾病予防の重要性が飛躍的に高まっています。生活習慣病の発症予防や重症化予防のため、適切な食事、適度な運動や睡眠など、健康に有益な行動を促進するような社会環境の整備も必要となっています。

さらには、住み慣れた地域で、疾病治療に加えて予防や介護サービスを包括的に受けられる体制、すなわち「地域包括ケアシステム」の構築は、病床や介護施設の不足を補う対策という面においても、大きなテーマとして挙げられています。

また、IT技術の革新を背景としたAI(人工知能)の活用、ビッグデータ解析が、生活習慣指導を含む予防医療の発展に大きく寄与することが期待されています。デジタル化医療や遠隔医療も目覚ましい進展を遂げつつあるなど、IT技術がヘルスケアに活用されることで、今まで見えてこなかったソリューションが生み出される可能性が開けています。

非保険領域を含む総合サービスの展開へ

ヘルスケアビジネスの概念自体が大きく変化しようとする中で、ヘルスケア事業を展開する私たち企業側も取り組み方を大きく変えていく必要があります。

私たちが描く未来は、従来手掛けてきた疾病治療を中心とした保険領域から、未病や予防といった非保険領域や介護領域にまで事業領域を拡大し、人々のさまざまなニーズに応えていくことです。
エビデンス取得のノウハウや新たなサービスが生み出す効果を予測する目利き力など、ヘルスケア事業がこれまで培ってきた強みを基盤とした総合サービスの展開を促進していきます。
例えば、健康管理のデジタルサポートやリハビリ機器の開発に加え、IT事業子会社のインフォコム(株)の介護プラットフォームとの連携を図るなど、新たな領域への資源投入を積極的に進めていきます。

先端的へルスケア事業基盤の強化

AIやIoT活用によるデータプラットフォームの構築

今後、訪問看護サービスや通信機器を利用した診療支援の展開を通じて、患者さんへのケアサポートの充実を図ると同時に、提供する医療機器のIoT化や在宅医療コールセンターへのAI適用を進め、医療データプラットフォームの構築を図ります。

また2015年より販売をはじめた多職種間での情報連携システム「バイタルリンク」は、これら先端ヘルスケアサービスの提供のためのプラットフォームとなり、発展戦略を支えていく重要なインフラと位置付けています。医師・メディカルスタッフが一体となったチーム医療をサポートすることにより、患者さんへの質の高いケアを実現するとともに、医療従事者の生産性向上も期待されます。

私たちは、これらサービス・データの有機的な連携により、先端的なへルスケア事業基盤を構築し、地域医療ネットワークを通じた、より高次のサービス提供を目指していきます。

製品・サービスのラインナップの多様化

ヘルスケア事業基盤を活用した新たな製品・サービスの提供

現在すでに販売を開始しているリハビリロボットなど新規医療機器のほか、将来的には脳神経領域などの分野においてICT技術活用による診断・治療機器の導入・提供を目指していきます。また、デジタルヘルスケアの活用がますます増加する中で、睡眠や介護といった分野などでの新たなサービスの拡大を目指します。

さらに、整形インプラントデバイス事業では、帝人ナカシマメディカル(株)を起点として人工関節・骨接合材料の領域で事業拡大を進めます。このほか、機能性食品素材事業では、現在展開しているスーパー大麦のほかにも製品ラインナップを拡げていきます。

ラインナップの拡充イメージ図