マテリアル事業領域:単一素材の提供メーカーから多素材複合による部品供給パートナーへ 取締役専務執行役員 マテリアル事業統轄 武居 靖道

私たちは、絶えず、時代の潮流に先駆けて、多素材化・複合材料への取り組みを進めてきました。

変革と挑戦のDNA

テイジンは、今でいう大学発のベンチャー企業として、化学繊維レーヨンの製造技術を日本で初めて確立し、事業化するところからスタートしました。戦後、事業の主軸をポリエステルに転換し、その後も時代の進展とともに新たな素材の事業化に取り組んできました。先端的な技術開発の追求を通じて培われてきた素材の基盤技術こそ、私たちの強みです。また、新たな事業の開拓に挑戦するチャレンジ精神こそ私たちが受け継いできたDNAです。

ますます激しさを増す多素材間競争で生き残るため、さまざまな高機能素材を組み合わせたり、複合化を進めることでビジネスの変革を図り、顧客に新たな価値を提供し続けていきます。

マテリアル事業の歩み

マテリアル事業の歩みの図

自動車向け複合成形材料事業の拡大

高まる「軽量化」への期待

環境規制は、世界的な流れとして今後さらに厳格化されることが見込まれており、各自動車メーカーにとって、燃費改善およびCO2排出量削減は急務となっています。

燃費削減に向けたさまざまな技術革新が行われる中、現在その切り札として大きく注目されているのが「車体の軽量化」です。車体軽量化は、ガソリン車のみならず、ハイブリッド/電気自動車においても、同様にその効果が期待されています。

新たな素材による軽量化

車体軽量化の実現に向け、自動車部品に従来の金属に代えて新たな素材を採用する気運が高まっています。

「安全性を保ちながら車体を極限まで軽くできる素材」として期待を集めているのが炭素繊維複合材料(CFRP)です。これを使い自動車を構成する部品の中で最大重量を占める車体骨格を軽量化すれば、エンジンなどもさらに小型化・軽量化が可能となり、自動車全体の大幅な軽量化につながることから、その採用に向けたさまざまな検討が進展しています。

自動車車体骨格の軽量化がもたらす波及効果の図 自動車車体骨格の軽量化がもたらす波及効果

複合材料が自動車を変える

エンジンや駆動系の革新、ICT・自動運転などの技術進化や環境規制のさらなる強化といった流れの中で、自動車産業の産業生態系自体が、今大きく変化しようとしています。自動車に使用される部品も、求められる安全性やコストに合わせて複数の素材を接合して使う方法が本格化するにつれて素材間での競争が激しくなることが予想されますが、私たちはむしろこれをビジネスチャンスと捉えています。

この度買収したCSP社が傘下に加わったことにより、テイジンは単一素材の素材提供メーカーから、部品供給メーカーとしてのポジションに事業領域を拡げました。今後はこれまで培ってきた複合化技術を強みとしながら、マルチマテリアル化に対応し、GFRP(ガラス繊維複合材料)・CFRP(炭素繊維複合材料)といった複合成形材料をはじめとするさまざまな製品の提案を可能とする、自動車メーカーにとっての“部品供給パートナー”へと進化していきます。

CSP社買収

複合成形材料事業の拡大を加速

テイジンは、2017年1月に、北米最大の自動車向け複合材料成形メーカーであるCSP社の全株式を取得し、完全子会社としました。CSP社は、GFRPなどの熱硬化性複合材料を使用した自動車向け部品においては、北米最大のTier1(一次サプライヤー)メーカーです。

また自動車業界で「クラスA」と称される美麗な外観を有する外板部品において、同社は業界のグローバルリーダーであり、米国のみならず、欧州・日本の自動車メーカーに向けてもすでに数々の採用実績を誇っています。

今後は、CSP社が持つ優れた部品設計・生産技術、品質管理、ノウハウを活用しながら、同社が有するGFRPや、当社が有するCFRPのほか、多様な素材の活用検討も含め、素材選定から部品設計にまで踏み込んだ提案力を強化していきます。

また同時に、テイジンのグローバルネットワークを活用し、グローバルでの安定供給体制の確立を図っていきます。

CSP社

熱可塑性CFRP「Sereebo」

熱可塑性CFRPのもたらす大きな可能

熱可塑性CFRPを使ったコンセプトカーの車体骨格

従来のCFRPの大きな課題の一つが量産性でした。

テイジンは、これまでCFRPに用いるのが難しいとされていた熱可塑性樹脂を使った「熱可塑性CFRP」の開発に成功しました。これによって製造プロセスを大幅に簡略化することで、タクトタイム1分を実現し、量産車への採用の道を開きました。

また成形後の形状変更が容易な熱可塑性CFRPは、リユースやリフォームにも適しており、使用後を含めた製品ライフサイクル全体で環境負荷低減に貢献できる可能性を秘めています。

現在、当社の熱可塑性CFRPブランドである「Sereebo」については、自動車の量産部品への適用を見据え、国内外の複数自動車メーカーとの共同開発を進めています。

LIBセパレータ・メンブレン事業

リエルソート(LIELSORT)

スマートフォン・タブレット、自動車向け電池の市場拡大に伴い、リチウムイオン電池(LIB)の部材であるセパレータの需要も拡大が見込まれています。

「リエルソート(LIELSORT)」 は、当社が独自の高分子技術とコーティング技術により開発した、LIB用のセパレータです。その耐熱性、接着性に優れた性能が評価され、2012年の生産開始以来、塗布型セパレータのリーディングカンパニーとして着実に販売を伸ばしてきました。

今後、LIBセパレータについては、スマートフォン・タブレット用途の販売拡大に加え、自動車用途や大型蓄電池用途へとさらなる展開を図っていきます。

一方で、これまで培った成形技術・ノウハウを起点として、高機能メンブレン(微多孔膜)の事業化もスタートさせています。半導体用途を皮切りに、今後エネルギー用途から医療機器用メンブレンまで、幅広い用途への展開を目指していきます。