CEOメッセージ:たゆまぬ変革と挑戦を通じた新しい価値の創造により「未来の社会を支える会社」に

帝人グループは、2017年2月に新たな中期経営計画である中期経営計画2017–2019「ALWAYS EVOLVING」を公表しました。これは、私たちが長期ビジョンにおいて目指す「未来の社会を支える会社」となるために、目指す姿となすべきアクションを明確化したものです。

未来は現状の延長線上にあるものではなく、変化に富んだ道筋の先にあります。私たちが真に未来の社会を支える会社となるためには、その変化を見据え、先取りし、自らの事業を変革し続けていくことが不可欠です。さらには、私たちが新しい価値を作り出して、社会の進化に貢献していきたいと考えています。「ALWAYS EVOLVING(たゆまぬ変革と挑戦)」というスローガンに込めた想いはそこにあります。帝人グループは2018年度に創立100周年を迎えます。これまでの100年近い歩みの中でも、常にチャレンジ精神を持ち、事業の拡大、新規分野への進出、グローバル化に邁進してきました。私たちはこれからも未来について考え続け、自ら変革を起こすチャレンジャーでありたいと思います。ここでは、帝人グループの変革と挑戦についてお話しします。

2016年度実績と修正中期計画の達成状況

新たなステージへの飛躍に向けた基盤固めはほぼ完了した

帝人グループは2014年度に「修正中期計画」を公表し、「構造改革」と「発展戦略」の2つの大きな柱を掲げ取り組みを進めてきました。

構造改革の進捗

1つ目の柱である、課題事業に対する抜本的な構造改革については、これらの施策を概ね計画どおり進捗することができ、安定的に営業利益で500億円超を確保できる基礎収益力を構築できたと考えています。

構造改革の進捗の図

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    連結子会社(Braden Partners L.P.、Associated Healthcare Systems, Inc.)の当社所有持分全てを米国の投資会社Quadrant Management, Inc傘下の会社に譲渡

発展戦略の進捗

もう1つの柱である発展戦略においては、コンチネンタル・ストラクチュラル・プラスチックス社(Continental Structural Plastics Holdings Corporation、本社:米国ミシガン州)の買収をはじめとして、この3年で約1,000億円を投入するなど、ソリューション提供の実現に向け戦略的な資源投入も実施してきました。

発展戦略の進捗の図

さらに修正中期計画の最終年度である2016年度には、「営業利益500億円、ROE8%以上」を確保することを目標としてきました。結果として2016年度の実績は、営業利益としてはこれを上回る565億円を計上することができました。また当期純利益としては、米国在宅医療事業からの撤退に伴う繰延税金資産の計上といった要素が加わったことで501億円という過去最高益を達成し、ROEとしても15.7%を計上することができました。しかしながら、私たちにとって、これは通過点に過ぎません。帝人グループは、新たな高収益事業を核とした事業体へと生まれ変わろうとしているのであり、そのための基礎収益力を確保し、足場固めが完了した段階だと考えています。私たちは今まさに、新たなスタートラインに立ったと言えるのです。

新中期経営計画

10年後の目指す姿をまず描き、今すべきことを明確にする

2017年2月、帝人グループは新中期経営計画を公表しました。本計画は、現状の延長線上からの発想に基づいたものではなく、10年後の目指す姿を描き、その実現に向けて次の3年間の実行計画を明確にする、という方針のもと策定したものです。

企業理念と目指す姿

10年後の目指す姿を描く上で拠り所となるのは従来から掲げてきた帝人グループの企業理念、すなわち“Quality of Life”です。多くの課題やニーズを抱える社会においてこの企業理念を遂行し続けるために、「社員の多様性を活かし、社会が必要とする新たな価値を創造し続け、未来の社会を支える会社になる」という長期ビジョンを改めて定めました。「未来の社会を支える会社」とは、言い換えれば刻々と変化する社会や顧客のニーズを的確に捉えたソリューションの提供を通じ、人々のQuality of Life向上のためのInnovationを起こす“QOL Innovator”となることです。そのために企業としてのあるべきイメージをもう少し分かりやすく挙げるならば、以下の3点ということになります。

  1. 社会の抱える問題の解決に貢献する企業
  2. 外部環境の変化を先取りして変革し続ける企業
  3. 常に新しい価値を創出し続ける企業

注力すべき重点領域の特定

私たちを取り巻く社会のさまざまな要請、今後も抱える問題に、私たちはどう応え、貢献していくべきでしょうか。

改めて私たちの特徴・強みは何かを考えると、マテリアル・ヘルスケア・ITという異なる3つの領域にまたがった、ユニークな事業基盤を築き上げてきたことだと言えます。これら各々の強みを活かし、かつ事業機会を取り込むことのできる領域として、「環境価値」「安心・安全・防災」「少子高齢化・健康志向」の3つを重点領域として改めて特定しました。

これら重点領域でのソリューション提供により、私たちは社会の問題解決にさらに貢献できるはずです。事業機会を最大限に取り込みつつ、たゆまぬ変革と挑戦によって自ら「事業ポートフォリオ変革」を図ることこそが、中長期での持続的な成長に向けた大きなテーマです。

注力すべき重点領域の特定

事業を変革し、未来を切り拓く

事業ポートフォリオ変革

私の描くテイジンの10年後の姿は、マテリアルとヘルスケアという2つの大きな柱があり、それをICT技術基盤が支えているイメージです。既存事業の成長に加え、今はまだ利益に貢献していない新規事業をテイジンの核となる新たな高収益事業へと育成することでこの姿を実現し、事業ポートフォリオの変革を図ります。

事業ポートフォリオ変革の図

成長戦略と発展戦略

成長戦略は、既存事業の競争力を高め続けることにより、会社の基礎収益力をより強化していく取り組みです。一方、発展戦略は、既存事業とは異なる領域への進出やビジネスモデル変革を通じて、新たな製品・サービスの創出に挑戦する取り組みを指します。既存事業の成長戦略が生み出す利益が発展戦略への資源投入の源泉となります。この2つの戦略を両輪として、継続的な事業創出・育成を図り、収益の拡大につなげていきます。

発展戦略の柱として、マテリアル事業領域では自動車向け複合成形材料ビジネス展開を加速します。単一素材の素材サプライヤーであったテイジンが自動車の部品を作って提供する、このことは大きなビジネスモデルの変革です。ヘルスケア事業領域では、従来の医薬品・在宅医療を中心としたビジネス領域から介護や予防・未病といった公的保険外の領域にまでビジネスを拡大していきます。これら発展戦略の具体的なビジョンについては、マテリアル・ヘルスケア各々の事業統轄役員がより詳しくご説明します。

揺るぎない経営システム基盤を構築し成長・発展戦略を加速させる

経営システム基盤強化

組織面でも、成長・発展戦略を加速させるために、マテリアル・ヘルスケアという2つの事業領域を大枠とする組織再編を行いました。素材関連事業をマテリアル事業へと統合し、事業間融合を促進していくとともに、新事業推進の機能について各事業との連携性を高めることで、短期と中長期、既存事業と新規事業の資源配分を今まで以上に意識しながら具体的な戦略立案をしていきます。

組織再編(2017年4月)

組織再編の図

また新規ビジネスの創出やビジネススタイルの変革を図る上で、AI(人工知能)やIoTといった、昨今の加速度的に進化するIT技術を無視することはできません。最先端でのIT技術を積極的に導入し、ビジネスに活用するための各種プロジェクト「スマートプロジェクト」を全社横断でコントロールする情報戦略管掌を新たに設置しました。今後は情報プラットフォーム構築を中心として100億円規模の資源投入を図っていきます。さらに、グローバルでの地域戦略を事業横断的にコントロールするため、グローバル戦略管掌も新たに設置しました。

2014年度に策定した修正中期計画で掲げた構造改革の完遂に加え、生産性の向上やエネルギー効率アップなどの生産コスト競争力強化により、2016年度対比で110億円の効果発現を目指します。これに加え、事業再編後の業容に見合った「小さな本社」への再編を行い、組織のスリム化や業務集約、情報インフラ整備などを通じた生産性向上により、90億円の合理化を図ります。これらを合わせ、200億円の効果発現をこの3年間で実現していきます。

「投資効率」と「稼ぐ力」を最重要視

新中期経営計画では、「投資効率」と「稼ぐ力」の両側面に重点を置き、収益性指標としてROE、成長性指標としてEBITDAを新たに最重要指標として設定しました。

経営目標

経営目標

2014年度に策定した修正中期計画からも収益性を重視してきましたが、引き続きこの考え方は継続していきます。効率性を追求するための収益性指標としてはROE、すなわち株主から預託された資金に対する投資利回りを目標値とし、10%以上を維持していきます。また全社としてのROE目標を担保するため、投入資源に対する効率性の指標として営業利益ROICを活用します。具体的には、ROICを要素分解することで各事業現場の末端まで落とし込みを行い、投資判断や在庫管理、生産性向上・コストダウンといった活動へつなげていきます。

もう一方で、効率性のみに偏重し縮小均衡となってしまうことを避け、成長性を確保するために、成長性指標として償却前営業利益であるEBITDAを目標値とし、成長投資や株主還元の原資となるキャッシュ創出力を拡大していきます。EBITDAは3年後に1,200億円超、さらに10年後には発展戦略の本格的な寄与を踏まえ、現在の2倍以上となる2,000億円超を目指していきます。

EBITDA

EBITDAのグラフ

投入資源・株主還元

2017年〜2019年度の中計期間で設備投資とM&A合わせ3,000億円規模の資源を投入していきます。成長戦略では炭素繊維の生産能力増強やヘルスケアのシステム投資、発展戦略ではマテリアルの複合成形材料、セパレータ・メンブレン関連、ヘルスケアの整形インプラントデバイスといった案件の設備投資に加え、M&Aによる積極的な外部資源活用も含め事業ポートフォリオ変革に必要な案件に対し資源投入を実施していきます。また将来の事業の柱を育てるために、研究開発費については、売上高の5%を目途として継続的に投入していきます。

投入資源・株主還元の図

積極的な資源投入を進める一方で、株主還元については連結業績への連動を基本としつつも安定的な配当を実施していきたいと考えます。中期的な配当性向としては、当期純利益の30%を目安としています。これまでの構造改革を通じて安定した基礎収益力が確立されてきたことにより、これら資源投入と株主還元を両立させてなお、財務健全性を大きく損なうことはないと考えています。

企業価値を持続的に高めていくために

私たちが社会へ貢献しながら、どのような事業機会を見出していくかについてはすでにご説明しました。一方で、環境、社会、ガバナンスなどの観点でさまざまな要請に応えていく活動も同様に将来の企業価値を左右する重要な要素と考えています。帝人グループでは、持続可能な社会の発展に向けて、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」や、気候変動枠組条約の「パリ協定」など、国際社会が一丸となって取り組もうとしている課題を踏まえて、CSRの重要なテーマ(マテリアリティ)を特定し、企業価値の向上に向けて取り組んでいます。特に、中期経営計画における重点領域として特定した「環境負荷低減」「コーポレート・ガバナンス」「ダイバーシティ」は、経営の基盤をより一層強化するために欠かすことのできない取り組みです。

環境負荷低減については、化学製造メーカーとして以前から目標を定めて取り組んできましたが、パリ協定も踏まえた温室効果ガス削減やSDGsにもある持続可能な水利用管理について、今後一層強化していきたいと考えます。

またコーポレート・ガバナンスの強化も、健全かつ持続的な成長のために必要不可欠です。私たちはこれまで高い透明性、迅速な意思決定のためのガバナンス体制を整えてきました。今後はさらに、株主・投資家の皆様への説明責任を果たし、対話を通して理解を得つつ、将来の成長・発展につなげていきたいと考えます。

加えて、人財の強化と多様な人財の活用も私たちの将来にとって欠かせません。新中期経営計画においても、女性活躍を含むダイバーシティを変革テーマとして掲げており、これをより一層推進していきたいと考えます。帝人グループは「人権」「労働」「環境」「腐敗防止」について10の原則を掲げる「国連グローバル・コンパクト」を支持し、参加しています。今後もグループの力を結集して、世界に誇れる、存在感のある企業を目指します。

次の100年に向けて大きく飛躍する帝人グループにご期待ください

私が帝人グループのCEOに就任して3年が経過しましたが、これまでが収益力の再構築と新たな成長・発展の基盤構築に注力した再建の時間だとすると、創立100周年にあたる2018年を含むこれからの3年間は、次の100年に向けて大きく飛躍するためのスタート地点です。新中期経営計画で目指す姿を改めて明確化したと考えておりますので、あとはその姿に近づけていけるよう、真摯に取り組んでいく覚悟です。

ステークホルダーの皆様におかれましては、たゆまぬ変革と挑戦に取り組む帝人グループを是非ご理解いただき、変わらぬご支援をお願いいたします。

代表取締役社長執行役員 CEO 鈴木 純
鈴木 純

1958年、東京都生まれ。1983年当社入社、医薬品の開発に携わる。2011年帝人グループ駐欧州総代表を経て、2012年4月帝人グループ執行役員、マーケティング最高責任者。2013年4月帝人グループ常務執行役員、高機能繊維・複合材料事業グループ長、同年6月取締役常務執行役員。2014年4月代表取締役社長執行役員 CEOに就任。