2015年12月24日

熱硬化性CFRPと同等の物性をプレス成形で実現

難燃・高強度・高剛性の熱可塑性織物プリプレグを開発

帝人グループで炭素繊維・複合材料事業を展開する東邦テナックス株式会社(本社:東京都千代田区、社長:吉野 隆)は、熱可塑性樹脂を使用した難燃かつ高強度・高剛性の織物プリプレグを開発し、2016年1月より少量サンプルの有償販売を開始します。

jdb151224_01.jpg ロール状で供給可能なプリプレグ

jbd151224_02.jpg プリプレグ使用の筐体サンプル

1.背 景

  • (1)
    現在、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)には、強度の面からエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂が用いられており、CFRPの一般的な工法であるオートクレーブ成形は、炭素繊維シートに熱硬化性樹脂を含浸させたシート(プリプレグ)を金型上に積層させ、バッグで覆った後に真空吸引と加熱により成形しています。
  • (2)
    こうした熱硬化性プリプレグを使用する場合、用いる樹脂の特性から、高強度・高剛性のCFRPを成形することができますが、耐衝撃性に乏しく、少なくとも数時間に及ぶ成形時間を要するため、量産には不向きとされています。さらに熱硬化性プリプレグは、一般に冷蔵保管が必要となることも施設要件における制約となっています。
  • (3)
    一方、熱可塑性樹脂を用いるプリプレグも開発されていますが、一般に熱可塑性樹脂は粘度が高く、樹脂の含浸が難しいため、熱可塑性CFRP(CFRTP)の炭素繊維含有率増加を阻害し、強度の発現が妨げられます。また、炭素繊維同士の交点が熱可塑性樹脂の含浸を妨げるため、製造工程で利便性が良いロール状の織物プリプレグを開発するのは困難とされてきました。
  • (4)
    さらにIT家電などの量産部品のCFRP化に向けては、強度や剛性、耐衝撃性に加えて難燃性も求められ、市場からはこうしたニーズに対応するプリプレグの開発が期待されていました。
2.新規プリプレグについて
 
  • (1)
    このたび開発した熱可塑性の織物プリプレグは、樹脂の含浸性が高いため、体積当たりの炭素繊維量を55%以上にまで高めることができます。また、織物プリプレグでありながら、幅1m、長さ100mのロール状での供給が可能であり、これを使用することで高強度・高弾性のCFRTPを製造することができます。
  • (2)
    熱可塑性のスーパーエンプラを使用することにより、常温での長期間保管が可能となり、耐熱性や耐衝撃性に優れるCFRTPを製造することができます。
  • (3)
    加工メーカーの協力を得て、プレス成形機を用いた量産成形技術も確立しており、最短4分程度のタクトタイム*で成形できるため、月産数千個のCFRTP製造が可能です。今後、さらなるタクトタイム短縮を目指し、成形技術の開発を進めていきます。
  • (4)
    難燃性樹脂を使用することにより、プラスチック材料の難燃性規格であるUL94において、燃焼が10秒以上続くことのないV-0グレード相当の難燃性を有しています。
  • (5)
    さらに熱可塑性樹脂が母材であるため、使用後には端材を回収してペレット化し、射出成形用の材料として再利用できるリサイクル性も備えています。
*タクトタイム : 工程作業時間のこと。稼働時間を必要数で除した値で求められる。
 
  • 3.今後の展開
  • (1)
    既に当社は、IT家電、医療機器、スポーツ用品など向けてこの織物プリプレグを使用したCFRTPの開発を進めていますが、このたびサンプルの有償販売を開始することにより、産業機器や航空機部材用途など、さらに幅広い用途へと展開していきます。
  • (2)
    帝人グループは、他に先駆けて熱可塑性樹脂を使用した量産性の高いCFRTPを開発し、量産部品市場の開拓を強力に推進しています。このたびロール状の織物プリプレグを開発したことにより、高強度・高剛性、高耐熱・難燃性という顧客ニーズに応えるソリューション提供が可能となったことで、川中から川下での展開を加速する「ダウンストリーム戦略」をさらに強力に推進していきます。
  • 当件に関するお問い合わせ先
    • 報道関係のお問い合わせ
      帝人株式会社 コーポレートコミュニケーション部 03-3506-4055
    • その他のお問い合わせ
      東邦テナックス株式会社   コンポジットチーム 03-3506-6589

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