2016年1月12日

災害時の安全確保に向けたソリューションを拡充

火山噴石対策用のアラミド繊維織物を開発

帝人株式会社(本社:大阪市中央区、社長:鈴木 純)は、活火山の火口周辺にある山小屋や避難壕(シェルター)などの防災・補強用途に向けて、このたび、パラ系アラミド繊維「トワロン」および「テクノーラ」を使用した新規アラミド繊維織物を開発しました。

 新規アラミド繊維織物を使用した屋根を施工する様子

このアラミド繊維織物は、内閣府による「活火山における退避壕等の充実に向けた手引き」の規定に則して設計・製造されたものです。これらの織物は、霧島錦江湾国立公園内のビジター用施設「えびのエコミュージアムセンター」(所在地:宮崎県えびの市)において、硫黄山の小規模噴火に対応するため、環境省が補強改修を進めている屋根に使用されることが既に決定しています。

火山大国である日本においては、噴火の際に発生する噴石から登山者や観光客を守る安全対策が重要課題であり、2014年9月に発生した御嶽山での噴火災害を契機として、さらなる対応が急務となっています。従来は、突発性の高い比較的小規模な噴火に際し、一時的な安全確保のために避難壕へ避難することが有効とされ、鉄筋コンクリート製のシェルター建設などが呼びかけられていました。しかし、高地への資材や重機の輸送などのため工期や費用の面で負担が大きく、具体的な対応が遅れているのが現状です。また、鉄筋などの資材には、過酷な気象条件において経年劣化が激しいという問題もあることから、施工に際して作業効率が良く、かつ強度や耐久性に優れる素材が求められていました。

こうした中、このたび帝人が開発したアラミド繊維織物は、パラ系アラミド繊維「トワロン」および「テクノーラ」を使用し、内閣府、防衛大学校、山梨県富士山科学研究所の助言を得ながら、山小屋や展望台、休憩所、化粧室の屋根などの補強用途に向けて衝撃耐力の試験を重ねてきたものです。そして、昨年9月に防衛大学校で行われた噴石衝突模擬実験では、御嶽山噴火の際に火口周辺に飛来した噴石の中で多くを占めたこぶし大(約10cm)の噴石を想定した飛翔体の衝撃に耐え得ることが確認されています。

パラ系アラミド繊維は、軽量かつ強度や耐熱性などに優れる高機能素材で、帝人は特性の異なる2種のパラ系アラミド繊維を展開する世界唯一のメーカーです。「トワロン」は、同じ重量の鉄に比べて6倍の引張強度を持ち、弾性率、耐弾刃性、耐熱性などに優れています。一方の「テクノーラ」は、引張強度や耐衝撃性、耐疲労性、耐薬品性などの特性が「トワロン」を上回り、より過酷な条件下で高い耐久性を発揮します。

帝人はこうした異なる特性を持つ2種のパラ系アラミド繊維を持つことにより、それぞれの火山の活動状態や、標高、気象などのデータなどから、想定される噴石被害の大きさや、使用条件に最も適した織物を提案することを可能としました。そして、これらのアラミド繊維織物を活用した山小屋やシェルターの補強を、火山を有する自治体や関連する民間事業などに積極的に提案し、噴火時の安全確保に貢献するとともに、当用途に向けたアラミド繊維織物において、2017年までに5万平方メートルの販売を目指します。

帝人グループは、成長コンセプトの1つとして「高機能複合材料による顧客価値の実現」を掲げており、特に高機能繊維においては「インフラ・エネルギー」「セーフティー」「機能紙・フィルター」「モビリティ」を重点領域として用途開拓を進めています。今後も建築物や地盤・盛土の補強など、社会インフラに関する技術やソリューションを積極的に提案していきます。

【参考】帝人のアラミド繊維について

アラミド繊維は、一般的に高強力、耐熱性、寸法安定性、耐薬品性などの特性を持つ高機能繊維の1つで、パラ系とメタ系の2種類に大別される。パラ系アラミド繊維は、特に強度、防弾・防刃性などに優れ、主として防護衣料、自動車のブレーキパッドなどの摩擦材やタイヤの補強材、光ファイバーケーブルの補強材などに使われており、今後も安定した市場成長が見込まれている。帝人グループは、オランダ・エメン市で生産する「トワロン」と、愛媛県松山市で生産する「テクノーラ」で世界市場の約2分の1を占める。一方、メタ系アラミド繊維は、長期耐熱性や難燃性に優れ、耐熱フィルターやゴムベルト・ホースの補強材などの産業資材、および消防服などのユニフォームに使われており、帝人グループは山口県岩国市で「コーネックス」を生産している。2015年8月には、アジア・新興国における防護衣料の需要獲得推進を目指し、タイ・アユタヤ県にて、世界最高レベルの優れた熱防護性と安定した高い染色性を有する新規メタ系アラミド繊維「Teijinconex neo」の生産を開始した。

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      帝人株式会社 コーポレートコミュニケーション部 03-3506-4055
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      帝人株式会社   インフラ・エネルギー課 06-6268-2350

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