2016年3月 2日

複雑で厚みの異なるコンポジット部品を大型一体成形

熱硬化性CFRPの一貫生産体制を構築

東邦テナックス株式会社(本社:東京都千代田区、社長:吉野 隆)の欧州事業会社であるトーホウ・テナックス・ヨーロッパ社(ドイツ・ブッパタール市、以下「TTE」)は、ハイプレッシャーRTM成形機を導入し、一昨年開発したプリフォームの自動製造プロセス(PvP : Part via Preform)を組み合わせることで、CFRPの一貫生産体制を構築しました。これにより、複雑な形状や、同一部品の中で厚みの異なるコンポジット部品を製造することが可能となります。

この生産体制によるCFRPは、既に欧州の自動車メーカーに採用されており、さらに複数の国内外メーカーとも取り組みを開始しています。東邦テナックスグループは、今後、これまでは不可能であった顧客ニーズや設計仕様を満たすCFRPソリューションを提供していきます。

 
PvPにより製造された高外観性を有するCFRP

1.背景

  • (1)自動車の軽量化と安全性の両立に向けては、より高強度・高剛性の素材、および量産車に適した工法が求められており、その開発が進められています。
  • (2)こうした中、金属素材においては、薄肉化により強度が低下するため、高張力鋼板(ハイテン)などを使用し、コの字に曲げるなどの構造設計を施すことで部品の軽量化と剛性の両立を担保するのが一般的ですが、金属素材は強度を高めると伸びにくくなり、成形が難しくなることが課題となっていました。また、部品同士の接合部位を減らすことによる軽量化に向けて大型一体成形技術の開発が進められていますが、やはり強度・剛性と成形のしやすさの両立が課題となっています。
  • (3)一方、CFRPは、炭素繊維の伸長性の低さや強度の配向性といった素材特性から、顧客の設計ニーズに応える成形が難しいため、一般的にはプリプレグ(炭素繊維シートに樹脂を含浸させたもの)を使用したオートクレーブ工法が用いられていますが、この工法は手作業であるため量産の難しさが課題となっています。
  • (4)そこで近年は、プリフォーム(事前に炭素繊維シートを金型に合うように切り取り、賦形すること)を用いたRTM(Resin Transfer Molding)工法が主流となっていますが、この工法は、炭素繊維織物などの中間基材を製造することがコスト増加の要因となっています。また、複雑な形状や同一部品の中で厚みの異なる部品の製造には、プリフォーム製造時に中間基材を細かく裁断して型に並べる工程が必要となり、それに伴い大量の端材が発生することが課題となっています。
  • (5)こうした中、東邦テナックスグループは、金属素材とCFRPの双方の課題を解決するプリフォーム製造技術として、昨年PvPを市場投入し、国内外の自動車メーカー各社との取り組みの中で、その可能性について検討を進めてきました。

2.CFRP一貫生産体制について

  • (1)この生産体制の中核技術であるPvPは、予め熱硬化性樹脂を付着させた炭素繊維(バインダー繊維)をプリフォーム型に吹き付けることで、炭素繊維織物などの中間基材を製造することなく、立体的なプリフォームを自動的に製造する工法です。
  • (2)PvPは、ランダムに配向した繊維と一方向に配向した繊維を組み合わせることができるため、部品の形状や強度など、顧客ニーズに合わせた最適な部品設計が可能です。
  • (3)また、PvPは、炭素繊維織物などの中間基材を使用することなく、繊維から部品の形状に合わせたプリフォームを直接製造できるため、これまでCFRP製造で課題となっていた端材の発生を最小限に抑え、部品の製造コストを低減することができます。
  • (4)こうした中、ハイプレッシャーRTM成形機を導入することにより、TTEで炭素繊維から熱硬化性CFRP部品までの一貫生産が可能となり、PvPと組み合わせることにより、金属素材や従来のRTM成形における課題を解決するコンポジット部品の量産が可能となります。

3.今後の展開

  • (1)PvPを用いたCFRPは、既に欧州の自動車メーカーに採用されており、さらに国内外の自動車メーカーとも取り組みを開始しています。
  • (2)また、クラスAに対応する高外観部品の量産を視野に入れた研究開発も開始しています。
  • (3)帝人グループは、量産性の高い熱可塑性CFRP製品「Sereebo」を開発し、これまでにないCFRPによる量産部品市場の開拓を強力に推進しています。このたびの熱硬化性CFRPの生産技術開発を契機として、性能と量産性という顧客ニーズに対応し、熱硬化性、熱可塑性の両面からCFRPソリューションを提供していきます。

 

  • 当件に関するお問い合わせ先
    • 報道関係のお問い合わせ
      帝人株式会社 コーポレートコミュニケーション部 03-3506-4055
    • 製品に関するお問い合わせ
      東邦テナックス株式会社 コンポジットチーム 03-3506-6589

 

掲載されている情報は、発表日現在のものです。
その後、内容が変更になっている場合がありますので、あらかじめご了承下さい。