2017年10月 2日

ビッグデータ解析により消防隊員の働き方改革に寄与

「スマート消防服」による熱中症リスクの予知に成功

帝人株式会社(本社:大阪市北区、社長:鈴木 純)は、「消防機能向上への取り組み」の一環として、このたび、ウェアラブルデバイスを内蔵した「スマート消防服」を開発しました。
さらに、その「スマート消防服」を用いた消防隊員の安全警報システムの開発に向けて、共同研究先である大阪市立大学が大阪市消防局とともに行った実証実験データを分析した結果、深部体温の予測による熱中症リスクの予知に世界で初めて成功しました。
帝人はこの安全警報システムを、10月11日から東京ビッグサイトで開催される「危機管理産業展2017」において初めて展示します。(ブースNo.4A23)

1.開発の背景

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    消防隊員は火災から身を守るため、難燃性などに優れた防護衣料を重ねて着用しますが、熱が体内の深部にまで蓄積され、熱中症を引き起こすことがあり、特に近年は、夏場の暑熱環境での作業における熱中症対策が課題となっています。
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    帝人はこうした課題に対応するため、ウェアラブルデバイス内蔵の消防服の開発に取り組んできましたが、消防隊員の活動量や体格などに差異があることから、ウェアラブルデバイスによる心拍数や体温の計測だけでは、熱中症リスクの予知は困難でした。
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    そこで、帝人は、活動中の消防隊員が着用する消防服内の温度の計測と、医学的な見地と検証に基づく深部体温の予測によって熱中症リスクを予知するソリューションとして、「スマート消防服」による安全警報システムを開発することとし、大阪市立大学と共同で実証実験を行ってきました。

2.「スマート消防服」の特長

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    この「スマート消防服」には、帝人グループでIT事業を展開しているインフォコム(株)と共同開発した、名刺ケースサイズのセンシングデバイスが内蔵されています。このデバイスは温度や位置情報などの通信が可能で、火災現場や消防本部などの管理システムに消防隊員のデータをリアルタイムで送信する仕組みを有しています。
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    そして消防服には、帝人が防護衣料向けに展開している、長期耐熱性や難燃性に優れるメタ系アラミド繊維「コーネックス」、および高強度のパラ系アラミド繊維「テクノーラ」などを使用しており、さらに、センシングデバイスの筐体には難燃性や耐衝撃性に優れるポリカーボネート樹脂「パンライト」を使用しています。
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    センシングデバイスから管理システムに送信された消防隊員のデータは収集・解析され、深部体温の予測による熱中症リスク警報の発信など、消防隊員の安全管理に活用されます。

「スマート消防服」を用いた消防隊員の安全警報システム

3.安全警報システムの概要

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    熱中症リスクを予知する手段としては心拍測定が一般的ですが、その測定値は、着用者の体格や身体活動量の他、精神状態などにも大きく影響を受けます。
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    そこで帝人は、より正確に熱中症リスクを予知する方法として、「スマート消防服」から送信される着用者の衣服内温度の情報から、熱中症に直結する深部体温を予測するアルゴリズムの作成に取り組むこととしました。
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    アルゴリズムの検証にあたっては、大阪市立大学が大阪市消防局の協力を得て、火災訓練現場や大阪市立大学の人工気候室において、20代から50代までの消防隊員による実証実験を行いました。
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    その結果、火災環境における消防隊員の衣服内温度から予測した深部体温と深部体温の実測値が極めて近い結果となることを実証し、これらの実験で得られたデータの解析により、深部体温の予測式やアルゴリズムを見出しました。
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    これにより、着用者に熱中症リスクへの警報を発するとともに、管理者が活動中の消防隊員の体温や位置情報を常に把握しながら、熱中症リスクの予知や管理を行うシステムを構築することができます。

4.今後の展開

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    帝人は、2019年以降に「スマート消防服」による消防隊員の安全警報システムの実用化を目指し、消防活動における様々な実証実験を重ね、深部体温の予測式やアルゴリズムを確立していきます。
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    今後は消防隊員の安全警報に留まらず、位置情報管理などを含む総合的な消防ソリューションとして、帝人グループとして開発を推進していきます。
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    また、帝人グループは、高温下での作業などに従事する人々の労働環境の改善によって「働き方改革」に貢献すべく、このたびの実証実験で得られた深部体温の予測式やアルゴリズムの活用拡大を図っていきます。

 

  • 当件に関するお問い合わせ先
    帝人株式会社 コーポレートコミュニケーション部 03-3506-4055

 

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