環状カルボジイミド

有害なイソシアネートガスをまったく発生させない新規耐加水分解剤

帝人の環状カルボジイミド

樹脂の耐久性は、温度や紫外線、酸素など様々な条件によって変化しますが、中でも湿度や雨、結露などによる加水分解に大きく影響されます。これらは、従来からの樹脂の課題であり、ポリエステル系を中心とする樹脂の耐加水分解性能を高めるためには、一般的にカルボジイミド化合物が使用されています。

しかし、このカルボジイミド化合物は、樹脂と反応する際に、有害なイソシアネートガスが発生することが知られています。このイソシアネートガスは、化学構造によっては極めて低濃度の曝露により皮膚や目、気道などへの刺激性が指摘されており、製造現場における作業環境許容値が定められているガスです。

こうした中、テイジンは、自社で展開している高耐熱性バイオプラスチック「バイオフロント」に耐加水分解性能を付与するため同剤を使用してきましたが、他の樹脂にも広く同様の効果を確認することができたため、市場展開していくこととしました。

イソシアネートガスを全く出さない高い安全性 –環状カルボジイミド–

ポリ乳酸に添加した際のイソシアネートガス発生の比較データ

テイジンが開発した新規耐加水分解剤は、環状構造を有するカルボジイミド化合物となっているため、樹脂と反応した際に有害なイソシアネートガスが全く発生しません。そのため、製造現場において作業環境の制約を受けることなく、安全な製造および使用が可能になります。

また、この環状カルボジイミドは、日本国内においては、化審法や安衛法に、欧州においてはREACHに対応しています。米国のTSCAや中国の化審法にも順次適応を進めています。

さまざまな汎用樹脂に適用可能で、少量で高い耐加水分解性能を発揮

この環状カルボジイミドは、従来のカルボジイミド化合物と同様にポリエステル系、ポリアミド系、ポリウレタン、ポリ乳酸など幅広い汎用樹脂に対しても、それぞれの樹脂の性能を低下させることなく適用することができます。また、従来製品に比べて、より少量の添加で従来以上の高い耐加水分解性能を付与することが可能となります。

Hydrolysis of PLLA

Hydrolysis of PBT

ポリ乳酸(左)とポリブチレンテレフタレートに添加した際の加水分解性の比較データ

組成 ミラブルウレタンエラストマー
(カーボンブラック、架橋剤等含む)
ミラブルウレタンエラストマー
(カーボンブラック、架橋剤等含む)
+ 環状カルボジイミド
ミラブルウレタンエラストマー
(カーボンブラック、架橋剤等含む)
+ 従来のカルボジイミド
加硫後の架橋物物性(加硫条件:155℃, tc(90) + 10min)
硬度Hs(JIS-A) 81 81 79
中間引張応力(MPa) M100 7.3 7.3 6.4
M200 20.6 20.9 18.7
M300 29.6 30.2 28
破断応力TB(MPa) 30.8 31.2 30
ブリード性(Air. rt, 336h後)
熱水試験後の架橋物物性(試験条件:80℃熱水、336h)
硬度Hs(JIS-A)
(変化量)
57
(-24)
78
(-3)
73
(-6)
中間引張応力(MPa) M100
(変化率(%))
1.5
(-79)
4.8
(-34)
3.9
(-39)
M200
(変化率(%))
3.5
(-83)
13.7
(-34)
11.1
(-41)
M300
(変化率(%))
5.6
(-81)
21.7
(-28)
18.2
(-35)
破断応力TB(MPa)
(変化率(%))
7.8
(-75)
23.3
(-25)
20.3
(-32)

ポリウレタンに同質量添加した際の樹脂性能比較データ

広がる環状カルボジイミドの適用

独自の分子設計により、300℃以上の耐熱性を有するため、これまで以上の高温領域(~300℃)において樹脂と混錬することが可能となります。また、塗料やコーティング剤の粘度を調節したり、硬化させたりする架橋剤としても使用することができ、これまで以上に適用範囲の広い耐加水分解剤となっています。

Tm(℃) 1%重量減温度(℃) 5%重量減温度(℃)
230 365 397

環状カルボジイミドの熱物性

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