イノベーション

ポリカーボネート樹脂製ウィンドウ

自動車窓を無機ガラスから樹脂ガラスへ

近年自動車業界では、燃費向上に向けた車体軽量化への取り組みとして、自動車窓ガラスの樹脂化の検討が進んでいます。無機ガラスの1/2の軽さと200倍の耐衝撃性を有するポリカーボネート(PC)樹脂は、軽量化に貢献する素材として注目されています。
一方で、PC樹脂には無機ガラスに比べ耐摩耗性が低く、紫外線などにより変色しやすいという難点もあります。これらの課題を解決するため、テイジンではPC樹脂に高い耐候性と無機ガラス並みの耐摩耗性を付与する技術を開発し、大型でかつ複雑な曲面を有する自動車窓ガラスを実現しました。また、これらの技術を用いて実際の自動車への搭載を見据え、工業化に取り組んだことに対して、国内外で大きな評価を頂いています(平成25年度高分子学会賞受賞)。

素材技術-紫外線・近赤外線カット機能

テイジンでは独自のコンパウンド技術を活用することでPC樹脂の透明性を維持したまま紫外線や近赤外線(熱線)を効率的にカットする機能を実現しました。これにより日焼けを防止するだけでなく、太陽光による車内温度の上昇を抑制することが可能となり、空調効率の向上による燃費・電費改善効果が期待できます。

真夏の車内ダッシュボード(黒)表面の温度上昇を再現

成形加工技術-4軸平行制御射出プレス成形技術(第18回青木固賞受賞)

テイジンは成形機メーカーと共同開発した型締力3,400トンの射出プレス成形機と、射出プレス成形仕様に特化したCAE解析技術を併用することで、熱可塑性樹脂の形状自由度を活かした複雑3次元形状を有する自動車窓の成形を可能としました。この成形機は4本のタイバーに取り付けられた測距装置によるフィードバック制御により、金型を自由に前後することで射出成形だけでなくプレス成形の要素も取り入れたことが特徴です。これによって、大型成形品の課題である歪みや反りを大幅に低減することが可能となりました。

通常射出成形の様子

射出プレス成形の様子

クロスニコル法による透視歪み画像

通常射出成形
射出プレス成形

コーティング技術

従来から使われている液体塗料を固化したウェットハードコーティング層を下地層として、さらにプラズマ化学気相蒸着法(PECVD)法を用いたドライコーティング層を成膜することで、国連の欧州経済委員会規則(UN/ECE R43 rev.4)の安全ガラス規格(Class L)を満たす耐摩耗性を実現しました。多段成膜ステップを用いて高精度かつ均一に成膜条件を制御できる平行平板方式のPECVD法の特長を活かした傾斜層構造設計により、耐摩耗性/密着力/耐熱性をバランス良く実現しました。また、このドライコーティング層は優れたガスバリア性を有し、酸素や水蒸気の浸透を抑制することで、高分子基板の劣化を保護し飛躍的な耐候性向上にも寄与しました。

摩耗試験後のPC表面キズ比較

樹脂製フロントウィンドウが創る新しいドライビング体験

以上の要素技術を結集することで、テイジンでは無機ガラスの単なる代替の枠を超えた新たな樹脂製フロントウィンドウを実現しました。
大型3次元射出プレス成形技術と平行平板方式によるPECVD技術によって、フロントウィンドウ外周部の偏肉厚構造にて実用強度を担保するとともに従来の表面加工技術(ウエットコーティング)では達成し得なかった安全ガラス規格に対応可能な耐摩耗性と耐候性の飛躍的な向上を実現し、世界で初めて商業生産車種でのフロントウインドウの樹脂化を実現しました。
この樹脂製フロントウィンドウでは視認部と支柱(ピラー)が一体となっているため、視界を遮るものがなく、安全確保と同時に爽快なドライビング体験を提供します。クルマをもっと軽く、ドライビングをもっと安全に快適に。樹脂窓のさらなる可能性に、テイジンは技術で応え続けます。

従来のフロントウィンドウ
樹脂製フロントウィンドウ