アンチニュートンリング、アンチグレア、耐指紋性、ちらつき防止性を有し、PC、またはPETベースフィルムから選択可能です。
指や専用ペンなどで画面に触れて操作するタッチパネルは、OA・FA機器、ゲーム機、PDA(携帯情報端末)、ATMなどの幅広い分野で使用されており、ここ2~3年で30%程度の伸びが想定されています。
このタッチパネルの画面に使われる透明導電性フィルムの市場規模は、全世界で約250万m2といわれており、このうち帝人(株)が展開している透明導電性フィルム「エレクリア」が約24%を占めています。
透明導電性フィルムは、「薄い」「軽い」「割れない」「フレキシブル」といったガラスにない特徴があり、それを活用して、「抵抗膜方式」と呼ばれるタッチパネルの透明電極基板に主材料として使われています。
抵抗膜方式は、ペン先の圧力でフィルムがたわみ、電圧の変化を感知させてデータを入力する仕組みで、ゲーム機やスマートフォン、PDAなどの分野で一般的に使われており、市場の過半を占めています。「エレクリア」も主にこの方式で使用されています。
「エレクリア」は、基板材料となるポリマーフィルムにハードコート層、アンダーコート層、ITO(酸化インジウムスズ)層を重ねた構造となっています。
このハードコート層とアンダーコート層に独自のコーティング技術を適用することで、外光の映り込みやフィルムのたわみによって生じる虹模様、画面のちらつきを防止するほか、優れた耐指紋性を有しています。
また、指打点の試験では、従来品が5,000回でITO層が劣化するのに対し、「エレクリア」は1万回叩いても変化がないなど、高い耐久性を持っています。
透明導電性フィルムにおける帝人の強みは、基板材料となるポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムとポリカーボネート(PC)フィルムの2材料を社内に持っており、原料から生産できる技術と設備を有していることです。
特に、高い透明性を実現するPC製の透明導電性フィルムは、世界でも帝人のみが生産しています。
また、抵抗膜方式以外にも、今後、市場拡大が見込まれる「静電容量方式※」での設計にPETとPCで対応することができ、多くのタッチパネル方式に使用できます。
帝人は、2008年に生産能力を年産120万m2に増強するなど、業界トップレベルの供給体制を確立しています。
※静電容量方式:指先と導電膜との間で静電気容量の変化を感知して位置を特定する方式。ATMや券売機などのタッチパネルに使用されている。
透明導電性フィルムは、今後もタッチパネル用途でスマートフォンなどの需要拡大が見込まれており、さらに電子書籍などで普及が予想される電子ペーパーや、将来的には有機EL照明、太陽電池などの透明電極材料として利用されることが期待されています。
帝人では、今後も「エレクリア」の性能向上と用途開発を進め、市場の拡大を目指していく予定です。