2010年にノーベル化学賞を受賞した故 根岸英一氏は、当財団の帝人久村奨学金第5回生(1957年)です。東京大学工学部応用化学科の在学中に「帝人久村奨学金」を受けられた後、帝人株式会社へ入社。その後フルブライト奨学生として、ペンシルベニア大学大学院の博士課程を修了し、米国パデュー大学の博士研究員になられました。
技術立国として日本が今後も世界をリードしていくためには、皆さんのような研究者が欠かせません。少しでも有意義な研究生活を続けるために、帝人奨学会では皆さんを支援させて頂きます。帝人奨学会は、民間企業が設立した奨学金財団の中で最も歴史と伝統があるものの一つで、1953年の設立以来、約60年間の長きにわたり約1,700名もの理工系学生の皆さんの研究活動を支援してまいりました。ぜひ当会の門戸を叩いて頂き、それぞれの目標に向けて、大いにチャレンジしてください。
1958年に私が帝人に入社したころ、当時の大屋晋三社長は「若者よ海外へ出ろ。10年に1ヶ国語ずつ学べば、30年で3ヶ国語が話せるようになる。そうすれば君たちも世界で通用するようになる」と仰っていました。私がこのような道を歩むことができた原点は、この大屋社長の言葉にあります。
私の専門である化学のコンペティション(競争)の場は世界であり、いまや我々のプレーグラウンドは世界です。また学ぶための師も世界単位で探し、世界の競争の中でトップになることを目指す時代です。そういう意味で、皆さんのような若者には、積極的に海外へ出て頂きたいと思います。
そして自らの「夢」を見つけたら真理を突き詰めるまで、とことんチャレンジしてください。
今後の皆さんの大いなる活躍に期待しています。