サステナビリティ

リスクマネジメント

「経営戦略リスク」と「業務運営リスク」を対象とするTRM(トータル・リスクマネジメント)体制を構築し、リスクを統合管理しています。

TRM(トータル・リスクマネジメント)

帝人グループは、企業の持続的成長を脅かすあらゆるリスクに対処するため、「経営戦略リスク」と「業務運営リスク」を対象とするTRM体制を構築し、リスクの統合管理を行っています。2003年度からCEOを委員長とする「TRMコミティー」を取締役会の下に設置しており、取締役会は、TRMコミティーから提案されるTRM基本方針、TRM年次計画等の審議・決定を行うとともに、重要なリスクを管理し、事業継続のための態勢を整備します。また、監査役は、取締役会がTRMに関する適切な方針決定、監視・監督を行っているか否かについて監査します。
「経営戦略リスク」の評価についてはCEOが直接担当し、取締役会等における重要な経営判断材料として提供します。「業務運営リスク」についてはCSR管掌が担当し、横断的なリスクマネジメント体制の整備、問題点の把握および危機発生時の対応を行います。

認識しているリスク

帝人グループがTRMコミティーで重大リスクとして管理している経営戦略リスクおよび業務運営リスクの内容は以下の通りです。

経営戦略リスク

経営戦略リスクについては、業績や財政状態に大きく影響を及ぼす可能性のあるものを中心に抽出しており、これらを想定した上でリスクのアセスメントを実施しています。特に、市場・競合環境変動リスクについては、事前にコンティンジェンシープランを作成するとともに、予兆も含めモニタリングを継続し、戦略の変更等早めの対応ができるよう準備しています。COVID-19の影響で世界経済が減速し、重点市場である自動車・航空機の需要が減少する中で、コンティンジェンシープランを発動させ、中長期を見据えた対応策に取り組んでいます。

  業績や財政状態への影響可能性 主な該当事業
マクロ環境リスク 景気・経済動向
  • 事業を展開している各国・地域の景気動向や経済状況、主要な供給先である自動車・航空機市場の動向による販売量の変動
マテリアル/繊維・製品
原燃料価格
  • 製品の原材料や工程で使用する燃料等の価格変動によるコストの変動
為替レート
  • 外貨建て取引の財務諸表への反映や海外連結子会社の財務諸表の円換算等で必要となる為替レートの変動(対米ドル1円の円高の場合、営業利益で約4億円/年の減益影響)
金利
  • 有利子負債の金利の利率変動
全体
市場・競合環境変動リスク 競合環境
  • 競合環境の変化による需給構造の変動
全体
サプライチェーンの需要
  • 素材・中間材料・部品供給ビジネスにおける、末端の需要動向がもたらすサプライチェーンの各段階での実体経済以上の在庫調整
マテリアル/繊維・製品
資源投入リスク
  • 戦略に適合する案件が探索できず、設備投資・M&Aの実施が不可となる、もしくは遅延
  • 研究開発費の投入に対し、研究開発の成果が目標から大きく乖離
全体
制度変化リスク
  • 温室効果ガス排出規制、プラスチック製品規制等の想定以上の強化
  • 米中貿易摩擦の再燃等をはじめとする、世界的な保護主義の台頭
  • 国内における薬価改定等の医療費抑制政策の加速
全体
財務健全性リスク 固定資産の減損
  • 経営環境の著しい悪化等で生じる収益性の低下等による、保有する固定資産についての減損損失の発生
全体
繰延税金資産の取り崩し
  • 将来の課税所得の予測・仮定が変更されることで繰延税金資産の一部または全部が回収できないと判断された場合の繰延税金資産の減額
全体

業務運営リスク

会社に悪影響をもたらす業務運営リスクは、項目ごとの具体的なリスク内容について、被害想定額と発生頻度の2軸平面にマッピングを行い、影響の大きいものを抽出・管理しています。それをもとに全社および事業別のリスクの傾向をまとめ、経年での比較・分析も実施しています。なお、事業環境の変化や社会全体におけるリスクマネジメント手法の進化などを鑑み、リスクの抽出・評価方法の見直しを行っています。

  業務運営に影響を及ぼすリスク 主な取り組み
自然災害等リスク
  • 気候変動に伴う台風・豪雨等による風水害・土砂災害
  • 大型地震、津波等
  • 感染症の急速な拡大
災害発生時の被害の最小化や速やかな復旧を目指します。
製造リスク
  • 有害化学物質や産業廃棄物等の不適切な取り扱いによる環境への負荷
  • 保有する化学プラントでの爆発・火災等の大事故
KPIを設定し、有害化学物質および埋立廃棄物の管理・削減に取り組んでいます。また、防災に関する各種ガイドラインに基づいた防災診断や教育・訓練の実施など、さまざまな施策に取り組んでいます。
製品・品質リスク
  • 製品・サービスの欠陥等、重大な品質問題の発生
帝人(株)をはじめ、帝人ファーマ(株)等の主要子会社に、他の部門から独立した専任の品質・信頼性保証部署を設置し、厳格な品質管理基準に基づき、事業活動全般における品質保証を確保する体制を敷いています。
法令・倫理リスク
  • 各種法令違反、セクハラ・パワハラ等の不祥事
  • サプライチェーン上の人権問題の発生
M&A等により社員の多様性が高まる中、「企業倫理ハンドブック」等を活用して企業理念や行動規範をグローバルに浸透させ、コンプライアンスの徹底を図っています。また、人権デューディリジェンスやCSR調達などの取り組みを強化しています。
情報セキュリティリスク
  • 災害、サイバー攻撃、不正アクセス等による情報の外部流出
研究開発・製造・販売などに関する重要情報、個人情報等を取り扱うにあたり、ハード面・ソフト面で情報セキュリティ対策を実施しています。

業務運営リスクマネジメントのグループ推進体制

以下の体制のもと、海外を含むグループ全体の業務運営リスクの管理を行っています。CSR管掌および帝人(株)CSR・信頼性保証部が、各事業グループ(本部)、グループ会社等が行う個別のリスク管理を全社横断的に把握・確認し、統一的な対応指針を策定するなど、グループ全体のリスク管理体制を強化しています。

業務運営リスクマネジメント活動

2019年度は、リスク管理の仕組みの中で重要な役割を持つ「CSR管掌レビュー」の運営方針を見直しました。CSR管掌レビューは、帝人グループリスクマネジメント規程に基づき、事業本部などの業務運営リスクの管理状況を事業責任者などとCSR管掌が相互確認し、リスク対応のPDCAサイクルを確実に回すことを目的としています。レビューによって事業本部などはリスク管理の自己完結力を高める一方、コーポレートは所掌機能に関するグループ全体の内部統制力を高めています。これまではCSR管掌レビューを2月に実施していましたが、その指摘事項をTRMコミティーに報告・審議して、4月から始まる次年度の計画に必要な対応を反映させるため、年度途中の10月に変更しました。

事業運営リスク対応、事業継続計画(BCP)の状況

自然災害への対応

2019年7月の九州地方の豪雨、10月の台風19号などにより、国内の数カ所の事業所で停電など微小な設備への影響がありましたが、従業員・家族への人的被害はありませんでした。在宅医療を支えるヘルスケア事業では、被害が大きかった地区での酸素濃縮器使用患者について、安否確認や予備ボンベの配送などを行いました。

業務継続訓練の実施

事業継続マネジメント(BCM)の一環として、国内各事業所や研究所などでは、毎年、防災訓練と地震避難訓練を実施しています。
2019年度は、11月に岩国事業所総合防災訓練に東京本社への緊急連絡(衛星電話利用)を加えた連携訓練を実施し、国内事業所で発生した緊急事態に対して、本社が迅速に情報を収集し、外部広報につなぐ際の手順を確認しました。

安否確認訓練

緊急時の従業員安否確認訓練として、帝人グループのインフォコム(株)の緊急時安否確認システム「エマージェンシーコール」を活用した国内通報訓練を毎年実施しています。2016年度からは、通報後24時間で安否応答が確認できない人に対して、各部署で追跡して再確認をとるというプロセスを入れています。2019年度の通報48時間後の安否確認率は99.8%と昨年の99.9%とほぼ同レベルでした。

新型コロナウイルスへの対応

世界的な感染拡大を受け、2020年1月に帝人グループ緊急対策本部を設置し、グループ全体の状況把握、感染ステージに応じた対策策定と実行、グループ内への情報発信と支援物資調整を継続しています。
また、帝人グループは、新型コロナウイルス感染症拡大に対し、自社の医薬品・医療機器による貢献、医療現場を支える医療用ガウンの供給など、各種の施策・活動に積極的に取り組んでいます。