株主・投資家情報

コーポレート・ガバナンスガイド

コーポレート・ガバナンスとコンプライアンス、リスクマネジメントに関する指針

2023年4月1日改定

コーポレート・ガバナンスの基本的な考え方

会社は株主から資本を預託され、事業活動を通じて利益を挙げ、中長期的に株主価値を持続的に増大することを期待されている。この株主の付託に応えることが経営の基本的使命である。この基本的使命を踏まえた上で、会社は社員、顧客を含む取引先、消費者、地域住民と地域社会等のステークホルダー(利害関係者)に対する夫々の責任を果たしていかなければならない。また、会社は、社会の一員であり、社会規範に沿った事業活動を行うとともに、事業活動を通じて社会に貢献しなければならない。
こうした基本の枠組みの中で優れた事業活動を行うことがコーポレート・ガバナンスを通じて会社経営者に求められるものであり、会社の繁栄に貢献し、社会的責任(CSR:Corporate Social Responsibility)を果たし、そしてアカウンタビリティー(説明責任と必要な情報開示)を実施するところにコーポレート・ガバナンスの重要性がある。
帝人(株)は、こうした考え方に基づき、経営の透明性、公正性及び社会的責任を重視した経営を行うとともに、情報の適時開示を行う。また、会社の競争力を高める為に迅速な決定と執行を行える組織と仕組みを追求する。また、帝人(株)は、そのグループ会社とその経営陣に対し、株主価値の持続的な増大に邁進するとともに優れた事業活動を行うよう求める。

意思決定、監視・監督と監査の仕組み

基本方針

コーポレート・ガバナンスの仕組みは、その時点で会社の目的達成に最適と思われる仕組みを採用することとする。従って、社会環境、法的環境の変化に伴い適宜見直すこととする。

取締役及び取締役会

  1. 1.取締役会の役割

    帝人(株)の取締役会は、各事業年度及び中長期の株主価値の最大化を目的とし、かつ株主以外のステークホルダーの立場にも充分な配慮を払いつつ、法定のあるいは法令が要請する事項と、帝人グループ全体の経営方針、全体計画などの重要事項について審議し決定又は承認する。また、取締役会はアカウンタビリティーの確保について責任を持つと共に、コンプライアンスと経営を取り巻くリスクのマネジメントについて方針を明確にし、その実施を監督する。

  2. 2.取締役会の構成と議長
    1. (1)取締役数は10名以内とし、原則として4名以上を社外取締役とする。
    2. (2)社内取締役の中から会長、社長執行役員を選任し、社長執行役員がCEOに当たる(以下社長執行役員をCEOという)。その他の社内取締役は原則として機能責任者を兼任する。
    3. (3)社外取締役は別途定める独立取締役要件を満足すべきものとする。
    4. (4)監視・監督と業務執行の分離の一環として、取締役会議長は社外取締役から選定する。
  3. 3.会長の位置付け

    会長は対内的業務執行には携わらないものとし、別段の必要がある場合を除いて代表権を持たない。

  4. 4.代表取締役

    代表取締役はCEOを含め3名以内を原則とする。

  5. 5.取締役の任期

    取締役の任期は1年とする。なお、社外取締役を含めて、別途定める年齢制限等に抵触しない限り、再任を妨げないものとする。

アドバイザーとアドバイザリー・ボード

  1. 1.諮問機関としてのアドバイザリー・ボード

    取締役会は、国内外の有識者を主体として構成されるアドバイザリー・ボードを継続運営し、その助言を得ることを通じて、「より良い経営」「より透明性の高い経営」を目指す。アドバイザリー・ボードは決定権を持たないが、取締役会に助言をする権能を持ち、取締役会はその助言を充分に考慮して意思決定を行う。

  2. 2.アドバイザリー・ボードの構成と議長
    1. (1)アドバイザリー・ボードは社外アドバイザー、会長及びCEOで構成する。
    2. (2)社外アドバイザーは5~7名程度とし、そのうち外国人アドバイザーは2~3名とする。社外アドバイザーは社外取締役に求められる独立取締役要件を満足する個人とする。
    3. (3)取締役会議長である社外取締役がアドバイザリー・ボードの議長となる。
  3. 3.開催頻度と会議内容
    1. (1)アドバイザリー・ボードの定例会合は年2回の開催とする。
    2. (2)アドバイザリー・ボードは下記の事項を、広く長期的視点から審議するものとする。
      1. (a)会社の事業計画及び戦略方向に関する事項(長期及び中期計画を含む)
      2. (b)コーポレートガバナンス、CSR、企業倫理などに関する事項
      3. (c)会社の業績に関する事項
      4. (d)内外政治・経済・法制に関する事項
      5. (e)その他経営全般に関する事項

指名諮問委員会及び報酬諮問委員会

  1. 1.諮問機関としての指名諮問委員会及び報酬諮問委員会

    役員人事に関して一層の透明性を図るため、指名諮問委員会及び報酬諮問委員会を設置し運営する。両委員会は、取締役会の諮問機関として、全ての取締役、経営陣幹部の指名、評価、報酬額、及び監査役の指名に関し、取締役会に提案、提言をする機能を持ち、取締役会はその提案、提言を充分に考慮して意思決定を行う。

  2. 2.構成と委員長
    1. (1)全社外取締役、会長、CEO(取締役会長空席の場合は、社外取締役およびCEOのメンバー)で構成する。
    2. (2)諮問委員会の委員長は、社外取締役とし、委員長が諮問委員会の議長となる。
  3. 3.会議内容

    両諮問委員会は、CEOの提案に基づいて下記の指名・報酬事項を審議するものとする。

指名事項
  1. 1.CEOの交代および後任者の推薦
  2. 2.代表取締役候補者の選任・退任
  3. 3.取締役候補者(会長を含む)の選任・退任
  4. 4.監査役候補者の選任・退任
  5. 5.社内取締役及び経営陣幹部の昇格・降格、選任・退任に関する事項
  6. 6.社外取締役及び社外監査役の独立性基準に関する事項
  7. 7.CEOの後任候補者の選定ならびにCEOによる後任候補者の育成計画、進捗状況のレビュー

なお、上記1の審議の際には、利害関係者であるCEOは、原則として決定メンバーに入らない。また、上記3の会長に関する案件の際には、利害関係者である会長は、原則として決定メンバーには入らない。

報酬事項
  1. 1. 帝人グループ役員の報酬制度に関する事項
  2. 2. 帝人グループ役員の報酬水準に関する事項
  3. 3.社内取締役(CEO含む)及び経営陣幹部の業績評価と報酬額に関する事項

なお、上記2及び3のうち、CEOに関する案件の際には、利害関係者であるCEOは、原則として決定メンバーに入らない。また、会長に関する案件の際には、利害関係者である会長は、原則として決定メンバーには入らない。

監査役及び監査役会

  1. 1.監査役会
    1. (1)監査役会の役割

      監査役会は、経営に関する監視・監査機能を有する。各監査役は取締役会その他の社内重要会議に出席し、意見の表明及び勧告を行う。

    2. (2)監査役会の構成
      1. (a)監査役数は原則として5名とする。その過半数を社外監査役とし、透明性を担保する。
      2. (b)監査業務の視点からは、社内事情を熟知した常勤監査役の存在を重視する。
      3. (c)社外監査役は別途定める独立監査役要件を満足すべきものとする。社外監査役の選任にあたっては、専門性を考慮し、バランスのとれた構成とする。
    3. (3)監査役の選任

      監査役会として監査役候補者の提案・同意を行う。監査役の任期については、法定任期の4年を重視する。

  2. 2.グループ監査役会
    1. (1)グループ監査役会の役割
      1. (a)グループ監査役会は、グループ連結経営に対応した帝人グループ全体の監視・監査の役割を担う。帝人(株)監査役会で決定された帝人グループの監査方針・計画に基づき、事業別の監査方針・計画、重点監査事項の選定等を協議し、その徹底を図る。
      2. (b)定例の会合を通じて情報を共有するとともに、メンバーの相互研鑽による監査水準の向上を図る。
    2. (2)グループ監査役会の構成

      原則として帝人(株)の監査役、グループ会社の常勤監査役、及びグループ監査役室員により構成する。

    3. (3)海外グループ会社

      海外グループ会社の監査については、帝人(株)の経営監査部による内部監査を主軸とし、会計監査に関しては、会計監査人による監査を義務付け、帝人(株)の監査役及びグループ監査役室員は計画に基づき往査を行う。

  3. 3.監査役会・グループ監査役会と他の監査主体との関係
    1. (1)帝人(株)及びグループ会社の会計監査人との連携を強化する。会計監査人の選任・交代に関しては、原則として帝人(株)の監査役会が主導する。
    2. (2)帝人(株)の経営監査部との連携を強化し、内部監査情報の恒常的かつ網羅的把握を行う。

コンプライアンスとトータル・リスクマネジメント

コンプライアンス

  1. 1.コンプライアンスの基本原則

    コーポレート・ガバナンス目的実現のために守るべきコンプライアンスの基本原則は以下の通りとする。

コンプライアンスの基本原則
  1. 1.会社の役員及び社員は、法令遵守は当然のこととして、社会の構成員としての企業人、社会人として求められる倫理観・価値観に基づき誠実に行動することが求められる。そして、このような誠実な行動が株主価値増大に不可欠である。
  2. 2.この認識に基づき、帝人(株)は、社会規範・倫理そして法令などを厳守し、公正かつ適切な経営の実現と市民社会との調和を図り、また企業理念、行動規範、その他の規程などの整備と徹底を行う。
  3. 3.帝人(株)は、そのグループ会社の役員及び社員に対し、上記のコンプライアンス原則を充分理解し、誠実に行動するよう求め、もって帝人グループを創造的に発展せしめる。
  1. 2.内部統制とコンプライアンスの関係

    企業倫理を含むコンプライアンスは、内部統制を支える要であり、帝人グループは高い企業倫理を持つ企業集団となることを目指す。

  2. 3.行動規範と関連規程類の周知徹底

    コンプライアンス原則に基づく具体的なコンプライアンスの内容は、「行動規範」によるものとする。帝人(株)の取締役会は、随時「行動規範」、その他の関連規程をコンプライアンス、リスクマネジメントそしてステークホルダーに対する責任などの配慮をもって見直しするとともに、グループ会社並びにその役員及び社員にそれらを周知徹底させるものとする。

トータル・リスクマネジメント(TRM:Total Risk Management)

  1. 1.TRMの基本原則

    リスクマネジメントは、コンプライアンスとともに、内部統制を支える要である。帝人グループの経営全般をカバーする総合的な体制としてTRM体制を構築する。TRMは、会社が直面する不確実性に対する予防手段と位置付け、その基本原則は以下の通りとする。

TRMの基本原則
  1. 1.会社は、その株主価値を高め、さらに株主を始めとするステークホルダーが満足できる事業活動を継続する使命があり、その実現を脅かすあらゆるリスク(不確実性)に対処する必要がある。帝人(株)は、グループ全体が晒されるかかるリスクを統合的かつ効率的に把握・評価・管理し、グループ経営に活かすための組織的・体系的アプローチを行う。
  2. 2.帝人(株)の取締役会は、帝人グループ全体のリスクマネジメントを行い、経営戦略・経営計画策定、戦略的なアクション、個別投資プロジェクトの決定等に伴う「経営戦略リスク」と、会社に悪影響をもたらす様々な有害事象である「業務運営リスク」のアセスメントを意思決定を行うに際しての重要な判断材料として位置付ける。
  3. 3.帝人(株)は、そのグループ会社とその役員に対し、TRM原則を充分理解し、会社活動を脅かすあらゆるリスクに対処するよう求める。
  1. 2.施策と運営
    1. (1)TRM推進のため、業務運営リスクを担当するサステナビリティ管掌を置き、経営戦略リスクについてはCEOが直接担当する。
    2. (2)取締役会の下に、業務運営リスクと経営戦略リスクを統合的に管理する「TRMコミティー」を設置する。
    3. (3)TRMコミティーの委員長はCEOとし、その他の委員は、サステナビリティ管掌及びCEOが指名した者とする。
    4. (4)取締役会は、TRMコミティーから提案されるTRM基本方針、TRM年次計画等の審議・決定を行うとともに、帝人グループとしての重要なリスクについて管理し、事業継続のための態勢を整備する。
  2. 3.監査役による監査

    監査役は、取締役会がTRMに関する適切な方針決定、監視・監督を行っているか否かについて監査する。

アカウンタビリティー

基本認識

会社のアカウンタビリティーは、事業の繁栄を図り株主価値を高めることと不可分の活動である。会社はそのミッションとビジョンを明確に示し、またコーポレート・ガバナンスの仕組みについて、適宜説明を行うべきである。また、コンプライアンスやTRMについても、そのポリシーの浸透を図る必要がある。帝人グループは、常に株主や社会の要請に配慮し、更に高いアカウンタビリティーを目指して行動する。

基本方針

  1. 1.具体的な情報の公開に当たっては、国内外に向けて、同時、同内容の開示を行うことを基本方針とする。
  2. 2.法定の財務情報の開示のみならず、ESGの観点から会社の情報の開示を積極的に行う。
  3. 3.情報開示及び株主・投資家とのコミュニケーションは、経営企画管掌が所管のもと、広報・IR部を中心に実施する。
  4. 4.広報・IR部は、株主・投資家への情報発信を一元管理するとともに、社内の関連部署との緊密な連携を通して、中長期経営戦略や重要案件の対外公表にも取り組む。
株主・投資家との対話の充実に向けた取り組み
  1. 1.株主・投資家との対話は、合理的な範囲で経営陣幹部が対応する。
  2. 2.定期的な決算説明会の開催に加え、会社説明会や施設見学会等、海外・国内の機関投資家ならびに個人株主・投資家にも配慮した対話機会の充実に積極的に取り組む。
  3. 3.対話により得られた投資家意見や、決算説明会・会社説明会等におけるアナリストとの質疑内容については広報・IR部が取り纏め、定期的に、経営企画管掌が取締役及び経営陣、並びに監査役にフィードバックする。
インサイダー情報の管理に関する方策

個別事業の競争戦略に関わる重要情報や、高度の営業秘密に関する情報を対外公表する際には、経営企画部門と事業部門がガイドラインを共有し、密に連携を行うことにより、情報の厳格な管理に努める。