コンプライアンス
基本的な考え方
「Integrity=常に正しく行動すること」は、帝人のコンプライアンスの原点であり、最も基本的な行動姿勢です。当社は、事業活動が「常に正しく」行われるよう、取締役会の監督のもと、企業倫理綱領としての行動規範の実践を徹底しています。「コンプライアンス推進は健全な企業風土を形成する活動である」という考えから、法令遵守はもとより社会規範にも沿った誠実な行動を役員および社員に求めています。当社の代表取締役をはじめとする役員は率先垂範するとともに、当社および子会社の役員および社員に対するコンプライアンス教育・啓発を行っています。誠実な行動が尊重される企業風土を醸成することで、株主価値の増大や従業員満足度の向上を目指します。
コンプライアンス推進の体制
帝人グループ内のコンプライアンス・リスクマネジメントの方針を審議・共有する場である「グループCSR委員会」の作業部会として、サステナビリティ推進部長を部会長、各事業のコンプライアンス担当部署の責任者をメンバーとする「グループコンプライアンス部会」を設置し、帝人グループ内各所のコンプライアンス推進の確認を行っています。さらに、各事業およびグループ会社各社では「CRM推進責任者(コンプライアンス・リスクマネジメント推進責任者)」を選任し活動の実行を促すほか、海外統轄会社においてもコンプライアンス担当を選任して地域性に応じた活動を進めています。こうした体制のもと、ホットラインや職制を通じたコンプライアンス報告および従業員意識調査アンケートを通じて帝人グループ内各所の課題を認識しています。認識した課題については、教育・啓発などの対策を帝人グループ内各所のコンプライアンス推進計画に反映させ実施しています。このPDCAサイクルをコンプライアンス推進体制に適用することで、持続的なコンプライアンスの確保が可能となり、定期的な評価や改善活動を通じて、組織内でのコンプライアンス意識の向上や法令遵守の風土を醸成し、リスクの最小化を図っています。

コンプライアンス推進の主な活動
「コンプライアンス推進は健全な企業風土を形成する活動である」という考えから、業務関連法令や社内規程だけでなく、企業倫理を周知徹底するために以下の取り組みを推進しています。
行動規範の浸透
各国の帝人グループ社員が理解できるように企業倫理ハンドブックを多言語に翻訳し配布しています。また、教育動画を制作し、各言語の字幕を付し、全グループ会社に発信しています。
税務方針の制定
帝人グループは、事業を行う国、地域、および多国間の税務に関する法令・規則を遵守するため、税に対する基本的な規範として2022年4月に税務方針を定めました。本方針に従って適正に納税することで、社会的責任を果たし、広く社会の理解と共感を得られる企業グループをめざすと同時に企業価値の増大に努めます。
企業倫理月間での全員研修
毎年10月を企業倫理月間と定め、帝人グループすべての役員・社員(契約社員や派遣社員を含む)を対象に、社内で認識したコンプライアンス課題をテーマとした研修を実施しています。
従業員意識調査アンケート
各国の帝人グループの役員および社員のコンプライアンス意識と実態を把握し、今後のコンプライアンス推進活動に活用するため、従業員意識調査アンケートを年に1回実施しています。2023年度は計19,765名を対象に実施し、61%が回答しました。
ホットライン窓口の運営

帝人グループにおける非違行為を役員、社員および取引先が直接通報できる手段としてホットライン窓口を運営しています。重大なリスクとなり得る通報はトップマネジメントに報告がなされ適切に対処します。また、対応が終了した通報事象について情報を一般化し、プライバシーに配慮した上で、半期ごとにイントラネット上に公表し、従業員の意識向上につなげています。さらに、内部通報制度の運用状況を定期的に取締役会に報告し、監督を受けています。
腐敗防止の取り組み
帝人グループは、「帝人グループ腐敗防止方針」を制定し、社内規則により腐敗防止の手続き・体制を整備するほか、腐敗防止のための行動基準を企業倫理ハンドブックに定め、役員および社員に徹底を図っています。
取引先の腐敗リスク管理
外部取引先を介した腐敗行為防止の観点から、代理店や調達先等の取引適格性を確認するため、デューディリジェンスを行うこととしています。企業買収の相手先企業についても、腐敗リスクについて、デューディリジェンスを行うこととしています。
リスクアセスメント
帝人グループにおける腐敗リスクの全容を明らかにするため、帝人グループ各社の各事業・各拠点を対象に外部法律事務所によるアセスメントを実施しています。これまでのアセスメントの結果では、腐敗リスクが顕著な事業や拠点はありませんでした。ただし、政府等の公的機関を相手とするビジネスでは、地域特性も踏まえ、帝人グループの基本方針に沿った管理体制の整備や教育を優先的に実施することが推奨されました。アセスメント結果に基づく各事業・各拠点の腐敗リスクに応じて、適切な対策を実施していきます。
教育
帝人グループ各社の各事業・各拠点で営業・調達・他社との協業等の業務を担う社員を対象に、腐敗防止に関するeラーニングを実施しています。
今後の課題
内部監査とリスクアセスメント調査を定期的に実施し、腐敗防止のPDCAサイクルを整備していきます。また、グループ内において、腐敗防止に関する教育・研修の定期的な実施や、役員および社員が贈賄などのリスクに直面した場合の内部通報制度の利用および相談窓口への相談を徹底するほか、社外取引先に向けても通報制度などの整備を順次進めていく予定です。
資金提供の状況
帝人グループは、原則として政治献金は行いません。ただし、事業遂行上の必要な支出については、帝人グループの責任・権限規程に従い、関連する規制の範囲内で行います。また、グループのうち、医薬品・医療機器・再生医療事業を展開するグループ会社では、医療機関等との関係の透明性に関する指針を制定し、同指針に従って、医療機関等への資金提供の状況を公開しています。
- 帝人ファーマ(株) :「 帝人ファーマ株式会社と医療機関等との関係の透明性に関する指針」
- (株)ジャパン・ティッシュエンジニアリング :「 医療機関等との連携・協力活動の透明性に関する指針」
- 帝人ナカシマメディカル(株) :「 帝人ナカシマメディカルの企業活動と医療機関等との関係の透明性に関する指針」
- 帝人メディカルテクノロジー(株) :「 企業活動と医療機関等との関係の透明性に関する指針」
- 帝人リジェネット(株) および 帝人(株)再生医療戦略部 :「 企業活動と医療機関等との関係の透明性に関する指針」
安全保障輸出管理体制の充実と継続的運用
グローバルに事業を展開する帝人グループにおいて、法令を遵守し確実な安全保障輸出管理を行うことは極めて重要です。帝人グループの中で輸出などを行う各社は、「グループ安全保障輸出管理規程」の下、それに整合する「安全保障輸出管理規程」「安全保障輸出管理実施細則」などを制定して運用しています。
実行体制は事業本部と本社に専門スタッフを置く二重の管理体制を採用し、確実な安全保障輸出管理に取り組んでいます。安全保障輸出管理で遵守すべき法令などの詳細事項は頻繁に改正されているため、帝人グループでは、本社スタッフが得た最新情報を速やかに事業本部へ周知すると共に、定期的な教育の実施や社外の実務能力認定試験の受験推進によってレベルアップを図っています。