株主・投資家情報

コーポレート・ガバナンスの概要

基本的な考え方

帝人グループでは、企業価値の持続的向上を基本的使命であると踏まえたうえ、多様なステークホルダー(利害関係者)に対する責任を果たしていくために、コーポレート・ガバナンスの強化に取り組んでいます。コーポレート・ガバナンスの基本を「透明性の向上」「公正性の確保」「意思決定の迅速化」「監視・監督の独立性の確保」とし、「独立社外取締役が半数以上を構成する取締役会と執行役員制」、「独立社外監査役が過半数を構成する監査等委員会」、「独立社外取締役が過半数を構成する指名諮問委員会・報酬諮問委員会」等を通じ、実効性のあるコーポレート・ガバナンス体制の構築・強化に努めています。また、コーポレート・ガバナンスに関する指針を帝人グループ「コーポレート・ガバナンスガイド」として制定し、公表しています。

コーポレートガバナンス・コードへの対応状況

当社は、東京証券取引所の「コーポレートガバナンス・コード」に記載された項目をすべて実施しています。詳細につきましてはコーポレート・ガバナンスに関する報告書をご覧ください。

政策保有株式

(1) 政策保有株式に関する方針

当社は、取引維持・強化および業務提携の推進等を図ることにより、中長期的な企業価値向上に資すると判断した企業の株式を保有しています。保有する株式については、個別銘柄ごとに保有目的および合理性について中長期的な観点から精査し、保有の適否を取締役会にて毎年検証しています。検証においては、配当・取引額等の定量効果と資本コストの比較に加え、経営戦略上の重要性や事業上の関係等を総合的に勘案しています。
なお、検証の結果、保有意義が希薄化したと判断したものについては売却を進めており、2024年度においても、特定投資株式2銘柄、みなし保有株式2銘柄の全保有株数(うち、1銘柄は重複)、特定投資株式2銘柄の一部保有株数を売却し、売却価額の合計は55億円(うち、みなし保有株式については36億円)となりました。
今後も、現在保有する政策保有株式企業との協議を継続し、上場株式については原則として全株式を売却するよう努めます。
また、当社の株式を保有する政策保有株主から売却等の意思表示が示された際には、売却を妨げることなく適切に対応しています。

  1. *売却価額は、当社単体における上場株式の額

(2) 政策保有株式に係る議決権行使基準

保有すると判断した株式に係る議決権の行使について は、当社の中長期的な企業価値並びに投資先企業の株主価値の向上の観点から、議案ごとに確認を行い、賛否を判断します。投資先企業の企業価値に重大な影響が生じる可能性のある議案については、特に留意して必要な情報を収集し精査します。

ガバナンス強化に向けた主な取り組み

1999年
  • 取締役の人数を24名から9名へ
  • 執行役員制度を導入
    →業務執行における意思決定の迅速化と責任体制の明確化
  • アドバイザリー・ボードを設置
  • 独立社外監査役:3名選任(監査役会の過半数)
2003年
  • 独立社外取締役:3名選任
2012年
  • 独立社外取締役:4名選任
2015年
  • 指名諮問委員会/報酬諮問委員会を設置
2021年
  • 取締役会議長を常時独立社外取締役に
  • 会長の任期を短縮(内規)
  • 指名諮問委員会/報酬諮問委員会の構成メンバーを変更(全独立社外取締役が参加)
  • シニア・アドバイザーは原則会長不在時のみ配置
  • 名誉顧問制度を廃止 *
  • 顧問・特別顧問制度を廃止
  • 役員報酬制度を改定し、譲渡制限付株式報酬および業績連動型株式報酬を導入
2022年
  • アドバイザリー・ボードの体制・機能を変更
    (議長を取締役会の議長である独立社外取締役に変更するとともに、CEO/会長を含むすべての取締役の指名/報酬諮問機能を、指名諮問委員会または報酬諮問委員会に一本化)
2023年
  • 取締役会の構成メンバーを変更
    (独立社外取締役の構成比率を50%へ引き上げ)
2024年
  • 取締役会の構成人数を8名→7名に変更
    (取締役会の構成において独立社外取締役を過半数に引き上げ)
2025年
  • 監査等委員会設置会社へ移行
  • 社外アドバイザー体制の変更

組織形態:監査等委員会設置会社

帝人グループでは、コーポレート・ガバナンスの仕組みについて、会社の目的達成に最も適した体制をその時点で採用し、社会環境や法的環境の変化に応じて適宜見直す方針を掲げています。この考えに基づき、当社は2025年6月に「監査等委員会設置会社」へと移行しました。この移行により、当社は、取締役会から執行部門への権限委譲を拡大し、経営に関する意思決定の迅速化を図っていきます。さらに、取締役会では中長期的な経営戦略など、重要な経営課題に対する議論をより充実させるとともに、監査等を担う取締役(監査等委員)が議決権を持つことで、取締役会の監督機能の一層の強化を目指します。

(2025年8月時点)

取締役会

取締役会は、原則月1回開催され、法令・定款に定められた事項のほか、帝人グループ全体の経営方針、全体計画などの重要事項について審議し決定または承認するとともに、取締役の職務執行を監督しています。取締役会規則において取締役会付議事項を定めるほか、意思決定の迅速化と業務執行責任の明確化を目的に、帝人グループの業務執行に関する重要事項(各事業および機能運営に係わる個別中・短期計画、個別重要事項)について、各執行役員に対して適切な権限の委譲を行っています。
意思決定の迅速化と業務執行責任の明確化を目的に、定款において、取締役の定数を12名以内とし、そのうち監査等委員である取締役は5名以内と定め、大幅な権限委譲のもとで執行役員制度を導入しています。また、原則として取締役総数の半数以上を社外取締役とすることとしています。現在、当社の取締役会は11名(うち4名は女性)で構成し、当社の定める独立取締役の要件を満たす社外取締役は6名です。なお、監査等委員でない取締役は6名、うち独立社外取締役は3名で構成し、任期は定款で1年と定めています。一方、監査等委員である取締役は5名、うち独立社外取締役は3名で構成し、任期は定款で2年と定めています。

2024年度の取締役会

開催状況

開催回数:14回

主な議題・審議事項

経営・事業戦略
  • 長期ビジョンの見直しと将来に向けた事業ポートフォリオ
  • 中期経営計画の進捗モニタリング
  • サステナビリティ戦略
  • 人的資本/知財に関する取り組み
  • 親子上場の合理性(インフォコム(株)譲渡)
  • 事業戦略上の重要投資案件
  • 重要投資案件等の進捗モニタリング
  • 2025年度短期経営計画 他
コーポレート・ガバナンス
  • 機関設計の変更(監査等委員会設置会社への移行)
  • 取締役会の実効性評価
  • 内部統制システム運用評価結果報告および内部統制システムの基本方針
  • コーポレート・ガバナンスに関する報告書の提出
  • 政策保有株式の状況
  • トータル・リスクマネジメント(TRM)基本計画および年次計画
  • 監査役監査計画 他
決算/IR/株主総会
  • 決算および業績見通し
  • 剰余金の配当
  • ステークホルダーコミュニケーション取り組み状況
  • 定時株主総会総括 他
役員人事/報酬
  • 帝人グループ執行役員の就退任および委嘱業務
  • 取締役および帝人グループ執行役員の人事・報酬制度および報酬額 他

スキル項目の選定理由

当社は、中期経営計画や経営課題に基づき、「スキル項目の選定理由」を踏まえて、スキルマトリックスを設定しています。各取締役が保有しているさまざまな知識、経験、能力の中から、「取締役会・監査等委員会の役割・責務を果たすうえで特に貢献を期待するスキル」を表し、全体としてバランスを備えた取締役会・監査等委員会の構成を目指しています。
また、ジェンダーを含めた多様性の向上にも努めており、取締役のうち女性(楠瀬玲子、鳥居知子、南多美枝、竹岡八重子の4氏)の比率は36%です。なお、南多美枝氏は外国籍です。

カテゴリー スキル項目 スキル項目選定理由
経営・変革 事業会社(上場)経営 経営環境を踏まえ、上場事業会社運営上の機会とリスクを把握し、企業価値向上のために、総合的観点から適切な意思決定、監督が重要と考えます
事業再構築・社内改革 ポートフォリオ変革を進める上で、事業再構築や社内改革などチェンジマネジメントをリードした経験や知見が活かされると考えます
事業 当社事業・関連領域 適切なリスクをとりながら事業に関する重要意思決定や監督を行う際に、当該領域における知見が活かされると考えます
機能・基盤 生産・技術・品質・知財・DX 生産革新、品質管理・信頼性保証、研究開発、知的財産やDXの取り組みは、競争力や収益力向上の基礎として、重要性がますます高まると考えます
グローバル組織マネジメント 異なる価値観や複雑さを内包するグローバル組織運営の知見は、組織能力の最大化やリスクマネジメントに活かされると考えます
人的資本・DE&I 経営戦略の実効性向上のための帝人グループのパーパス浸透による企業文化の変革と人的資本の取り組みとして、「戦略を実装する『適所』の確立と『適材』の確保」「人財が活躍するための施策」を進めることが企業価値向上に必須と考えます
財務・会計・IR ポートフォリオ変革、持続的な成長を支える強固な財務基盤に向けて、財務戦略・資本政策や資本市場とのコミュニケーションは重要と考えます
リスクマネジメント・法務 情報収集と分析を通じ、複雑化・高度化するリスクに適切に対処することは、企業価値維持・向上に必要不可欠であると考えます
サステナビリティ 帝人グループのパーパス"Pioneering solutions together for a healthy planet"を起点として、サステナビリティの観点で企業価値向上を追求することは重要と考えます

スキルマトリックス

取締役

執行役員 独立社外取締役
内川
哲茂
森山
直彦
中原
雄司
津谷
正明
楠瀬
玲子
前田
東一
経営・変革 事業会社(上場)経営
事業再構築・社内改革
事業 当社事業・関連領域
マテリアル

ヘルスケア

インフラ/マテリアル

モビリティ

モビリティ/インダストリアル

インフラ/インダストリアル
機能・基盤 生産・技術・品質・知財・DX
グローバル組織マネジメント
人的資本・DE&I
財務・会計・IR
リスクマネジメント・法務
サステナビリティ
  1. *取締役会・監査役会の役割・責務を果たす上で、特に貢献を期待するスキルを記載するもので、保有するすべてのスキルを表すものではありません。なお「機能・基盤」においては、2つ程度を目安としています。

取締役(監査等委員)

常勤監査等委員 独立社外取締役/監査等委員
嶋井
正典
鳥居
知子
辻󠄀
幸一

多美枝
竹岡
八重子
経営・変革 事業会社(上場)経営
事業再構築・社内改革
事業 当社事業・関連領域
マテリアル

ヘルスケア

インフラ/
インダストリアル

ヘルスケア

モビリティ/マテリアル
機能・基盤 生産・技術・品質・知財・DX
グローバル組織マネジメント
人的資本・DE&I
財務・会計・IR
リスクマネジメント・法務
サステナビリティ
  1. *取締役会・監査役会の役割・責務を果たす上で、特に貢献を期待するスキルを記載するもので、保有するすべてのスキルを表すものではありません。なお「機能・基盤」においては、2つ程度を目安としています。

取締役の活動状況

氏名 当社における
地位
在任期間 期待される役割 出席状況
(2023年度)
取締役 内川 哲茂 代表取締役
社長執行役員
4年 実行力強化に向けた体制づくりと社内変革を推進する強いリーダーシップ、収益性改善や事業ポートフォリオ変革、経営基盤強化への取り組み(中期経営計画2024-2025の実現) 取締役会14回/14回
森山 直彦 代表取締役
専務執行役員
4年 成長戦略立案・推進や変革の主導、中期経営計画を推進する上で生じるさまざまな障壁や変動要素に対する戦略的かつ適切な対応 取締役会14回/14回
中原 雄司 取締役
執行役員
経営戦略に基づく技術戦略立案・推進、当社の成長を担う成長戦略プロジェクトの推進 2025年6月に就任
独立社外
取締役
津谷 正明 取締役 3年 上場会社CEO・会長の経験と豊富な事業経験、高い見識に基づく意思決定や業務執行の監督ならびに経営への助言 取締役会14回/14回
楠瀬 玲子 取締役 1年 経営統合を行った企業における企業変革やグローバルな組織運営の経験、DE&Iの視点からの広い知見・高い見識に基づく意思決定や業務執行の監督ならびに経営への助言 取締役会9回/9回
前田 東一 取締役 上場会社社長、会長を歴任し、事業ポートフォリオの進化および効率的・実効的なコーポレート・ガバナンスをリードしてきた経験に基づく意思決定や業務執行の監督ならびに経営への助言 2025年6月に就任
常勤監査等委員 嶋井 正典 取締役(常勤監査等委員) 6年 経理・財務の知識および経験と、事業内容への精通に基づく意思決定、業務執行の監査・監督、助言 取締役会14回/14回
監査役会13回/13回
鳥居 知子 取締役(常勤監査等委員) 1年 科学・技術に関する知識に基づくヘルスケア事業での豊富な業務経験と、事業活動や企業風土への理解に基づくく意思決定、業務執行の監査・監督、助言 取締役会9回/9回
監査役会9回/9回
独立社外
監査等委員
辻󠄀 幸一 取締役(監査等委員) 2年 公認会計士や企業経営等の経験に基づく高い見識や、リスクマネジメントの知見を踏まえた業務執行の監査・監督、助言 取締役会14回/14回
監査役会13回/13回
南 多美枝 取締役(監査等委員) 2年 グローバル企業におけるヘルスケアや産業材関連事業、複数地域での責任者経験および、マーケティングの知見を踏まえた意思決定、業務執行の監査・監督、助言 取締役会14回/14回
竹岡 八重子 取締役(監査等委員) 企業法務(知的財産権・コンプライアンス等)の高い見識および豊富な社外役員経験を通じて培われた経営視点、企業内監査体制の知見を踏まえた意思決定、業務執行の監査・監督、助言 2025年6月に就任

取締役会の実行性評価

取締役会のさらなる実効性確保と機能向上を目的に、取締役会全体としての実効性に関する分析・評価を年に1回実施することとしています。

実効性評価結果の総括

現状のコーポレート・ガバナンス体制および運用に問題はなく、当社の取締役会は、全体として適切に機能しており、実効性が確保されていると評価されました。また、各取締役の高いコミットメント・レベル、自由に発言しあえる取締役・監査役間の相互信頼関係が当社の取締役会の実効性を支える強みであることが確認されました。

取締役会のさらなる実効性向上のために2024年度に取り組んだ実績

項目 具体的内容
取締役会の在り方に関する議論
  • 取締役会の果たすべき機能は、中長期の成長戦略の議論の深化と同時に、戦略実行をモニタリングする監督機能の強化であるとの方針を明確化
  • ⇒上記方針に基づき機関設計のあり方について協議をし、監査役会設置会社から監査等委員会設置会社への移行を決定した
会議体の整理
  • 方向性協議や情報共有を目的とした取締役会による非公式な定例会合の設定
  • ⇒中長期戦略、事業ポートフォリオ等に関する審議の充実が大幅に改善した
議論すべき事項の整理
  • 期初に「中長期成長戦略」・「事業ポートフォリオ変革」等、重点審議する年間アジェンダの事前合意を実施
  • ⇒メリハリあるアジェンダの設定を達成し、取締役会の議案充足度が向上した

2024年度までに認識した課題への対応状況

2024年度までに認識した課題について中長期的な観点からも議論を深め、CEOを含む執行役員による対策および施策の具現化・実行を加速させるべく、その実施状況については、適宜、取締役会で報告を受け、進捗状況を確認しました。

課題 対応
中長期の経営計画の進捗確認・必要に応じた戦略再検討
  • 不採算事業や非注力事業の事業売却等の推進
  • 持続的な成長戦略推進を支える既存事業の収益力の維持・拡大のための、他社との提携を含むさまざまな選択肢の検討
サステナビリティ戦略に関する対応状況
  • 確実な戦略遂行に向けて、CEOの下に「サステナビリティ・コミティー」を設置し、サステナビリティに関する方針の検討や推進のための体制の整備
DX戦略に関する対応状況
  • 価値提供型ビジネスへの転換・発展の早期実現および、企業運営・事業運営のスピードアップと効率性向上に向けて、グローバルにリード・サポートする「デジタル・情報システム管掌」の設置
人的資本に関する対応状況
  • グローバルでの「適所適材」の実現のため、海外拠点への異動も可能とする社内公募制度「グローバルジョブポスティング制度」の導入や職務に基づく処遇を実現するため、経営管理職に対するジョブ型制度を導入
親子上場に関する対応状況
  • インフォコム(株)の全株式譲渡の決定・完了

2024年度までに実効性評価にて認識された課題と今後の取り組み

2024年度に実施した実効性評価も踏まえ、取締役会で議論した結果、2025年度においては以下の課題への取り組みを一層推進していくこととしました。今後も取締役会の実効性を向上させ、コーポレート・ガバナンスの一層の強化に努めていきます。

項目 対応
重要課題の議論深化
  • 重要課題設定プロセスを見直し、各課題は事前に論点を明確化した上で、論点に沿った討議を実施
経営執行体制の再整備と機能向上
  • 帝人グループ内シナジーを最大限発揮できる執行体制の再整備
  • モニタリングボードとして適切にモニタリング可能な報告体制を検討
経営人財の育成
  • 現経営人財の専門性強化
  • 次世代人財の育成

監査等委員会

当社は、2025年6月に「監査等委員会設置会社」へと移行しました。当社の監査等委員会は5名(うち3名は女性)の監査等委員である取締役で構成し、当社の定める独立取締役の要件を満たす社外取締役は過半数の3名です。監査等委員会は法律や財務・会計などの専門性を有する監査等委員を擁し、専門的知見に基づき取締役の職務の執行を監査しています。
また、グループ全体の監視・監査の実効性を高めるため、当社の監査等委員とグループ会社の常勤監査役等で構成するグループ監査役会を定期的に開催しています。

2024年度の監査役会開催状況

監査役会では、2024年度は①企業活動の健全性に焦点を当てた監査、②リスクアプローチによる予防監査の重視、③現地往査による実態把握強化、④会計監査人監査、内部監査との適切な連携を基本方針に、右表に記載の事項を重点監査事項として監査に取り組みました。監査役の活動として、取締役会その他重要な会議(グループ経営戦略会議やTRMコミティー等)への出席、重要な決裁書類等の閲覧、本社および主要な事業所における業務および財産の状況の調査を実施しました。子会社については、当該取締役および監査役等と意思疎通および情報交換を図り、重要な子会社への往査を実施し、必要に応じて事業の報告を受けました。
また、監査役によるCEOとの懇談会や、取締役、主要な執行役員との面談を実施し、必要に応じて提言を行いました。常勤監査役は本社スタッフ各部の業務報告を受け、意見交換を行いました。

監査視点 重点監査事項
ガバナンス
  • 重要海外事業の事業運営および内部統制状況(本社管理含む)
  • 新しい組織・役員体制での対応状況
  • 上場子会社に対するガバナンス体制
  • コーポレートガバナンス・コード対応
企業倫理・コンプライアンス
                                        
  • 法令の改正・規制の強化、人権尊重等社会要請事項への対応
  • コンプライアンス体制の整備・運用(内部通報制度や支店・営業所、グループ会社等の実態把握を含む)
  • 内部統制システムの整備・運用
業務運営リスクへの備え
  • 人財マネジメント(人的資本)への対応
  • 生産関連:ESH事故対策、生産設備・管理システムの整備・運用
  • 情報セキュリティリスクへの対応
  • 第2線ディフェンスを含む本社機能の有効性
  • 会計制度変更等への対応(IFRS初度適用、四半期報告書制度廃止)
経営戦略リスクへの備え
                                        
  • 中期経営計画策定のレビューと実行計画への落とし込み
  • 特別対策事業/会社の計画の遂行状況の適時モニタリング
  • リスク管理の規程への組み込みを含むリスクマネジメント体制整備と運用

指名諮問委員会/報酬諮問委員会

役員人事、報酬に関して一層の透明性の向上を図るため、取締役会の諮問機関として、指名諮問委員会および報酬諮問委員会を設置しています。それぞれの委員会では、下記の事項を審議し、取締役会への提案、提言を行っています。
両委員会は、監査等委員でない社外取締役全員、会長およびCEO(会長空席の場合は、監査等委員でない社外取締役全員およびCEO)で構成します。各委員会の委員長は、監査等委員でない社外取締役から選定するものとし、委員長が各委員会の議長となります。なお、CEOに関する案件については、利害関係者であるCEOは原則として決定メンバーに入りません。また、会長に関する案件については、利害関係者である会長は原則として決定メンバーに入りません。

指名諮問委員会の審議事項

  • CEOの交代および後任者の推薦
  • 代表取締役候補者の選任・退任
  • 取締役候補者(会長を含む)の選任・退任
  • 監査役候補者の選任・退任
  • 社内取締役および経営陣幹部の昇格・降格、選任・退任、シニア・アドバイザーの委嘱・解嘱に関する事項
  • 独立社外取締役および独立社外監査役の独立性基準に関する事項
  • CEOの後任候補者の選定ならびにCEOによる後任候補者の育成計画、進捗状況のレビュー
  • 役員関連規則(報酬関連を除く)に関する事項
    1. *経営役員:帝人グループ全体の経営戦略等の審議に必要不可欠なコアメンバーとなる帝人グループ執行役員

報酬諮問委員会の審議事項

  • 取締役、経営役員、シニア・アドバイザー(以下帝人グループ役員と称する)の報酬制度に関する事項
  • 帝人グループ役員の報酬水準に関する事項
  • 監査等委員でない社内取締役(CEOを含む)および経営役員の業績評価と報酬額に関する事項
  • 役員関連規則(報酬関連)に関する事項

2024年度の各諮問委員会の開催状況

開催状況

開催回数:指名諮問委員会 12回、報酬諮問委員会 14回

主な議題・審議事項

指名諮問委員会
  • CEO再任審査およびCEOによる後任候補者の育成計画・進捗状況のレビュー
  • 役員人事制度の改定
  • 2025年度役員人事
  • 社外役員の独立性
報酬諮問委員会
  • 役員報酬制度の改定
  • 役員報酬水準の検討
  • CEOを含む社内取締役、経営陣幹部の2023年度業績評価および報酬額の算定

グループ経営戦略会議/グループマネジメント会議

取締役会から権限委譲された当社および帝人グループの業務執行に関する重要事項については、CEOが、原則として毎月2回以上開催される「グループ経営戦略会議」および月1回開催される「グループマネジメント会議」での審議を経て意思決定します。
「グループ経営戦略会議」は、CEO、経営役員、その他CEOが指名した者がメンバーとなり、CEOがこれを招集し、その議長となります。また、「グループマネジメント会議」は、CEO、経営役員、事業本部長、その他CEOが指名した者がメンバーとなり、CEOがこれを招集しその議長となります。なお、メンバー以外に常勤監査等委員が両会議に出席します。

役員報酬

当社における取締役個人別の報酬等の決定方針は、独立社外取締役を過半数とする報酬諮問委員会において、毎期、その妥当性を審議した上で、取締役会の決議により決定しています。報酬諮問委員会の審議においては、経営環境の変化や株主・投資家の皆様からのご意見等を踏まえるとともに、グローバルに豊富な経験・知見を有する第三者機関より審議に必要な情報等を得ています。なお、以下記載における「取締役」は、別段の定めのない限り、取締役(監査等委員である取締役を除く)を指します。

報酬制度の基本方針
  1. ⅰ.短期および中長期経営目標の達成を動機づけ、かつ、中長期的な業績の向上と企業価値の増大への貢献意識を高めるものであること
  2. ⅱ.会社業績との連動性が高く、かつ透明性・客観性が高いものであること
  3. ⅲ.ステークホルダーとの価値の共有や株主重視の経営意識を高めることを主眼としたものであること
  4. ⅳ.グローバルに優秀な経営人財を確保するために経営者のインセンティブとなる報酬水準、報酬内容とすること

役員の報酬の構成

  1. ⅰ. 執行役員を兼務する社内取締役の報酬は、会社業績には連動しない定額報酬である基本報酬に加えて、短期の業績達成および中期経営計画の達成や中長期的な企業価値の向上に向けたインセンティブを付与することを目的として、変動報酬である業績連動報酬(短期インセンティブ報酬)、譲渡制限付株式報酬(中長期インセンティブ報酬)および業績連動型株式報酬(中長期インセンティブ報酬)で構成します。
    なお、執行役員を兼務しない社内取締役については、それぞれの委嘱業務に応じた基本報酬および業績連動報酬のみまたは基本報酬のみとし、譲渡制限付株式報酬(中長期インセンティブ報酬)および業績連動型株式報酬(中長期インセンティブ報酬)は付与対象外とします。
  2. ⅱ. 社外取締役の報酬は、会社業績には連動しない基本報酬のみとします。
  3. ⅲ. 監査等委員である取締役の報酬は、職務に鑑みて、基本報酬のみとします。

役員報酬の構成比率

執行役員を兼務する社内取締役については、以下の通りの報酬構成比率としています。

定額報酬

基本報酬 取締役の役位およびジョブグレードに応じた固定額を支給します。

変動報酬

業績連動報酬 基礎収益力の回復、ならびに事業ポートフォリオ変革推進に向け、「事業利益」「税後事業利益ROIC」および非財務指標(安全)を含む取締役個人の業績目標に基づき支給します。
譲渡制限付株式報酬 役位およびジョブグレードに応じた基準額相当の譲渡制限付株式および株式ユニットを付与します。
業績連動型株式報酬 中長期的な企業価値向上・株主価値向上の実現に向け、「当期利益ROE」「TSR」および非財務指標(環境、DE&I、社員エンゲージメント)として「サステナビリティ」を業績評価指標とし、目標の達成度等に応じて譲渡制限付株式および株式ユニットを付与します。それぞれの構成割合(1年分)は「当期利益ROE」が40%、「TSR」が30%、「サステナビリティ」が30%です。
       
  1. *株式ユニットとは、1ユニット当たり、当社の普通株式1株当たりの株価に相当する金額の金銭の支給を当社から受けることができるものです。

役員報酬支給額(2024年度)

役員区分 報酬等の総額
(百万円)
報酬等の種類別の総額(百万円) 対象となる
役員の員数(名)
基本報酬 業績連動報酬 譲渡制限付
株式報酬
業績連動型
株式報酬
取締役
(社外取締役を除く)
365 189 75 38 62 4
社外取締役 75 75 - - - 5
監査役
(社外監査役を除く)
77 77 - - - 3
社外監査役 45 45 - - - 3