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Race Against Climate Change Tokyo

Race Against Climate Change とは

Envision Racingは、レース参戦を通じて、地球温暖化や気候変動を中心に、サステナブルに関する様々な問題への意識啓発や行動喚起に力を入れています。この一環として、2017年より、環境啓発イベント「Race Against Climate Change」 を開催しています。
産官学から、環境分野の有識者や環境問題に取組む企業関係者等を招致し、持続可能な都市のあり方やEV、再生可能エネルギーの普及などに関するパネルディスカッションを行っています。

RACC Tokyoの開催

「サーキュラーエコノミーの実現」は、帝人グループの「重要な社会課題」の一つです。一方、Envision Racingは、「Formula Eは単なるサーキット上でのレースではなく、サステナブルな変化を推進する、強力なプラットフォームである」と考えています。
両者はこのような思いを共有し、2024年3月、Formula E 初の東京大会開催に先立ち、Race Against Climate Change Tokyo(RACC Tokyo)を初共催し、以後、東京大会にあわせて毎年開催しています。


2025年5月のイベントでは、EVや車載バッテリー、モビリティファイナンス、プラスチックリサイクルを展開する企業を招待し、 2つのパネルディスカッションを通じて、「業界の垣根を超えた連携やイノベーションによって、サーキュラーエコノミーへの移行をどのように加速できるか」という喫緊の課題について、多角的な視点で議論しました。

パネルディスカッション1

From Race to Reality - サーキュラーなイノベーションの実験場としてのFormula E

Envision Racingとバッテリーメーカーの株式会社AESCジャパンが、Formula Eがレースの枠を超えて、どのように社会の変化を促進できるかを議論しました。


Envision Racingのマネージング・ディレクター兼CTOシルヴァン・フィリッピ氏は、Formula EのモータースポーツにおけるサステナビリティやEV技術の先進性について、具体例を用いて、説明しました。

サステナビリティにおける先進性

Formula 1が、1レースあたり、マシン1台につき20セットのタイヤを使用し、チームも大所帯であるのに対し、Formula Eは週末のレースにごとに、マシン1台につき2セットのタイヤを使用し、チームも小規模。これは、Formula Eが効率性や省資源を重視していることを示しています。

EV技術における先進性

2014年の創設当初、Formula Eはドライバー1人あたり2台のマシンを必要としていましたが、現在では、1台での効率性、350kWの最高出力、時速0~100kmを1.8秒で加速する性能(Formula 1のマシンを30%上回る加速性)を実現するまでに進化しました。2026年に投入予定の第4世代マシンは、最高出力600kWと高度なエネルギー回生技術で、さらにEVの可能性を拡げることが期待されています。


株式会社AESCジャパンCEOの松本昌一氏は、AESCが展開するバッテリーのリサイクル技術やバッテリー原料の安定供給とコスト削減を両立させるための国際的なリサイクルネットワークを構築中であることを説明しました。

パネルディスカッション2

Innovating for a Circular Economy - 素材やモビリティ関連企業の取組み

株式会社esaのCOO米久保秀明氏のモデレーションのもと、Global Mobility Service株式会社、WHILL株式会社、帝人が登壇し、サーキュラーエコノミーのビジョンやリサイクル素材の環境や物理的な価値に加え、社会的価値を創出するイノベーションの重要性について議論しました。

Global Mobility Service株式会社 代表取締役社長CEO 中島徳至氏

テクノロジーを活用して、恵まれないコミュニティに移動手段と雇用の場を創出するという「人のサーキュラー(人の信用の再構築)」という考えを披露しました。 同社は、IoT 技術を活用した信用創造サービスを提供する金融包摂型FinTechサービスを通じて、従来の与信審査には通過できなかった人々へ、ローンやリースの金融サービスを活用する機会を創出し、人々が経済に参画し、社会的地位を向上することを支援しています。

WHILL株式会社 共同創業者/最高開発責任者 内藤淳平氏

人々が、身体能力に関わらず、諦めずに、行きたい場所へ行ける社会が「サーキュラー」とし、 パーソナルモビリティに、単に環境に良い素材を使っているという環境価値を訴求すること以上に、乗りたいと思ったり、乗ることに"ワクワク"するような情緒的な価値を加える重要性を強調しました。

帝人 環境ソリューション部門長 八木穣氏

リサイクル(資源の循環)のみならず、耐久性のある素材を長く使うこともサーキュラーに貢献すると話しました。帝人は、リサイクル素材のトレーサビリティを可能とする、デジタル・プロダクト・パスポートの取組みを進めていますが、CO₂排出量といった環境データに、ユーザーが製品の価値を認め、「リサイクル材を使うことが楽しい」と思ってもらえるようなストーリーを加え、情緒的な価値を創出することが必要かもしれない、とも語りました。


登壇者は、コストがサーキュラーエコノミーを実現する上での課題であること、また、「リサイクル素材を使いたい」といった考え方や文化の変化が重要である点を共有して、セッションを締めくくりました。

将来を見据えて

「サーキュラリティは、単独では実現できない」ー2つのパネルディスカッションの共通のメッセージです。Formula EがEVイノベーションの実験場として機能するためにも、また、企業が社会的公平性やマテリアル・サイエンスを通じてモビリティを再定義しようとするためにも、いずれも、業界や産業セクター、国境を越えたコラボレーションは必須です。
帝人グループでは、パーパス"Pioneering solutions together for a healthy planet"が示すように、美しい地球環境と、そこに暮らす全ての生命の健康のために、社内の多様な専門性を活かし、お客様やパートナー様との協業を通じて、社会課題に対するソリューションを提供していきます。

動画

過去開催の様子