株主・投資家情報

コーポレート・ガバナンスの概要

基本的な考え方

帝人グループでは、株主価値の持続的向上を基本的使命であると踏まえた上、多様なステークホルダー(利害関係者)に対する責任を果たしていくために、コーポレート・ガバナンスの強化に取り組んでいます。コーポレート・ガバナンスの基本を「透明性の向上」「公正性の確保」「意思決定の迅速化」「監視・監督の独立性の確保」とし、「アドバイザリー・ボード」「独立社外取締役を含む取締役会と執行役員制」「独立社外監査役を含む監査役体制」等を通じ、実効性のあるコーポレート・ガバナンス体制の構築・強化に努めています。また、コーポレート・ガバナンスに関する指針を帝人グループ「コーポレート・ガバナンスガイド」として制定し、公表しています。

ガバナンス強化に向けた取り組み

コーポレート・ガバナンス体制(2020年6月現在)

組織形態:監査役会設置会社

社内取締役(業務執行取締役に限る)が主導する業務執行と、社外取締役が力点を置く経営の監視・監督機能および監査役・監査役会による当該機能の両輪を核としたガバナンス体制が適切であると判断しており、当社は、当面「監査役会設置会社」を継続することとしています。

取締役・監査役・外国人有識者に期待する役割と活動状況

氏名 期待する役割 アドバイザリー・ボード 指名諮問委員会
報酬諮問委員会
2019年度取締役会・監査役会への出席状況
取締役 鈴木 純 2020年2月に策定した中期経営計画に基づく、将来に向けた企業価値向上のための各戦略の推進 取締役会12回/12回
園部 芳久 経理財務部門および経営戦略部門で培った知見・見識を活かした、当社の財務健全性を維持しながらの経営戦略の推進 取締役会12回/12回
鍋島 昭久 ヘルスケア事業分野で培った経験と見識を活かした、ヘルスケア事業の収益拡大と新事業育成の推進 取締役会9回/9回
小山 俊也 マテリアル事業分野で培った経験と見識を活かした、マテリアル事業の収益拡大と将来に向けた重点分野の育成の推進 2020年6月より就任
小川 英次 経営企画管掌として、成長基盤の確立に向けたポートフォリオ変革と経営基盤の強化といった最重要課題の達成に向けた戦略の立案 2020年6月より就任
独立社外取締役 大坪 文雄 上場会社の社長・会長としての経験と、その豊富な事業経験、高い見識に基づく事業運営についての指導・提言 取締役会12回/12回
内永 ゆか子 上場会社副社長としての経験と、その豊富な事業経験やダイバーシティ(多様性)に対する深い造詣に基づく事業運営についての指導・提言 取締役会12回/12回
鈴木 庸一 国際経済および通商問題に関する交渉をはじめとする、外交官としての経験と、その豊富な知識やグローバルな視点からの高い見識に基づく事業運営についての指導・提言 取締役会12回/12回
大西 賢 上場会社の社長・会長としての経験と、その豊富な事業経験、高い見識に基づく事業運営についての指導・提言 取締役会9回/9回
監査役 嶋井 正典 管理・経理部門での経験と、その豊富な経理・財務の知識、当社の事業内容への深い理解に基づく経営全般の監視と有効な助言 取締役会9回/9回
監査役会9回/9回
中石 昭夫 マテリアル事業の技術に対する知見と、豊富な実務経験を活かした、経営全般の監視と有効な助言 2020年6月より就任
独立社外監査役 池上 玄 公認会計士としての豊富な知見や経験に基づく当社のコンプライアンスの維持・向上への貢献、経営全般の監視と有効な助言 取締役会12回/12回
監査役会12回/12回
中山 ひとみ 弁護士としての豊富な知見や経験に基づく当社のコンプライアンスの維持・向上への貢献、経営全般の監視と有効な助言 取締役会12回/12回
監査役会12回/12回
有馬 純 地球環境・経済問題に対する豊富な知見や経験に基づく、コンプライアンスの維持・向上への貢献、経営全般の監視と有効な助言および環境経営などへの助言・指摘 2020年6月より就任
外国人有識者 Alexander H.G. Rinnooy Kan*1 欧州をはじめとする経済・経営に関する豊富な知識や、グローバル視点からの高い見識に基づく企業経営やガバナンスについての指導・提言 -
Thomas M. Connelly, Jr.*2 米国大手化学会社の上級副社長としての経験と、グローバルレベルでの豊富な企業経営や事業経験、高い見識に基づく企業価値向上に資する指導・提言 -
  1. *1オランダ アムステルダム大学 教授
  2. *2アメリカ化学会 エグゼクティブディレクター/CEO

取締役会

取締役会は、各事業年度および中長期の株主価値の最大化を目的とし、株主以外のステークホルダーの立場にも十分に配慮しつつ、法令が要請する事項と、帝人グループ全体の経営方針、全体計画などの重要事項について審議し、決定または承認します。また、取締役会はアカウンタビリティの確保について責任を持つとともに、コンプライアンスと経営を取り巻くリスクのマネジメントについて方針を明確にし、その実施を監督します。

取締役会の概要

  • 定款上の人数:10名以内
  • 任期:1年
  • 議長:社外取締役(大坪 文雄)
取締役会の実効性評価

取締役会のさらなる実効性確保と機能向上を目的に、取締役会全体としての実効性に関する分析・評価を年に1回実施しています。2019年度の取締役会の実効性評価の方法および結果の概要は以下の通りです。

分析・評価の方法

取締役9名・監査役5名を対象とした記名式の自己評価アンケートを実施しました。アンケートの評価項目は8つの領域から構成され、35の質問に対し5段階で評価の上、コメントする形式です。このアンケート結果に基づき、取締役会の実効性および取り組むべき課題・改善策について、取締役会で議論しました。

  1. 1.戦略とその実行
  2. 2.リスクと危機管理
  3. 3.企業倫理
  4. 4.業績のモニタリング
  5. 5.組織・事業再編関連取引
  6. 6.経営陣の評価、報酬および後継者計画
  7. 7.ステークホルダーとの対話
  8. 8.取締役会の構成と運用

評価結果

上記プロセスによる評価の結果、現状のコーポレート・ガバナンス体制および運用に問題はなく、当社の取締役会は、全体として適切に機能しており、実効性が確保されていると判断しました。なお、アンケートの結果も、すべての項目について肯定的な評価が高い割合を占めています。

継続的に取り組むべき課題への対応状況

これまでの取締役会の実効性評価で継続的に取り組むべきと認識されていた課題については、以下のように対応しており、引き続き改善を図っていきます。

  • ステークホルダーとの対話

    ステークホルダーとの対話分析や情報発信の内容について、取締役会への報告を継続的に実施

  • リスク管理体制の強化

    帝人グループのリスク管理を統合的に行っているTRMコミティーからの提案内容の取締役会での審議、主要取引先調査結果およびBCP(事業継続計画)の対応状況の定期的な取締役会への報告を継続

認識された課題

取締役会がさらなる実効性を持って本来の機能を果たすため、以下の課題が認識されました。

  • 新規ビジネス創出についての議論の深化
  • 親子上場の合理性についての議論の深化
  • 諮問機関の位置づけについての議論の深化

今後の取り組み

2020年度は、2019年度の取り組みを継続するとともに、今回の実効性評価で新たに認識された課題を中心に取り組みを強化します。

アドバイザリー・ボード(経営諮問委員会)

2019年11月8日開催、パレスホテル東京にて
(参考:2020年5月はオンラインにて開催)

アドバイザリー・ボードは取締役会の諮問機関として、経営全般に対する助言・提言を行うほか、ボード内に設置した指名・報酬委員会において、CEOの交代および後継者の推薦、CEOおよび会長の報酬制度や水準の審議、CEOの業績評価などを行います。メンバーは、5~7名の社外アドバイザー(現在、社外取締役4名、外国人有識者2名で構成)と取締役会長(取締役会長が空席の場合は、相談役)、CEOで構成します。議長は取締役会長(取締役会長が空席の場合は、相談役)が務め、指名・報酬委員会では社外取締役が委員長を務めます。CEOに関する事案については、CEOは退席し、審議には参加しません。また、会長に関する事案については、会長は退席し、審議には参加しません。

指名諮問委員会/報酬諮問委員会

役員人事に関して一層の透明性の向上を図るため、指名諮問委員会および報酬諮問委員会を運営しています。社外取締役2名、取締役会長(不在の場合は空席)、CEOがメンバーとして参加し、委員長は社外取締役が務めます。両委員会は、取締役会の諮問機関として、会長、CEO以外の取締役、経営陣幹部の指名・評価・報酬額および監査役の指名に関し、取締役会に提案・提言する機能を有しています。

監査役会/グループ監査役会

各監査役は取締役会その他の社内重要会議に出席し、業務執行や会計の適法性・妥当性について意見の表明および勧告を行うことで、経営に関する監視・監査機能を果たしています。会計監査人、内部監査部門との連携についても、会計上および内部統制上の課題等について説明を受け、監査上の重点事項について協議しています。また、グループ会社の監査役等で構成するグループ監査役会では、監査方針・監査情報等の共有を行うとともに、各所のリスク対応事例等について共通認識を得ることにより、グループ全体の監視・監査の実効性を高め、公正な監査が可能な体制となっています。

役員報酬

社内取締役の報酬は、短期の業績達成および中長期の企業価値の向上を意識づけるため、定額報酬である基本報酬と、変動報酬である業績連動報酬(短期インセンティブ報酬)および株式報酬型ストックオプション(中長期インセンティブ報酬)で構成されています。中期経営計画で経営指標として掲げた、収益性指標としてのROE、成長性指標としてのEBITDA、投入資源に対する収益効率性指標である営業利益ROICの3つを変動報酬に係る指標とすることで、各取締役に対し、重点経営指標の改善を動機づけています。業績連動報酬支給率は、ROEの達成度、EBITDAおよび営業利益ROICの対予算達成度、取締役個人の業績評価に基づき変動します。また、ストックオプション割当数は、ROEの達成度とEBITDAの対予算達成度に基づき変動します。割り当てられたストックオプションは取締役退任後から5年の期間内において権利行使可能とする条件を定めています。

社外取締役および監査役の報酬は、会社業績には連動しない定額報酬のみとしています。

報酬制度の基本方針

  • 中長期的な業績の向上と企業価値の増大への貢献意識を高めるものであること
  • 会社業績との連動性が高く、かつ透明性・客観性が高いものであること
  • 株主との利益意識の共有や株主重視の経営意識を高めることを主眼としたものであること
  • 優秀な経営人財を確保するに足る報酬水準を維持すること

役員報酬支給額(2019年度)

役員区分 報酬等の総額
(百万円)
報酬等の種類別の総額(百万円) 対象となる
役員の員数(名)
基本報酬 業績連動報酬 株式報酬型ストックオプション
取締役
(社外取締役を除く)
350 266 65 19 6
監査役
(社外監査役を除く)
69 69 - - 3
社外取締役 66 66 - - 5
社外監査役 36 36 - - 3
  1. 注1取締役に対する報酬限度額は、年額700百万円です。(2006年6月23日開催第140回定時株主総会決議)
  2. 注2監査役に対する報酬限度額は、月額12百万円です。(1999年6月25日開催第133回定時株主総会決議)

2020年度からの報酬構成比率の変更について

「中期経営計画 2020-2022」の開始に伴い、より中長期的な視点を持ち、持続的な企業価値向上に取り組んでいくため、社内取締役の報酬構成比率を変更しました。

社内取締役の報酬構成比率

TRM(トータル・リスクマネジメント)

帝人グループは、企業の持続的成長を脅かすあらゆるリスクに対処するため、「経営戦略リスク」と「業務運営リスク」を対象とするTRM体制を構築し、リスクの統合管理を行っています。2003年度からCEOを委員長とする「TRMコミティー」を取締役会の下に設置しており、取締役会は、TRMコミティーから提案されるTRM基本方針、TRM年次計画等の審議・決定を行うとともに、重要なリスクを管理し、事業継続のための態勢を整備します。また、監査役は、取締役会がTRMに関する適切な方針決定、監視・監督を行っているか否かについて監査します。

「経営戦略リスク」の評価についてはCEOが直接担当し、取締役会等における重要な経営判断材料として提供します。「業務運営リスク」についてはCSR管掌が担当し、横断的なリスクマネジメント体制の整備、問題点の把握および危機発生時の対応を行います。

認識しているリスク

帝人グループがTRMコミティーで重大リスクとして管理している経営戦略リスクおよび業務運営リスクの内容は以下の通りです。

経営戦略リスク

経営戦略リスクについては、業績や財政状態に大きく影響を及ぼす可能性のあるものを中心に抽出しており、これらを想定した上でリスクのアセスメントを実施しています。特に、市場・競合環境変動リスクについては、事前にコンティンジェンシープランを作成するとともに、予兆も含めモニタリングを継続し、戦略の変更等早めの対応ができるよう準備しています。COVID-19の影響で世界経済が減速し、重点市場である自動車・航空機の需要が減少する中で、コンティンジェンシープランを発動させ、中長期を見据えた対応策に取り組んでいます。

業績や財政状態への影響可能性 主な該当事業
マクロ環境リスク 景気・経済動向
  • 事業を展開している各国・地域の景気動向や経済状況、主要な供給先である自動車・航空機市場の動向による販売量の変動
マテリアル/
繊維・製品
原燃料価格
  • 製品の原材料や工程で使用する燃料等の価格変動によるコストの変動
為替レート
  • 外貨建て取引の財務諸表への反映や海外連結子会社の財務諸表の円換算等で必要となる為替レートの変動(対米ドル1円の円高の場合、営業利益で約4億円/年の減益影響)
金利
  • 有利子負債の金利の利率変動
全体
市場・競合環境変動リスク 競合環境
  • 競合環境の変化による需給構造の変動
全体
サプライチェーンの需要
  • 素材・中間材料・部品供給ビジネスにおける、末端の需要動向がもたらすサプライチェーンの各段階での実体経済以上の在庫調整
マテリアル/
繊維・製品
資源投入リスク
  • 戦略に適合する案件が探索できず、設備投資・M&Aの実施が不可となる、もしくは遅延
  • 研究開発費の投入に対し、研究開発の成果が目標から大きく乖離
全体
制度変化リスク
  • 温室効果ガス排出規制、プラスチック製品規制等の想定以上の強化
  • 米中貿易摩擦の再燃等をはじめとする、世界的な保護主義の台頭
  • 国内における薬価改定等の医療費抑制政策の加速
全体
財務健全性リスク 固定資産の減損
  • 経営環境の著しい悪化等で生じる収益性の低下等による、保有する固定資産についての減損損失の発生
全体
繰延税金資産の取り崩し
  • 将来の課税所得の予測・仮定が変更されることで繰延税金資産の一部または全部が回収できないと判断された場合の繰延税金資産の減額
全体

業務運営リスク

会社に悪影響をもたらす業務運営リスクは、項目ごとの具体的なリスク内容について、被害想定額と年間発生頻度の2軸平面にマッピングを行い、影響の大きいものを抽出・管理しています。それをもとに全社および事業別のリスクの傾向をまとめ、経年での比較・分析も実施しています。なお、事業環境の変化や社会全体におけるリスクマネジメント手法の進化などを鑑み、リスクの抽出・評価方法の見直しを行っています。

業務運営に影響を及ぼすリスク内容 主な取り組み
自然災害等リスク
  • 気候変動に伴う台風・豪雨等による風水害・土砂災害
  • 大型地震、津波等
  • 感染症の急速な拡大
事業継続計画の随時見直しや各種防災訓練を通じて、災害発生時の被害の最小化や速やかな復旧を目指します。
製造リスク
  • 有害化学物質や産業廃棄物等の不適切な取り扱いによる環境への負荷
  • 保有する化学プラントでの爆発・火災等の大事故
KPIを設定し、有害化学物質および埋立廃棄物の管理・削減に取り組んでいます。また、防災に関する各種ガイドラインに基づいた防災診断や教育・訓練の実施など、さまざまな施策に取り組んでいます。
製品・品質リスク
  • 製品・サービスの欠陥等、重大な品質問題の発生
帝人(株)、帝人ファーマ(株)等の主要子会社に、他の部門から独立した専任の品質・信頼性保証部署を設置し、厳格な品質管理基準に基づき、事業活動全般における品質保証を確保する体制を敷いています。
法令・倫理リスク
  • 各種法令違反、セクハラ・パワハラ等の不祥事
  • サプライチェーン上の人権問題の発生
M&A等により社員の多様性が高まる中、「企業倫理ハンドブック」等を活用して企業理念や行動規範をグローバルに浸透させ、コンプライアンスの徹底を図っています。また、人権デューディリジェンスやCSR調達などの取り組みを強化しています。
情報セキュリティリスク
  • 災害、サイバー攻撃、不正アクセス等による情報の外部流出
研究開発・製造・販売などに関する重要情報、ヘルスケア事業における個人情報等を取り扱うにあたり、ハード面・ソフト面で情報セキュリティ対策を実施しています。

業務運営リスクマネジメントのグループ推進体制

以下の体制のもと、海外を含むグループ全体の業務運営リスクの管理を行っています。CSR管掌および帝人(株)CSR・信頼性保証部が、各事業グループ、グループ会社等が行う個別のリスク管理を全社横断的に把握・確認し、統一的な対応指針を策定するなど、グループ全体のリスク管理体制を強化しています。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大影響

ヘルスケア事業・IT事業においては収益への影響は軽微であるものの、自動車・航空機分野を中心に、マテリアル事業や繊維・製品事業において影響を受けています。財務リスクの極小化やサプライチェーンの保全に注力しつつ、ステークホルダーの健康と安全確保を最優先し、感染拡大防止を徹底した業務運営を実施しています。