うつ病治療に新たな選択肢を提供

磁気刺激治療装置「ニューロスター」を販売開始

帝人ファーマ株式会社(本社:東京都千代田区、社長:渡辺 一郎)は、米国の医療機器メーカーであるNeuronetics, Inc.(本社:米国ペンシルバニア州、以下「ニューロネティクス社」)と独占販売契約を締結した「NeuroStar TMS 治療装置」(以下「ニューロスター」)について、このたび日本で初めて、うつ病の経頭蓋治療用磁気刺激装置として保険適用となったことを受け、本日より販売を開始しました。

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背景・経緯

  1. 1.厚生労働省の患者調査などによると、国内のうつ病患者数は年々増加し、受診者で約73万人、未受診の潜在患者まで含めると250万人以上とされており、そのうち約3割が、通常の抗うつ剤では症状が改善されにくいうつ病と言われています。
  2. 2.抗うつ剤治療で効果が不充分なうつ病に対しては、作用機序の異なる薬剤の併用や頭部に電流を流す「電気けいれん療法」が用いられますが、治療選択肢が限られていることから、より有効性・安全性の高い治療法のニーズが高まっています。
  3. 3.帝人ファーマは、2017年にニューロネティクス社と日本における「ニューロスター」の独占販売契約を締結し、上市に向けて準備を進めてきましたが、本年6月1日を以って保険適用となったことから販売開始に至りました。

「ニューロスター」について

  1. 1.「ニューロスター」は、ニューロネティクス社が開発したrTMS(反復経頭蓋磁気刺激)装置で、2008年に米国で初めてうつ病の治療機器としてFDAの承認を受けました。以来、10年で約6万人のうつ病患者さんに治療実績があります。
  2. 2.日本においては、既存の抗うつ剤治療で充分な効果が認められない成人のうつ病患者に対し、唯一rTMS治療装置として保険が適用されています。
  3. 3.本装置は、頭部に当てた磁気コイルから、非侵襲的に「左背外側前頭前野」に磁気刺激を与え、神経伝達物質の放出を促す*1ことで脳内を活性化させます。約40分の治療を週5回、計20~30回行うことで、うつ症状を軽減、消失する効果が期待されます*2

    *1 出典:Post, A and Keck, ME(2001). J Psychiatr Res

    *2 出典:Kito, S, Fujita,K, and Koga, Y (2008). Neuropsychobiology

  4. 4.また、本装置には主な副作用として、頭痛や治療部位の不快感などがありますが、一般的な抗うつ薬で見られるような全身的な副作用は発生しにくく、副作用により治療継続が困難な患者さんにとっても新たな選択肢となることが期待されます。
  5. 5.なお、本装置による治療の実施者には、日本精神神経学会が主催する「rTMS実施者講習会」および当社が主催する実技講習会の受講が求められます。
  6. 6.「ニューロスター」の概要は次のとおりです。
  7. 販売名 NeuroStar TMS 治療装置
    一般名称 経頭蓋治療用磁気刺激装置
    使用目的または効果 成人のうつ病(既存の抗うつ剤治療で十分な効果が認められない場合に限る)
    医療機器承認番号 22900BZI00029000
    クラス分類 高度管理医療機器・特定保守管理医療機器

今後の展開

  1. 1.帝人ファーマは、関連学会や専門医との連携により「ニューロスター」の適正使用の普及に取り組み、うつ病患者さんの症状の緩和およびQOL(Quality of Life)向上に貢献していきます。
  2. 2.帝人グループは、将来に向けた発展戦略の1つとしてヘルスケア事業領域における製品・サービスのラインナップの拡充を掲げており、今後も脳神経疾患領域やリハビリ領域を中心として、革新的な医療機器の開発に取り組んでいきます。

当件に関するお問い合わせ先

報道関係のお問い合わせ先
帝人株式会社 コーポレートコミュニケーション部
03-3506-4055


その他のお問い合わせ先
帝人ファーマ株式会社 脳神経事業推進班
03-3506-4275

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