消防隊員の健康と安心・安全に貢献

暑熱順化トレーニング向けモニタリングシステムの開発

帝人(株)(本社:大阪市北区、社長:鈴木純)は、このたび、消防隊員が行う暑熱順化*トレーニングに向けたモニタリングシステムを開発しました。高温で過酷な状況において消火活動に従事する消防隊員向けとして商品化を進め、2020年度よりレンタル展開を開始します。

* 暑熱順化:暑さに身体を慣らし、代謝や発汗を促すことで、徐々に熱中症を起こしにくい状態にすること

暑熱順化トレーニングモニタリングシステムの仕組み

開発の背景

  1. 1.消防隊員は火災から身を守るため、難燃性などに優れた防護衣料を重ねて着用しますが、熱が体内の深部にまで蓄積されて熱中症を引き起こすことがあり、近年は、夏場の暑熱環境での作業における熱中症対策が喫緊の課題となっています。
  2. 2.こうした課題に対応するため、帝人(株)は、活動中の消防隊員が着用する消防服内の温度計測と、医学的な見地と検証に基づく深部体温の予測から熱中症リスクを予知するソリューションとして、ウェアラブルデバイス内蔵の「スマート消防服」による安全警報システムを開発し、2017年には大阪市立大学との共同研究により、世界で初めて、深部体温の予測による熱中症リスクの予知に成功しました。
  3. 3.それ以降、当システムの実用化に向け、両者は実証実験や改良を重ねてきましたが、その中で、消防隊員が夏を迎える前に行う暑熱順化トレーニングの適正状況の観測に対するニーズを把握し、専用のモニタリングシステムを開発することとしました。

今次開発したシステムについて

  1. 1.このたび開発したモニタリングシステムは、当社と大阪市立大学が消防局などの協力を得ながら蓄積したデータを活用し、共同開発したアルゴリズムでトレーニング中の深部体温を予測することにより、熱中症のリスク予知を行いつつ、体力状況に応じた効果的なトレーニングの計画・実施および管理が可能となります。
  2. 2.着用する防火服およびトレーニングウェアの胸部には、帝人グループでIT事業を展開するインフォコム(株)と共同開発した名刺ケースサイズのセンシングデバイスを配置し、着用者の活動量および衣服内温度を測定することで深部体温の予測を行います。消防隊員のデータはリアルタイムでパソコンに送信され、管理者はデータを一元管理のもと、時系列で確認することができます。
  3. 3.また、発汗など暑熱環境と同様の身体状況を作り出すトレーニングウェアは、帝人グループの繊維・製品事業の中核を担う帝人フロンティア(株)が開発します。

今後の展開

  1. 1.帝人(株)は、2020年度より暑熱順化トレーニング向けのモニタリングシステムとして実用化し、レンタルによる展開を開始します。レンタル価格は、1名あたり5,000円/月(税抜)の予定です。
  2. 2.さらに2025年までには、政令指定都市を中心に全国の消防本部(約750拠点)の20%に普及を目指す他、暑熱環境で作業・運動などを行う方々や一般の方々にも当システムの適用を図り、拡大展開していきます。
  3. 3.帝人グループは、長期ビジョンである「未来の社会を支える会社」の実現に向けて、人々に安心・安全な生活を提供する「トータル・セーフティ・ソリューション・プロバイダー」を目指し、災害対策・社会インフラ整備に関わる安全性の向上に貢献していきます。


当件に関するお問い合わせ先

帝人(株) コーポレートコミュニケーション部
03-3506-4055

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