サステナビリティ

トータル・リスクマネジメント

基本的な考え方

リスクマネジメントは、コンプライアンスとともに、内部統制を支える要と位置付け、帝人グループの経営全般をカバーする総合的な体制としてトータル・リスクマネジメント(TRM)体制を構築しています。当社は、その企業価値を高め、さらに株主をはじめとするステークホルダーが満足できる事業活動を継続する使命があり、その実現を脅かすあらゆるリスク(不確実性)に対処する必要があるとの認識のもと、グループ全体が晒されるかかるリスクを統合的かつ効率的に把握・評価・管理し、グループ経営に活かすための組織的・体系的アプローチを行うこととしています。当社取締役会は、帝人グループ全体のリスクマネジメントを監督し、経営戦略・経営計画策定、戦略的なアクション、個別投資プロジェクトの決定等に伴う「経営戦略リスク」と、会社に悪影響をもたらすさまざまな有害事象である「業務運営リスク」のアセスメントを、意思決定を行うに際しての重要な判断材料として位置付けています。また、当社は、グループ会社とその役員に対し、こうした考え方を十分理解し、会社活動を脅かすあらゆるリスクに対処するよう求めています。

リスクマネジメント体制

経営戦略リスクマネジメント(SRM)は、CEOが議長を務め、業務執行に関する重要事項を審議する「グループ経営戦略会議」において、取り組みを推進しています。業務運営リスクマネジメント(ORM)はサステナビリティ管掌が担当し、CEOを議長とする「リスクマネジメント・コミティー」において、方針の検討およびこの方針に基づく取り組みの推進・進捗管理を行っています。

主なリスク

経営戦略リスク

2026年6月時点で認識している主なリスクとしては、中東情勢の不安定化によるエネルギー価格の変動や原材料調達、国際物流網への影響、主要国間における地政学的緊張の継続・拡大、ならびに主要国における通商政策・産業政策及び経済安全保障政策の不確実性等が挙げられます。また、同意なき買収や事業構造の見直しが当社グループ全体に及ぼす影響、AIをはじめとするデジタル技術の進展等による業界構造の変化、国際秩序の流動化に伴う経済環境の変化についても、中長期的な経営戦略上のリスクとして認識しています。

業務運営リスク

リスクマネジメント・コミティーでは、リスク領域を9領域(広域災害、情報、地政学・経済安全保障、品質、コンプライアンス、人財、安全、環境、社会)に整理し、各領域のリスクについて、①影響度、②発生確率、③発生時期の観点から評価を行い、発現すると経営への影響が大きい重大リスクを特定しています。さらに、リスクマネジメントの実効性を高めるため、重大リスクの中でも特に重点的な管理が必要と判断したリスク(重点管理リスク)については、リスクマネジメント・オーナー(担当役員)を任命し、想定される主要なリスクシナリオに基づき当年度の対応方針を策定しています。2026年度は、情報セキュリティ、サプライチェーン分断、大規模自然災害、火災・漏洩、技術情報流出、重大品質不正・偽装、重大不祥事を重点管理リスクとして設定しました。リスクマネジメント・コミティーの下で各オーナーが対応策を進めるとともに、リスク発現時の即応体制の整備にも取り組んでいます。

2026年度重大リスク

リスク領域 主要リスク リスク内容 対応方針 影響度(a) 発生確率(b) 発生時期 リスク評価(a×b) 重点管理
広域災害 大規模自然災害 大規模自然災害(首都直下地震・南海トラフ地震、富士山噴火等)により、操業停止、物流寸断、人員確保の困難化、経営機能の中断等が生じ、事業継続に重大な影響が発生 災害対応マニュアルの見直し、SOP整備等を通じた実務レベルでの実効性強化 3 2 短~長期 6 ●
情報 情報セキュリティ 取引先を含むサプライチェーン全体への高度化した攻撃拡大により、情報漏えいだけでなく、操業停止、設備トラブル、安全事故等につながるリスクの連鎖的発生により、事業継続困難 グループ全体のセキュリティレベル向上に向けた取組みの継続推進、BCP訓練実施 3 3 短期 9 ●
AI・デジタルリスク AI活用の遅れや誤用(偽情報利用、機密情報入力、誤判断等)、AI規制/データ規制への対応不足により、業務プロセスや統制プロセスの設計/運用に不備が生じ、情報漏えい、品質不良、業務停止等が連鎖的に発生 情報系人財の教育プログラム整備とキャリアパスの明確化、DX人財育成プログラムの継続的提供 2 2 短~中期 4 -
地政学・経済安全保障 サプライチェーン分断 中東情勢の不安定化等による地政学的対立の拡大や制裁・輸出規制、物流・エネルギー制約の長期化により、特定地域/品目の調達や輸送が継続的に制約され、原材料の供給遅延/不足やコスト上昇により、生産、製品供給、事業継続にも重大な影響が発生 安定調達体制の構築及び結果事象型の観点からの対策検討を通じた想定外事象に対するレジリエンス強化 3 3 短期 9 ●
技術情報流出 不正アクセスや内部不正等により重要技術・機密が流出。競争優位性の毀損と共に、経済安全保障を理由とする制裁/処分に発展 重要技術情報及び管理状況の棚卸を踏まえた情報整備、管理強化策検討・展開 2 3 短期 6 ●
為替激変 急激な為替変動により輸出入コストや海外拠点収益が大きく変動し、事業採算・財務計画に重大な影響が生じる 事業損益管理の中での対応継続 2 2 短~中期 4 -
品質 重大品質不正・偽装 重大な品質不正・偽装が原因で顧客に多大な被害・損害が発生し、事業停止処分、巨額の補償負担が発生、他事業へもレピュテーション影響波及 品質コンプライアンスに特化した内部監査強化 2 3 短期 6 ●
コンプライアンス 重大不祥事 社会的注目を集めるコンプライアンス問題が発生し、マスコミ報道過熱、レピュテーション低下により、顧客喪失、事業継続困難 目の届きにくい地域・グループ会社への対応強化 2 3 短期 6 ●
人財 人財流出・採用 人財流出や採用難の長期化により専門技術・保全・品質管理等の重要機能の継続性が損なわれ、事業運営力が低下し、経営基盤が弱体化 労働環境改善推進(ジョブ型、キャリア自律支援等の制度整備含む)、主要会社における離職率水準の定期的確認 2 2 中~長期 4 -
安全 火災・漏洩 設備不良・オペレーションミスに伴い漏洩や異常が発生し、火災事故まで発展。製造工程の停止や市場からの信頼低下により事業環境が悪化。頻発する漏洩により社外・環境への影響が生じたことによる操業停止 漏洩・火災など重大な防災事故の未然防止に向けた各所の対応検証・診断と防災マネジメントの見直し 3 2 短期 6 ●
環境 気候変動(移行リスク) 環境規制や情報開示義務、顧客からのCO2削減要請への対応遅れにより、顧客喪失、投資家離れが発生 グローバルの規制動向モニタリングを継続、遅延なく対応 1 2 中~長期 2 -
社会 サプライチェーン人権 規制強化への対応不備や人権侵害の発覚により、レピュテーション低下、顧客喪失、訴訟、人財流出が発生 外部リスクアセスメント(サーベイ)に基づくハイリスク事業の課題対応とモニタリング 2 1 中期 2 -
  • *影響度、発生確率を各1~3の3段階で評価。重大リスクのうち、影響度×発生確率で評価されるリスク評価6点以上を「重点管理リスク」として特定(「発生時期」は「発生確率」にも含まれる概念のため参考扱い)

エマージングリスク

中東情勢の不安定化や主要国間における地政学的緊張の継続・拡大、及びそれらも一因とするサプライチェーンの分断、国内における大規模自然災害等は、懸念が高まっているリスク(エマージングリスク)でもあり、主な戦略リスク、重点管理リスクとしてそれらへの対応や取り組みを進めています。