サステナビリティ

主な活動内容

帝人グループは、企業理念「クォリティ・オブ・ライフの向上」を実現のため、「すべての人間の尊厳と権利を尊重する」ことを基本姿勢としています。2011年に国連が策定した「ビジネスと人権に関する指導原則(以下、UNGPs)」や国際労働機関(ILO)が規定した原則*に基づき、人権尊重に取り組んでいます。

  • *中核的労働基準である「児童労働の禁止」「強制労働の禁止」「差別の撤廃」「結社の自由・団体交渉権の承認」「安全で健康的な労働環境」の支持・尊重を含みます。

帝人グループは、企業理念で「人間への深い理解と豊かな創造力でクォリティ・オブ・ライフの向上に努めます」と宣言しており、その実現には、「すべての人間の尊厳と権利を尊重する」ことは不可欠です。 帝人グループでは、2018年6月に「行動規範」を「Together」「Environment, Safety & Health」「Integrity」「Joy at Work」「INnovation」という5項目に全面改訂し、「Integrity」の項目で、人権への取り組み姿勢を明示しました。

Integrity:私たちは、法令規則を遵守し、人権および地域コミュニティを尊重して、誠実に行動します。

  • すべての事業活動およびサプライチェーンにおいて人権を尊重し、差別やハラスメントなどを許容しません。また、説明責任を果たし、地域コミュニティから信頼される事業活動に努めます。
  • 事業を行う国、地域、および多国間の法令・規則を遵守し、また国際的な規範を尊重します。

2020年8月には、この「行動規範」を帝人グループ全体で共有するためCEOのビデオメッセージを作成し、帝人グループが展開する全地域・国の言語による字幕を付けて、全グループ会社に発信しました。

また、2019年3月に帝人(株)取締役会において「帝人グループ人権方針」の制定を決議し、人権の尊重は企業として果たすべき重要な社会的責任であるとの認識のもと、事業活動の全てにおいて、あらゆる人権侵害に直接的に関与しないだけでなく、社外の関係者を通して間接的にも加担しないよう努めることを宣言しました。

英国現代奴隷法については、「英国現代奴隷法に関する声明」をホームページ上に掲載しています。

人権デューディリジェンスの取り組み

帝人グループは、人権方針に掲げている「人権デューディリジェンス」について、2018年度よりそのしくみの構築と、事業別・地域別の人権リスクの評価に取り組んでいます。

2018年度

一般社団法人ザ・グローバル・アライアンス・フォー・サステイナブル・サプライチェーンに調査を委託し、その再委託先である英国RIGHTS DD LIMITED社が「現代奴隷への加担可能性」に関する調査を実施。

調査対象

    • 帝人グループ内の11事業*に属する国内外の帝人本社を含むグループ会社153社のうち、一定規模以上の「部門相当会社」
      • 帝人グループの上記11事業において取引のあるサプライヤーのうち、調査機関が選定したサプライヤー
      • *11事業:1. アラミド 2. 炭素繊維 3. 樹脂 4. フィルム 5. 複合成形材料 6. 繊維・製品 7. 医薬 8. 在宅医療 9. IT 10. マテリアル新事業 11. ヘルスケア新事業

調査手法

上記「部門相当会社」およびそのサプライヤーの事業特性および事業地域の定性情報から、調査対象の各11事業の「人権侵害リスク*」をスコア評点。

      • *本調査が対象とする「人権侵害リスク」の定義

調査結果

帝人グループの人権尊重の方針は、主な国際的な優良事例に概ね適合しているとの評価を得ました。また、帝人グループの各事業の事業特性や事業地域を比較して相対的に人権侵害が発生しやすいのは、労働集約型産業に位置付けられる「繊維・製品事業」であることを特定。その他、労働安全衛生上の事情や操業地域の事情から、人権侵害の潜在リスクが相対的に高いと特定された事業においては、すでに実施している人権侵害防止の措置も含め、人権侵害が発生していないかどうか点検を実施するとともに侵害防止のモニタリングを継続していきます。

1. 本調査対象では「現代奴隷」に焦点を当てています。「現代奴隷」とはあらゆる人権侵害を指し、なかでも奴隷労働、強制労働、人身取引等を対象としています。

2. 本調査では「現代奴隷」のリスクについて以下の要素から分析を行いました。

      • 過当競争により参入障壁が低い業界であって労働法が脆弱で集団交渉権の行使が有効でない法域かどうか
      • 未熟練労働者が多数を占めている業界かどうか
      • 女性労働者が多数を占めているか
      • 児童労働の事例が確認されていないか
      • 外国人労働者が全労働力において高い割合を占めていないか
      • 人身売買の事例が確認されていないか
      • 劣悪な雇用慣行の事例が確認されていないか
      • 債務束縛の事例が確認されてないか
      • 操業地が不安定な地域、もしくは紛争地域かどうか
      • 全労働力における難民の割合が高いか
      • 非常に抑圧的な政権を持つ国における操業
      • いわゆる3K(きたない、危険、きつい)と呼ばれる作業、例えば、危険も しくは肉体的につらい手作業かどうか、繰り返しの動作が長時間続く作業、及び蔑視されまたは社会的に過小評価されている作業などを行うために未熟練労働が使われる産業かどうか(これらの作業は、通常、搾取を非常に受けやすい季節労働者、マイノリティー、もしくは社会的に周縁化された人々によって行われていることが多いとされています)

3. 本調査において「強制労働」とは以下のような特徴があることとしています。

    • 不当な賃金の天引や減額
    • パスポート等の身分証明書の不当な没収
    • 債務による束縛(労役を担保とした債務保証の強要。51%以上の強制労働従事者は債務による束縛を受けていると言われています)
    • 残業の強制
    • 雇用主・リクルーターによるさまざまな強要(言葉や身体的、性的ないやがらせ)
    • 甚大な労働安全衛生上のリスクを発現させる、集中的・長時間・単純な繰り返しを強いる労働形態

2019年度

第三者団体である経済人コー円卓会議日本委員会(CRT Japan)の協力のもと、国際NGOなどとのダイアログを実施したほか、UNGPsに沿った人権デューディリジェンスにおいて潜在的リスクを評価(2019年11月~2020年3月)

帝人グループが2014年度より実施しているCSR調達アンケートのフローや調査結果の改善プロセスについて、人身取引、強制労働、児童労働、差別といった人権侵害の予防・改善手法として行っていることをCRT Japanに説明

CRT JapanがCSR調達アンケート調査の領域や社数の妥当性を確認するとともに、帝人(株)が調査後に取引先に働きかける改善プロセスが実効的であることを確認

帝人グループの社会的負の影響(インパクト)が大きい事業領域から潜在的な人権リスクを抽出し、2020年度以降に実施する対応策を策定

潜在的な人権侵害リスクへの対応策

  1. 1.取引先に対する教育と改善指導
  2. 2.国内加工委託先へのインタビュー
  3. 3.サプライチェーン上の人権侵害の事象に関する社会情勢に応じたCSR調達ガイドラインやアンケート調査の項目の見直し
  4. 4.取引先への「CSR調達ガイドライン」の浸透
  5. 5.苦情処理メカニズムの検討

帝人グループのCSR調達の具体的な取り組みはこちらをご参照ください。

2020年度

2019年度に続き、CRT Japanの協力のもと、国際NGOなどとのダイアログを実施したほか、UNGPsに沿った人権デューディリジェンスにおいてリスクを評価し、潜在的人権侵害リスクに対応するため、以下の施策を実施しました。

  1. 1.取引先に対する教育と改善指導
    2018年度の人権侵害リスクアセスメントで、最もリスクが大きいとされた「繊維・製品事業」の帝人フロンティア(株)では、国内および海外(中国、ベトナム、インドネシア)で取引先を対象とするオンラインセミナーを実施しました。
  2. 2.取引先へのインタビュー
    人権への取り組みに関して確認が必要と思われる国内外の加工委託先などの取引先にインタビューを行いました。
  3. 3.サプライチェーン上の人権侵害の事象に関する社会情勢に応じたCSR調達ガイドラインやアンケート調査の項目の見直し
    2020年度に見直しを実施した結果、大きな変更はありませんでした。
  4. 4.取引先への「CSR調達ガイドライン」の浸透
    2020年度も、国内、海外の取引先に対してCSR調達アンケートを実施し、その結果からは、取引先における人権侵害の実態は確認していません。
  5. 5.苦情処理メカニズムの検討
    既存の内部通報システムに寄せられる内部通報に的確に対応しています。また、将来は取引先の従業員を対象とした新たな通報システム導入を想定しており、そのための課題の整理を開始しました。

上記対応策の経緯や結果は英国現代奴隷法声明文などで情報開示しています。COVID-19の影響で活動が制限される中でも、海外、国内セミナーや国内監査をオンラインで実施するなど、取り組みを推進しました。

2021年度

2020年度に続き、CRT Japanの協力のもと、国際NGOなどとのダイアログを実施して、下記の指摘を受けました。

  1. 1.帝人フロンティア(株)のサプライチェーンマネジメント体制において、国連のSDGsを推進するNGO「World Benchmarking Alliance (WBA)」、とりわけ企業人権ベンチマーク「Corporate Human Rights Benchmark (CHRB)」が懸念している人権課題の領域(例、結社の自由、強制労働、児童労働、差別)において問題がないかどうかを確認すること。
  2. 2.国内事業のサプライヤーにおいて外国人労働者の実態を把握し、その中で人権課題が起きていないかどうかを確認すること(人権デューディリジェンス・インパクトアセスメント)。
  3. 3.帝人グループを超えて、サプライヤーを含めた苦情処理メカニズムの導入についてチャレンジしていただきたい。
  4. 4.UNGPsに基づいた取り組みにおいて、経営意思決定のプロセスを見える化してもらいたい。
  5. 5.より積極的な情報開示の在り方について検討をしていただきたい。

これらの指摘を反映して、UNGPsに沿った人権デューディリジェンスにおいてリスクを評価し、潜在的人権侵害リスクに対応するため、以下の施策を実施しました。

  1. 1.帝人フロンティア(株)のサプライチェーンマネジメント体制における人権課題については、CSR調達アンケートの人権項目への回答に懸念がある場合は確認しました。また、人権への取り組みに関して確認が必要と思われる国内外の加工委託先などの取引先にはインタビューを行い、必要に応じて実践的な改善指導を実施しました。
  2. 2.国内事業のサプライヤーにおいて外国人労働者の実態を把握し、その中で人権課題の確認のために、2020年度に続き、「CSR調達ガイドライン」に沿ったアンケートを国内、海外の取引先に対して実施。その結果、取引先における人権侵害の実態はありませんでした。
  3. 3.苦情処理メカニズムとして、取引先を対象とする通報システムの制度設計に着手しました。今後、具体的な導入を図っていく考えです。

ダイアログで指摘があった「UNGPsに基づいた取り組みにおける経営意思決定プロセスの見える化」、「より積極的な情報開示の在り方」については、継続して検討しています。

2022年度

2021年度に続き、CRT Japanの協力のもと、国際NGOなどとのダイアログを実施したほか、UNGPsに沿った人権デューディリジェンスにおいてリスクを評価し、潜在的人権侵害リスクに対応するため、以下の施策を実施しました。

    1. 1.帝人フロンティア(株)のサプライチェーンにおいて、人権への取り組みに関して確認が必要と思われる国内外の加工委託先などの取引先にインタビューを行い、必要に応じて実践的な改善指導を実施しました。
    2. 2.取引先に対する教育と改善指導として、帝人フロンティア(株)では、国内および海外(中国、ベトナム、インドネシア)で取引先を対象とするセミナーを実施しました。
    3. 3.帝人フロンティア(株)以外のサプライチェーンにおいても、外国人技能実習生の実情を確認する取引先へのインタビューを実施しました。
    4. 4.事業のサプライヤーにおいて、外国人労働者の実態を把握するとともに、人権課題を確認するため、2021年度に続き、「CSR調達ガイドライン」に沿ったアンケートを国内、海外の取引先に対して実施しました。その結果、取引先における人権侵害の実態はありませんでした。

加えて、2018年度に引き続き、一般社団法人ザ・グローバル・アライアンス・フォー・サステイナブル・サプライチェーンに調査を委託し、その再委託先である英国RIGHTS DD LIMITED社が「現代奴隷への加担可能性」に関する調査を実施しました。調査結果がまとまり次第、当ウェブサイトに内容を開示します。

調査対象

帝人グループ内の12事業*

  • *12事業:1. アラミド 2. 炭素繊維 3. 樹脂 4. コーポレートビジネスインキュベーション 5. 複合成形材料 6. 繊維・製品 
    7. 医薬 8. 在宅医療 9. IT 10. マテリアル新事業 11. ヘルスケア新事業 12.エンジニアリング

調査手法

調査対象の各12事業の定性情報から、「地理的リスク」、「製品別リスク」、「雇用形態別リスク」、「業界リスク」を評価して、それらの総計として各事業の「人権侵害リスク*」をスコア評点。

  • *本調査が対象とする「人権侵害リスク」の定義は、2018年度版に記載した情報をご覧ください。

人権デューディリジェンス活動まとめ

人権デューデリジェンスカバー率 人権課題が懸念される割合 人権課題に対して措置を講じた割合
2022年度 100% 32% 100%
考え方 2018年度以降、人権デューデリジェンスは帝人グループ全体を対象としています。 人権課題が認められる縫製加工事業を担う繊維製品事業の売上が帝人グループ全体に占める割合 CSR調達アンケート等を通じて人権リスクを把握した取引先66社全社をモニタリングしています。

2023年度の計画

2022年度から引き続き、「国連ビジネスと人権に関する指導原則」に沿った人権デューディリジェンスのしくみ構築を進めるとともに、以下の人権デューディリジェンスの方針のもと、外部有識者とのダイアログ結果を反映させた施策を実施します。


<方針>

  1. 1.環境も含めた観点から、帝人グループ全体での人権デューディリジェンスの取り組みを進めていく。
  2. 2.人権デューディリジェンスのターゲットを設定して取締役会を含めたコミットメントを行い、実践面での管理監督を実施していく。
  3. 3.人権デューディリジェンスの状況について、適宜情報開示を進めていく。

<具体的計画>

  1. 1.帝人グループの人権方針、行動規範など人権尊重に関わる方針・ルール、サプライチェーンに対するガイドラインなどのルール類が、社会的要請に沿っているかを点検し、必要に応じて修正する。
  2. 2.帝人グループ各社において、取引先の状況をCSR調達アンケート、訪問調査・インタビューなどの各種手法で確認する。アンケート回答の評価結果が低いなど懸念事項がある場合には、必要に応じて改善指導する。
  3. 3.帝人グループ内、および、取引先に在籍する移民労働者の処遇状況に注意する。特に日本国内における外国人技能実習生については、帝人グループ内で雇用する実習生の処遇状況、ならびに、取引先における在籍状況および処遇状況を確認する。
  4. 4.2018年度の人権侵害リスクアセスメントで、最もリスクが大きいとされた「繊維・製品事業」では以下の施策を実施する。
  1. (1)上記 2.の一環として、帝人フロンティア(株)は、国内・海外の委託加工先などへのインタビューを行い、人権課題の有無を確認
  2. (2)帝人フロンティア(株)は、国内・海外の取引先を対象として、現地の法令遵守や人権尊重を主な目的としたセミナーを開催
  3. (3)外国人技能実習生を受け入れているグループ会社では、実習生の来日に必要な手数料をグループ会社が負担するゼロフィー・プロジェクトを実施
  4. 5.苦情処理メカニズム
    取引先を対象とする通報システムの制度設計を進め、具体的な導入を図っていく。

外部有識者とのダイアログ

2022年10 月、CSR管掌(当時)が、国連開発計画、World Benchmarking Allianceの海外人権有識者と帝人グループの人権の課題と取り組みについて対話を行いました。帝人グループの活動内容を説明して有効性の確認を行い、前回のダイアログで指摘のあった人権問題と環境問題の解決とを関連づけた取り組みを実践していくための方法論について意見交換を行っています。今回、指摘された課題については、グローバル第一線の外部有識者とダイアログを実施して助言や評価を受けながら改善を図っていきます。


有識者の主なコメント

  • 帝人グループの人権尊重の取り組みについて、特に社外のライツホルダーとのエンゲージメントと図ろうとしている点、また外国人技能実習生のリクルートフィーに対応しようとしている点については素晴らしい。
  • 環境への影響と人権への影響は同時に発生しており、環境と人権への影響は同時並行で検討する必要がある。国連でも健康、安全な環境は人権そのものであるとされており、工場で働く労働者、サプライヤーで働く労働者、地域住民等への影響を同時に見ていく必要がある。
  • 帝人では、環境評価を実施するセクションと、人権評価を実施するセクションが独立しているが、2つのセクションの合同作業を通じ、環境と人権を合わせて評価することが望ましい。
  • 人権デューデリジェンスにおいて難しいのは、ダイアログを実施するステークホルダーの特定と彼らへのアプローチであり、適切で信頼できる現地パートナーの選定が必須。

人権に関する外部有識者とのダイアログを実施(2022年10月19日)

国内の外部有識者との定期的なダイアログ

ビジネスと人権の取り組みに関する国際的な潮流や基準に沿って人権尊重の取り組みを進めるため、国内外のトレンドに造詣の深い外部有識者であるCRT JapanとCSR管掌(当時)がダイアログを定期的に開催しています。帝人グループの事業の状況と人権に与えるインパクトをリアルタイムに把握し、取るべき対応の方向性について議論を重ねています。

社員に向けた人権尊重の取り組み

社員への人権教育

帝人グループでは、人権尊重の意識を高めるため、毎年10月の「企業倫理月間」に全社員(契約社員や派遣社員を含む)を対象とした研修を各職場で実施しています。2022年度には、「人権の尊重」をテーマにケーススタディ動画を制作し、帝人グループが展開する全地域・国の言語による字幕を付けて、全グループ会社に発信しました。

相談・通報窓口に寄せられた声への対応と活用

帝人グループでは相談・通報窓口を設けて利用促進を図っています。2022年度は100件の相談・通報が寄せられ、そのうち人権に関わるものは38件(処遇上の不満、性別等を理由とする差別・セクハラ等)でした。全件の事実関係を調査し、具体的な事象が確認できたものについては、是正するための注意喚起・教育を実施するとともに、通報者への報復がなされていないかモニタリングを行っています。

通報・相談窓口に寄せられた数々の声を、潜在するリスクの発見・分析に活用することで、現状に即した啓発活動を行い、人権尊重の大切さを全社員に浸透させていきます。

取引先に向けた人権尊重の取り組み

帝人グループでは、サプライチェーン全体で人権尊重を実践するために、「CSR調達ガイドライン」に「人権・労働」の項目を設け、取引先に人権尊重への取り組みを求めています。
2017年度からは、持続可能な調達に関する国際規格「ISO20400」およびその他の国際的な基準を参照し、サプライチェーンにおける人権、労働などに関する下記項目について、詳細な取り組みを明記しています。

<人権・労働項目>
  • 強制労働
  • 児童労働および若年労働
  • 外国人労働者
  • 労働時間と休日
  • 賃金と福利厚生
  • 差別
  • ハラスメント
  • 結社の自由

帝人グループでは、主要な取引先にCSR調達アンケートを送付し、取引先の人権尊重の取組の状況を調査しています。人権に関する設問への回答に懸念があった会社に対しては、ヒアリングをして問題の有無を確認するようにしています。2022年のCSR調達アンケートでの回答についてフォローを継続しています。
また、人権デューディリジェンスにおけるリスクアセスメントで、人権侵害リスクが相対的に高い事業として特定された「繊維・製品事業」においては、代表的なグループ会社である帝人フロンティア(株)が、現地の取引先における法令順守と人権保護の徹底を目的とし、アジア地域及び国内の取引先に対して、セミナーの開催や実地訪問監査を継続的に実施しています。人権侵害リスクの高い事業については、第三者外部団体および有識者に確認の上、継続的に管理および啓発活動を実施していきます。

また、繊維・製品事業では、長年にわたり外国人技能実習制度を活用し、実習生を採用してきましたが、社内調査により、実習生が自国で多額の手数料を負担*して来日していることが判明しました。そこで、実習生を受け入れる工場がその手数料を支払うことで、実習生の手数料負担をなくす「ゼロフィー・プロジェクト」を2019年度より開始しました。

  • *技能実習生が来日前に自国の送り出し機関等に多額の手数料を支払うケースがあり、一部の国では実習生の所得の何年分にも相当する金額を支払っている実態がある。少しでも多く稼ぎたいという思いから、本人の希望による長時間労働や、帰国直前の失踪といった問題につながりやすく、社会的な問題となっている。

ユニセフ「子どもの権利とスポーツの原則」への賛同表明

2019年2月、帝人グループは、ユニセフと公益財団法人日本ユニセフ協会が提唱する「子どもの権利とスポーツの原則」へ賛同しました。

本原則は、世界各地で暴力的な指導や子どもの心身の発達に配慮しない過度なトレーニングなど、スポーツが子どもに負の影響を与えるような問題が生じている中、スポーツが真に子どもの健全な成長を支え、子どもの権利促進に寄与する社会となるよう2018年11月20日に定められました。

これまで、帝人グループでは、スポーツ分野に素材・製品を展開するとともに、社会貢献活動として「全国高校サッカー選手権大会」への協賛や、Teijin Polyester (Thailand) Limitedにおけるサッカークリニックの支援など、スポーツを通じた青少年育成に取り組んでおり、スポーツが子どもに負の影響を与えることがないよう、子どもの権利を守っています。

Children's Rights in Sport Principles 子どもの権利とスポーツの原則