サステナビリティ

健康と安全

健康経営

帝人グループでは、行動規範において「事業活動にあたり、地球環境、安全、健康を最優先する」と掲げており、社員は企業にとって、重要なステークホルダー(利害関係者)であり、社員に対して安全と健康に配慮した職場環境を提供することなくして、企業の持続的な成長は望めないと示しています。社員の心身の健康増進に積極的に取り組んでいくことを2017年「帝人グループ健康経営宣言」として表明し、社員の健康を尊重する企業であり続けるという考えのもと、これからも、帝人グループ各社が連携しながら健康経営に取り組んでいきます。

  • *経済産業省から優良な健康経営を実践している企業として、健康経営優良法人にも9年連続して認定されました

帝人グループ健康経営宣言

帝人グループは、社員が究極の経営資源であると考えています。
会社の持続的な成長のためにいきいきとした社員・活力のある職場づくりを推進し、社員の心身の健康増進に積極的に取り組んでいきます。
同時に、事業活動を通じて世界の人々の健康に貢献します。

(2017年6月16日制定)

健康経営方針

帝人グループは、企業理念に基づき社員の健康管理に戦略的に取り組んでいます。

健康経営方針

健康経営の推進体制と今後の方向性

帝人(株)健康管理室を推進部署として位置づけ、経営トップ指示のもと国内グループ会社・帝人グループ健康保険組合および産業医、産業保健スタッフと連携し、健康経営を推進しています。


推進体制

健康経営戦略マップ

今後の方向性(中期課題)

社員のウェルビーイングを向上させる健康経営施策に取り組みその成果を「見える化」することで、社員のワーク・エンゲイジメントの向上、さらにはイノベーション創出が起こりやすい風土を目指します。

きめ細かなメンタルヘルスケア対策

メンタルヘルスケアを主眼に置いた研修や女性の健康教育等を各所・各社で実施

メンタルヘルスについては、社員からの相談窓口を社内外に設け、健康管理室が精神科専門医の指導のもと、きめ細かに「こころ」のサポートを行っています。対面及びWEB面談、電話等を含め健康管理室スタッフ(臨床心理士、保健師)および外部EAP(従業員支援プログラム)に寄せられた2024年度の相談件数は、1,516件でした。また、予防教育の普及も図っており、健康管理室スタッフによる新入社員研修をはじめ、セルフケア研修、ラインケア研修を定期的に行い、延べ30回、約1,200人の社員に予防教育を実施しました。また、階層別やセルフケア、ラインケア研修などのEラーニングも実施しております。

「個人と職場のいきいき診断」の実施

帝人グループでは、「全職場ストレス診断」を2003年より実施しています。さらに、ストレスチェック法制化に伴い、従来の職場のストレス診断に個人のストレス診断を融合させた「個人と職場のいきいき診断」を2016年7月から毎年実施しています。診断結果が一定基準を超えた職場に対しては、現場の社員の話し合いを通じてボトムアップ型で改善を図る職場改善活動を実施しています。この活動により、2024年6月の診断結果(効果測定)では、対象職場の約80%で改善が見られました。また、2019年度より、管理者及び希望者を対象に「職場のいきいき診断結果の見方説明会」を開催し、それぞれの部署で集団分析の結果とその活用方法の理解度を向上させ、職場環境改善活動が進むように働きかけています。今後とも、これらの診断、改善活動を通じて、風通しの良い働きやすい職場づくりを目指していきます。

健保組合と連携した予防・健康づくり

帝人グループでは、健康保険組合と連携し、健康データの分析に基づいたデータヘルス計画(コラボヘルス)を実施しています。会社と健康保険組合が保有している社員一人ひとりのデータを活用しながら、禁煙支援をはじめリスク別に分けてターゲットを絞った保健事業を実施しています。ポピュレーションアプローチ(集団全体への働きかけ)から生活習慣病重症化予防までさまざまな保健事業を展開しています。

帝人グループ健康白書

健康経営の取組みや社員の健康状態を「帝人グループ健康白書」としてまとめ、健康への意識向上を図っています。また、健康増進に積極的に取り組む企業の会「Kenko企業会」に理事企業として参画し、各社の健康経営推進、女性の健康、メンタルヘルス、禁煙について等の情報共有や勉強会を通じて自社の社員および家族の健康づくりに役立てています。

ESH(環境、安全・防災、健康)活動

環境(Environment)、安全・防災(Safety)、健康(Health)をすべての事業活動に関わる重要な取り組みと位置付け、ESHマネジメントをグループ全体で推進しています。

ESH管理の目標および基本方針

各国関係法および地方条例等の遵守に加え、達成すべき自主的なESH管理の目標およびその基本となる方針を以下のように定めています。

ESH管理の目標

事業活動におけるESH管理の目標を、帝人グループのゴールである「ゼロへの挑戦」より下記4項目としています。

  1. 1.環境保全  環境問題   ゼロ
  2. 2.安  全  労働災害   ゼロ
  3. 3.防  災  爆発火災   ゼロ
  4. 4.衛  生  職業性疾病  ゼロ

帝人グループESH基本方針

  1. 1.人間尊重の理念に基づき、安全をすべてに優先させる。
  2. 2.安全はラインの責任である。
  3. 3.ESHは事業活動と一体である。

グループESHマネジメント体制

ESH(環境、安全・防災、健康)を一元的にマネジメントするため、グループESH部会を設置しています。グループESH部会の定例会議は年2回開催され、ESHマネジメントに関する方針・施策・活動を審議し、グループ内への展開を図っています。事業本部ごとに任命されたESH部会メンバーは事業ESH委員長として、各事業におけるESHマネジメントを推進しています。また、各事業所等でESHマネジメントシステムを構築する際の判断基準を示すものとして「グループESHマネジメントシステム構築基準」を定めています。

ESHマネジメントシステム構築の目的

  1. 1.ESHマネジメントシステムを各事業所等で構築し適切に運用することで、各事業所等は一定のESHマネジメントレベルを確保するとともに、ESHパフォーマンスを継続的に改善する。
  2. 2.ISO14001やISO45001のような、国際的な共通規格あるいは共通規格をベースとしたESHマネジメントシステムを構築することにより、帝人グループが標準以上のESH管理レベルにあることを、ステークホルダー(株主、顧客、取引先、地域社会、行政機関等)に対し客観的に示す。
  3. 3.国際的な共通規格あるいはそれらの共通規格をベースとしたESH-MSの構築・運用を通じ、グループのすべての事業所等間で「ESHマネジメントの共通思想・共通言語」を共有化する。

ESHアセスメントおよび監査

ESHアセスメント制度により、プロジェクト実施や日々の案件において、関係法令およびESHリスクを審査・確認し、法令遵守とリスクに応じた適切な対応の実施に努めています。また「ESH監査規則」に基づき、二重監査体制を整えており、年1回、事業本部ごとに任命されたESH委員長によるESH監査Aと、生産・エンジニアリング・調達管掌に任命された環境・安全推進部長がESH監査Bを実施しています。監査においては、ESH管理状況や事故・災害の発生・対策状況、そしてESH活動状況について報告を受けるとともに、その内容を監査し、今後の課題と次回までの取り組みについての確認・指導を行っています。

  監査の概要 監査者 2024年度監査実績
ESH監査A 生産現場におけるESH監査 事業本部ESH委員長 23拠点
(国内13、海外10)
ESH監査B 事業本部などの監査結果の監査 環境・安全推進部長 15件
(複合事業所2件、事業本部8件、個別管理会社5件)

ESHコンプライアンス内部監査員の養成

ESHに関する法規制への対応を充実させるため、グループ社員に対し、毎年、ESHコンプライアンス内部監査員を養成するための講座を開催しています。2024年度は、1級に88人、2級に29人の社員が新たにコンプライアンス内部監査員に認定されました。

ESH事故発生時の対応

労働災害や業務上疾病などを含め、ESHに関する事故が発生した時は、その内容に応じて迅速にグループ内に調査・報告されるよう、「ESHに関する事故、災害発生報告規則」を定め徹底させています。

2025年度の優先課題・アクションプラン

2025年度は事業活動におけるESH災害ゼロを目指し、以下の重点課題に取り組みます。

  1. 1.労働災害、防災事故の更なる低減、重大事故の撲滅
  2. 2.作業・行動起因型災害の抑制
  3. 3.防災マネジメントの見直しと推進
  4. 4.環境規制への対応と化学物質の管理強化

保安防災活動

防災管理の推進体制

帝人グループでは、すべてのグループ会社に共通の防災管理規則を定めています。防災に関する各種ガイドラインに基づいて防災診断や地震対策、火災予防などの災害防止対策を講じるほか、防災教育や防災訓練、防火設備の強化などを計画し、実践しています。防災活動の実践および成果は、事業所ならびに事業本部ごとに管理しており、不適合がある場合は改善指導を行っています。また、その指導結果については、年度末に生産・エンジニアリング・調達管掌が監査しています。

防災診断の実施

帝人グループでは、自主基準に基づく「防災診断」(1980年から)と「ミニ防災診断」(2008年から)を実施しています。アラミド事業では、「プロセスセーフティーマネジメント(PSM)」をオランダ、日本、アジアのTeijin Aramidに属する化学プラントへ展開しています。「防災診断」および「PSM」は、グループ内で多量の化学物質を取り扱う15プラントを対象に実施。それぞれに所属する製造、設備、ESHの専門家が5年周期で安全性を診断しています。「ミニ防災診断」では、危険物貯蔵所や可燃物置場、ボイラーなど小規模な火災危険場所(25事業所)を対象に、防火を主眼とした5年周期の診断をしています。2024年度は、12事業所内の14の危険場所で実施しました。


防災診断件数の推移

防災診断件数の推移

そのほかの重大事故ゼロを目指した活動

「重大事故」と位置付けている爆発・火災、有害物質の外部漏えい・流出などの災害ゼロを目指し、化学プラントと動力プラントの防災診断や教育・訓練の実施など、さまざまな防災強化施策を実施しています。


重大事故発生件数の推移

防災診断や教育・訓練の実施など、さまざまな防災強化施策を継続して実施しています。

重大事故発生件数の推移
  • *重大事故とは、爆発事故や火災事故、危険物や有害物質の漏えい及び流出等を伴う事故であって、人的被害(休業災害)が発生した事故、地域社会に影響を与えた事故または社外の本格的支援を伴う事故をいう。
  • *事故件数については、1月~12月で算出

防火活動

揖斐川事業所での放水訓練の様子

2008年より、「帝人グループ防火の日」である11月10日に、定期防火点検などの帝人グループ共通の活動や、グループ会社独自の防火活動を実施しています。これらの活動は帝人グループ内で共有し、防火体制の強化に役立てています。

防災訓練(避難訓練)

三島事業所での避難訓練の様子

2011年3月11日に発生した東日本大地震を契機に、自然災害発生時の避難訓練を継続実施しています。訓練後に反省会を実施することにより、地震対応マニュアルの改善に努めています。2024年度も国内の事業所にて避難訓練(机上訓練を含む)を実施しました。

労働安全活動

労働安全推進体制

帝人グループは、作業リスクを低減するため、製造・加工事業所を対象に労働安全衛生マネジメントシステム(ISO45001、及びその内容を含む統合マネジメントシステム)の適合証明取得を進めています。2025年3月末時点で、合計40の事業所・工場が認証を取得しています。

労働安全衛生マネジメントシステムの適合証明取得

国内(12社、18事業所・工場)

帝人 岩国、松山、三島、揖斐川、三原
帝人フロンティア 松山、揖斐川
ユニセル 岩国
帝人テディ 松山
広島プラスチック 広島
帝人エコ・サイエンス 松山
帝人ファーマ 岩国
帝人興産 愛媛
東邦化工建設 三島、徳島
東邦機械工業 徳島
帝人リジェネット 岩国
帝人メディカルテクノロジー 岩国

海外(16社、22事業所・工場)

オランダ Teijin Aramid Delfzijl、Arnhem、Emmen
中国 帝人化成複合塑料(上海) 上海
Teijin Polycarbonate China 浙江
南通帝人* 南通
日岩帝人汽車安全用布*(南通) 南通
帝人汽車用布加工*(南通) 南通
帝人(中国)繊維商品開発* 南通
タイ Teijin Corporation (Thailand) Ayutthaya
Thai Namsiri Intertex Weaving:Chacheongsao、Dyeing:Samutprakarn
Teijin (Thailand) Ayutthaya
Teijin Polyester (Thailand) Pathumthani
Teijin Cord (Thailand) Ayutthaya
ドイツ Teijin Carbon Europe Heinsberg
スペイン Esteve Teijin Healthcare S.L. Castelldefels
ポルトガル Teijin Automotive Technologies Portugal Leça do Balio、Palmela
チェコ Teijin Automotive Technologies Czech Čejetice、Čejetičky、Milovice
  • *ISO45001の内容を含む統合マネジメントシステム取得拠点

労働安全推進活動

労働安全の確保に向けた「安全活動3本柱」の推進

労働災害を未然に防止する手段として、帝人グループでは、「5S活動」(整理・整頓・清掃・清潔・躾)、事故にはならなかったものの"ヒヤリ"としたり"ハッ"とした経験を共有する「ヒヤリハット活動」、そして「安全巡視」を安全活動3本柱として位置付けており、日本発のこれらの活動は帝人グループ共通の活動として海外グループ会社も含め展開しています。これらの活動から得た情報を活用し、個人の危険感受性向上、職場のコミュニケーション向上を図り、帝人グループにおける労働災害の撲滅を目指しています。

また労働者代表、会社代表、産業医が参加し、情報共有と協議を行う場として各所で毎月安全衛生委員会を開催しています。さらに、ESH推進委員会などの独自の活動を通じて情報共有と協議を行い、職場の安全確保および安全活動のレベルアップを図っています。

休業災害防止に向けた取り組み

VR技術を用いた安全教育

2024年度は、作業・行動に起因する災害発生を抑制するため、VR技術を活用した危険認知向上・危険感受性向上への対策や、BBS(Behavior Based Safety)に基づく安全行動への意識付け等の取り組みを進めました。2025年度は、これまでの休業災害の主要因となっている"転倒"、"巻き込み・挟まれ"による災害を抑制すべく、これらにフォーカスした安全活動を進めています。また、帝人グループ内で発生した請負企業の休業・不休業災害に対しても報告を受けるしくみとしており、請負企業の安全確保に対する取り組みを支援・推進しています。

グループ内での労働災害情報共有と災害発生時の対応

帝人グループ内で発生した休業を伴う労働災害の情報は、すべてイントラネットで公開し、同種や類似の災害再発防止に役立てています。特に、災害発生状況や原因が「ESH監査規則」に定める「特別監査」の要件に該当した場合は、その事象の内容に応じて本社または事業本部にて特別監査を実施し、現地で要因と状況を把握した上で、再発防止対策の進捗や改善点の有無を確認しています。

労働災害発生状況

2024年(1月~12月)は、社員および請負社員において死亡労働災害の発生はありませんでした(請負社員含め過去7年間死亡災害ゼロ)。全労働災害度数率は0.97保証対象指標(国内0.89)となり、目標の「1.0以下」を達成することができました。


休業災害度数率及び全労働災害度数率

休業災害度数率
  • *北米で自動車向け複合成形材料事業を営むマテリアルセグメントの連結子会社であるTeijin Automotive Technologies NA Holdings Corp.(以下、TAT-NA)は非継続事業のため、2024年度から集計対象外に変更。過去の値はTAT-NAを含み、2024年度はTAT-NAを含まない数値。なお、カッコ内はTAT-NAを含む参考値であり、第三者保証対象外
  • *休業災害度数率は、100万労働時間当たりの休業災害者数を示す(1月~12月で算出)
  • *全労働災害度数率は、100万労働時間当たりの従業員休業と従業員不休業の全災害者数を示す(1月~12月で算出)。従業員は、社員、嘱託、パート、派遣社員を含む。2022年より保証対象