健康と安全
健康経営
帝人グループでは、2017年6月に社員が究極の経営資源であると考え、グループ社員の心身の健康増進に積極的に取り組んでいくことを「帝人グループ健康経営宣言」として表明しました。企業の持続的な成長のために、心理的安全性の高い活力のある職場づくりを推進しています。健康経営の取り組みの一環として、社員一人ひとりが自らの問題として「健康」を考える機会とするために、「健康経営ハンドブック」を作成し配付しています。社員の健康を尊重する企業であり続けるという考えのもと、今後も帝人グループ各社が連携しながら、さまざまな活動に取り組んでいきます。
- *経済産業省から優良な健康経営を実践している企業として、健康経営優良法人にも8年連続して認定されました
帝人グループ健康経営宣言
帝人グループは、社員が究極の経営資源であると考えています。
会社の持続的な成長のためにいきいきとした社員・活力のある職場づくりを推進し、社員の心身の健康増進に積極的に取り組んでいきます。
同時に、帝人グループは事業活動を通じて、世界の人々の健康に貢献し、クオリティ・オブ・ライフの向上に努めます。
(2017年6月16日制定)
健康経営方針
帝人グループは、企業理念に基づき社員の健康管理に戦略的に取り組んでいます。
健康経営の推進体制と今後の方向性
帝人(株)健康管理室を推進部署として位置づけ、経営トップ指示のもと国内グループ会社・帝人グループ健康保険組合および産業医、産業保健スタッフと連携し、健康経営を推進しています。
推進体制
今後の方向性(中期課題)
社員のウェルビーイングを向上させる健康経営施策に取り組みその成果を「見える化」することで、社員のワーク・エンゲイジメントの向上、さらにはイノベーション創出が起こりやすい風土を目指します。
きめ細かなメンタルヘルスケア対策
メンタルヘルスについては、社員からの相談窓口を社内外に設け、健康管理室が精神科専門医の指導のもと、きめ細かに「こころ」のサポートを行っています。オンラインでの面談、電話等を含め健康管理室スタッフ(臨床心理士、保健師)および外部EAP(従業員支援プログラム)に寄せられた2023年度の相談件数は、2,026件でした。また、予防教育の普及も図っており、健康管理室スタッフによる新入社員研修をはじめ、セルフケア研修、ラインケア研修を定期的に行い、延べ43回、約1,700人の社員に予防教育を実施しました。
「個人と職場のいきいき診断」の実施
帝人グループでは、「全職場ストレス診断」を2003年より実施しています。さらに、ストレスチェック法制化に伴い、従来の職場のストレス診断に個人のストレス診断を融合させた「個人と職場のいきいき診断」を2016年7月から毎年実施しています。診断結果が一定基準を超えた職場に対しては、現場の社員の話し合いを通じてボトムアップ型で改善を図る職場改善活動を実施しています。この活動により、2023年6月の診断結果(効果測定)では、対象職場の約87%で改善が見られました。また、2019年度より、管理者を対象に「職場のいきいき診断結果の見方説明会」を開催し、それぞれの部署で集団分析の結果とその活用方法の理解度を向上させ、職場環境改善活動が進むように働きかけています。今後とも、これらの診断、改善活動を通じて、風通しの良い働きやすい職場づくりを目指していきます。
健保組合と連携した予防・健康づくり
帝人グループでは、健康保険組合と連携し、健康データの分析に基づいたデータヘルス計画(コラボヘルス)を実施しています。会社と健康保険組合が保有している社員一人ひとりのデータを活用しながら、リスク別に分けてターゲットを絞った保健事業を実施しているほか、ポピュレーションアプローチ(集団全体への働きかけ)から生活習慣病重症化予防までさまざまな保健事業を展開しています。
帝人グループ健康白書
健康経営の取組みや社員の健康状態を「帝人グループ健康白書」としてまとめ、健康への意識向上を図っています。また、健康増進に積極的に取り組む企業の会「Kenko企業会」に理事企業として参画し、各社の健康経営推進、メンタルヘルス、禁煙について等の情報共有や勉強会を通じて自社の社員および家族の健康づくりに役立てています。
ESH(環境、安全・防災、健康)活動
環境(Environment)、安全・防災(Safety)、健康(Health)をすべての事業活動に関わる重要な取り組みと位置付け、ESHマネジメントをグループ全体で推進しています。
帝人グループESH基本方針
- 1.人間尊重の理念に基づき、安全をすべてに優先させる。
- 2.安全はラインの責任である。
- 3.ESHは事業活動と一体である。
グループESHマネジメント体制
ESH(環境、安全・防災、健康)を一元的にマネジメントするため、グループCSR委員会の下にグループESH部会を設置しています。グループESH部会の定例会議は年2回開催され、ESHマネジメントに関する方針・施策・活動を審議し、グループ内への展開を図っています。事業本部ごとに任命されたESH部会メンバーは事業ESH委員長として、各事業におけるESHマネジメントを推進しています。また、年1回、事業ESH委員長によるESH監査と、生産・エンジニアリング・調達管掌によるESH監査を実施しています。ESH監査では、ESHマネジメント状況や事故・災害の発生・対策状況などをチェックし、今後の課題と次回までの取り組みについての確認・指導を行っています。
ESH教育
ESHの管理レベル向上を目的に、「グループESH研修会」を年に1回開催しています。対象は、事業本部とグループ会社のESHスタッフおよびライン管理者、グループ会社社長、事業所長などです。2023年度は、COVID-19の影響も勘案し実施を見送りました。
ESHアセスメント
ESHアセスメント制度により、プロジェクト実施や日々の案件において、関係法令およびESHリスクを審査・確認し、法令遵守とリスクに応じた適切な対応の実施に努めています。
ESH監査
「ESH監査規則」に基づき、二重監査体制を整えています。ESH監査Aは事業本部ごとに任命されたESH委員長が、ESH監査Bは生産・エンジニアリング・調達管掌が監査を担います。監査においては、ESH管理状況や事故・災害の発生・対策状況、そしてESH活動状況について報告を受けるとともに、その内容を監査し、今後の課題と次回までの取り組みについての確認・指導を行っています。
監査の概要 | 監査者 | 2023年度監査実績 | |
---|---|---|---|
ESH監査A | 生産現場におけるESH監査 | 事業本部ESH委員長 | 23拠点 (国内15、海外8) |
ESH監査B | 事業本部などの監査結果の監査 | 環境・安全推進部長 | 16件 (複合事業所2件、事業本部9件、個別管理会社5件) |
ESHコンプライアンス内部監査員の養成
ESHに関する法規制への対応を充実させるため、グループ社員に対し、毎年、ESHコンプライアンス内部監査員を養成するための講座を開催しています。2023年度は、1級に83人、2級に24人の社員が新たにコンプライアンス内部監査員に認定されました。
グループESH実績報告
グループ全体のESH実績および活動状況については、年1回、グループCSR委員会で報告されています。
ESH事故発生時の対応
ESHに関する事故が発生した時は、その内容に応じて迅速にグループ内に報告されるよう、規則を定め徹底させています。
保安防災活動
防災管理の推進体制
帝人グループでは、すべてのグループ会社に共通の防災管理規則を定めています。防災に関する各種ガイドラインに基づいて防災診断や地震対策、火災予防などの災害防止対策を講じるほか、防災教育や防災訓練、防火設備の強化などを計画し、実践しています。防災活動の実践および成果は、事業所ならびに事業本部ごとに管理しており、不適合がある場合は改善指導を行っています。また、その指導結果については、年度末にサステナビリティ管掌が監査しています。
防災診断の実施
帝人グループでは、自主基準に基づく「防災診断」(1980年から)と「ミニ防災診断」(2008年から)を実施しています。アラミド事業では、「プロセスセーフティーマネジメント(PSM)」をオランダ、日本、アジアのTeijin Aramidに属する化学プラントへ展開しています。「防災診断」および「PSM」は、グループ内で多量の化学物質を取り扱う15プラントを対象に実施。それぞれに所属する製造、設備、ESHの専門家が5年周期で安全性を診断しています。「ミニ防災診断」では、危険物貯蔵所や可燃物置場、ボイラーなど小規模な火災危険場所(25事業所)を対象に、防火を主眼とした5年周期の診断をしています。2023年度は、12事業所内の18の危険場所で実施しました。
防災診断件数の推移
そのほかの重大事故ゼロを目指した活動
「重大事故」と位置付けている爆発・火災、有害物質の外部漏えい・流出などの災害ゼロを目指し、化学プラントと動力プラントの防災診断や教育・訓練の実施など、さまざまな防災強化施策を実施しています。2022年12月に発生したTeijin AramidのDelfzijl工場における火災事故の後、2023年度は対策プログラムを立ち上げて原因究明、再発防止の活動を継続しました。
重大事故発生件数の推移
防災診断や教育・訓練の実施など、さまざまな防災強化施策を継続して実施しています。
- *重大事故とは、爆発事故や火災事故、危険物や有害物質の漏えい及び流出等を伴う事故であって、人的被害(休業災害)が発生した事故、地域社会に影響を与えた事故または社外の本格的支援を伴う事故を示す
- *重大事故発生件数は、1月~12月で算出
防火活動
2008年より、「帝人グループ防火の日」である11月10日に、定期防火点検などの帝人グループ共通の活動や、グループ会社独自の防火活動を実施しています。これらの活動は帝人グループ内で共有し、防火体制の強化に役立てています。
防災訓練(避難訓練)
2011年3月11日に発生した東日本大地震を契機に、自然災害発生時の避難訓練を継続実施しています。訓練後に反省会を実施することにより、地震対応マニュアルの改善に努めています。2023年度も国内の事業所にて避難訓練(机上訓練を含む)を実施しました。
労働安全活動
労働安全推進体制
帝人グループは、作業リスクを低減するため、製造・加工事業所を対象に労働安全衛生マネジメントシステム(ISO45001・安全生産標準化)の適合証明取得を進めています。2024年3月末時点で、合計40の事業所・工場が認証を取得しています。
労働安全衛生マネジメントシステムの適合証明取得
国内(12社、18事業所・工場)
帝人 | 岩国、松山、三島、揖斐川、三原 | 帝人フロンティア | 松山、揖斐川 |
ユニセル | 岩国 |
帝人テディ | 松山 |
広島プラスチック | 広島 |
帝人エコ・サイエンス | 松山 |
帝人ファーマ | 岩国 |
帝人興産 | 愛媛 | 東邦化工建設 | 三島、徳島 |
東邦機械工業 | 徳島 |
インフォコム西日本 | 松山 |
帝人リジェネット | 岩国 |
海外(16社、22事業所・工場)
オランダ | Teijin Aramid | Delfzijl、Arnhem、Emmen |
---|---|---|
中国 | 帝人化成複合塑料(上海) | 上海 |
Teijin Polycarbonate China | 浙江 | |
南通帝人* | 南通 | |
日岩帝人汽車安全用布*(南通) | 南通 | |
帝人汽車用布加工*(南通) | 南通 | |
帝人(中国)繊維商品開発* | 南通 | |
タイ | Teijin Corporation (Thailand) | Ayutthaya |
Thai Namsiri Intertex | Weaving:Chacheongsao、Dyeing:Samutprakarn | |
Teijin (Thailand) | Ayutthaya | |
Teijin Polyester (Thailand) | Pathumthani | |
Teijin Cord (Thailand) | Ayutthaya | |
ドイツ | Teijin Carbon Europe | Heinsberg |
スペイン | Esteve Teijin Healthcare S.L. | Castelldefels |
ポルトガル | Teijin Automotive Technologies Portugal | Leça do Balio、Palmela |
チェコ | Teijin Automotive Technologies Czech | Čejetice、Čejetičky、Milovice |
- *安全生産標準化
労働安全推進活動
労働安全の確保に向けた「安全活動3本柱」の推進
労働災害を未然に防止する手段として、帝人グループでは、「5S活動」(整理・整頓・清掃・清潔・躾)、事故にはならなかったものの"ヒヤリ"としたり"ハッ"とした経験を共有する「ヒヤリハット活動」、そして「安全巡視」を安全活動3本柱として位置付けており、日本発のこれらの活動は帝人グループ共通の活動として海外グループ会社も含め展開しています。これらの活動から得た情報を活用し、個人の危険感受性向上、職場のコミュニケーション向上を図り、帝人グループにおける労働災害の撲滅を目指しています。また、安全衛生委員会などの法定の会議体、ESH推進委員会などの独自の活動により情報共有と協議を行い、職場の安全確保および安全活動のレベルアップを図っています。
休業災害防止に向けた取り組み
2023年度(4月~3月)は、6件の回転体休業災害が発生しました。重篤な災害になる可能性が高い、回転体への巻き込まれ災害(回転体災害)の防止は重点課題として取り組んでいます。2023年度からは関係する事業本部と回転体災害対策会議を行い、帝人グループ内の回転体災害撲滅に向けて活動を継続しています。2024年度は、依然として休業災害の大半を占める作業・行動に起因する災害発生を抑制するため、VR技術を活用した危険認知向上・危険感受性向上への対策や、BBS(Behavior Based Safety)に基づく安全行動への意識付けを行うとともに、特に作業経験の浅い未熟練者への対策に取り組んでおり、海外事業への展開も進めています。また、グループの事業所内で発生した請負企業の休業災害に対しても、報告を受けて内容を把握し、請負企業の安全確保に対する取り組みを支援・推進しています。
グループ内での労働災害情報共有と災害発生時の対応
帝人グループ内で発生した休業を伴う労働災害の情報は、すべてイントラネットで公開し、同種や類似の災害再発防止に役立てています。特に、災害発生状況や原因が「ESH監査規則」に定める「特別監査」の要件に該当した場合は、その事象の内容に応じて本社または事業本部にて特別監査を実施し、現地で要因と状況を把握した上で、再発防止対策の進捗や改善点の有無を確認しています。
労働災害発生状況
2023年(1月~12月)は、社員および請負社員において死亡労働災害の発生はありませんでした(請負社員含め過去6年間死亡災害ゼロ)。2023年(1月~12月)の全労働災害度数率は1.09(国内0.93)となり、目標の「1.0以下」を達成することができませんでした。
休業災害度数率及び全労働災害度数率
- *休業災害度数率は、100万労働時間当たりの休業災害者数を示す(1月~12月で算出)
- *全労働災害度数率は、100万労働時間当たりの従業員休業と従業員不休業の全災害者数を示す(1月~12月で算出)。従業員は、社員、嘱託、パート、派遣社員を含む。2022年より保証対象
- *2024年1月に全労働災害度数率の2021年度数値を修正