イノベーション

機能性極細カーボンファイバー

モバイル機器から電気自動車まで、市場が急拡大しているリチウムイオン電池。このリチウムイオン電池には、充放電速度、電池寿命などの特性向上を目的として、カーボンブラックなどの粒子状炭素に加えて、カーボンナノチューブ(CNT)などの繊維状炭素が、一部使用されています。
テイジンは、長年培った繊維加工技術を駆使して、新たな繊維状炭素「PotenCia®(ポテンシア)」を開発しました。

導電ネットワークを引き出す繊維状炭素

テイジンが開発した繊維状炭素「PotenCia®(ポテンシア)」は、従来のカーボンブラックやCNTなどの材料に対して、①繊維が長く、②分散性が高く、③結晶性が高い(電気抵抗が小さい)などの特徴を有しており、リチウムイオン電池に適用することで、さらなる高性能化が期待されます。特に、リチウムイオン電池の高容量化のニーズに対して、従来よりも電極を厚くする開発方向性が出てきており、「PotenCia®(ポテンシア)」の特長が活かせる結果*も確認されています。今後も、テイジンはリチウムイオン電池の各メーカーに対して、採用に向けた提案を進めていきます。

  1. *電気化学会第81回大会, 2Q12 カーボンナノファイバーの厚膜正極の出力改善効果(帝人)○谷内一輝, 小村伸弥, 平川亮太, 大道高弘, 城尚志

「PotenCia®(ポテンシア)」使用リチウムイオン電池イメージ

製造方法

ポリエステル繊維などの一般的な溶融紡糸では、1成分の原料を元に成形しますが、テイジンの繊維状炭素は溶融紡糸の技術を応用し、炭素の元となるピッチ及び成形助剤のポリエチレンの2成分を用いて成形していきます。
まず、溶融混練により、ピッチをポリエチレンに分散させ(1)、この混錬物を繊維に成形することで、極細の繊維状ピッチが含まれたポリエチレンの糸を成形します(2)。この方法により、単独では成形できなかった極細の繊維状ピッチを、安定して成形することができます。
ポリエチレンは熱分解によって除去できますが、その際に、ピッチも熱変形してしまうこと(熱可塑性)から、このままでは、繊維状ピッチを取り出すことが出来ません。そこで、ピッチを選択的に変性させる処理(3)を施すことでポリエチレンを熱分解除去(4)を可能にし、繊維状ピッチの取り出しを実現しました。最後に、繊維状ピッチに熱処理(炭素化、黒鉛化)を行い(5)、導電性を有する繊維状炭素、テイジンの繊維状炭素が完成します。



一般に、CNTは、製造工程で金属触媒を用いることから、リチウムイオン電池など、金属成分を嫌う用途では、残存金属が問題になることがありますが、テイジンの繊維状炭素は、製造過程での金属混入がなく、非常に純度の高い炭素材料を得ることができます。また、ポリエステル繊維などを製造する、溶融紡糸の技術をベースとしており、高い生産性を実現できる可能性があります。

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