CROSS TALK

リケジョ座談会

自分らしさが広げていく、
リケジョたちの
しなやかな未来。

Profile

妙摩 博美
帝人ファーマ株式会社 医薬第1開発部
2005年入社
生命理工学研究科 生命情報専攻
伊藤 絵里香
エンジニアリング管理部
2010年入社
自然科学研究科 物質工学専攻
浅野 宥里
データソリューション事業開発部 兼 医療技術研究所
2018年入社
システムデザイン研究科 知能機械システム学域

兼務。採用。組織整備。
すべてエンジニアのキャリア。

現在の仕事内容を教えてください。

浅野:私は2つの部署を兼務しています。ひとつは医療技術研究所。さまざまな疾患を抱えた患者さんの声を現場で集め、その困りごとをレーザーや光などの物理刺激で解決できないか、仮説と検証を繰り返しています。もうひとつはデータソリューション事業開発部。IT技術を駆使した新しいヘルスケアサービスについて検討しています。ひとつの医薬品や医療機器だけでは解決できない課題に対して、医療の仕組みから変えていくような大きな絵をワクワクしながら描いているところです。

兼務のきっかけは何だったのでしょう。

浅野:事業部横断のワークショップがあり、そこで私が提案したテーマがデータソリューション事業開発部に採択されたんです。今後はそちらにも関わっていくうえで、兼務という形にしたほうがしっかり評価してあげられるから、と上司から助言を受けたのがきっかけですね。すごくありがたいアドバイスでした。入社から今日までの4年間、やりたいことをやらせてもらってきましたが、さらにその幅を広げられるとは思ってもいませんでしたから。

伊藤:私はエンジニアの採用と教育を担当しています。採用業務では、学生さん向けのイベント企画や面接を担当するほか、配属先の調整も行っています。配属された新入社員の上司から「○○さん、がんばってるよ」という言葉を聞いたり、楽しそうに業務に打ち込んでいるご本人の姿を見たりするのが何よりのやりがいですね。教育業務としては、若手から中堅、ベテランまで、エンジニア向けの研修を幅広く担当しています。私自身もエンジニアとしてはまだまだ勉強中ですし、研修とは一朝一夕に成果が出るものではありませんから、自分の進めていることが正しいのか不安になることもあります。それでも、事業戦略に基づいてテイジンらしいエンジニアの理想像を描き、研修を企画することに手応えを感じています。

採用と教育に関わるのは、エンジニアのキャリアとしては珍しいですね。

伊藤:はい、今は私1人だと思います(笑)。じつは私も浅野さんと同じく、きっかけは上司からの打診でした。設備設計として8年間の経験を積んだ後、現在の部署であるエンジニアリング管理部への異動を提案されたんです。エンジニアリング管理部といえば、経営に近いポジションで会社全体の動きを俯瞰できる部署。若いうちにそういった視点を身につけてほしい、という親心だったのかもしれません。とはいえエンジニアとしては想定外のキャリアですから、いろいろと悩みました(笑)。それでも最終的には、長いテイジン人生の中でちょっと違った経験をしてみるのもいいか、と決心しましたね。

妙摩:私の仕事は、開発中の医薬品についての安全性評価です。医療機関から収集された臨床試験情報をもとに、治験薬との因果関係を評価したり、治験薬の安全性プロファイルを検討したり。プロジェクトマネージャーをはじめ、開発担当者、統計解析担当者、データマネジメント担当者、開発薬事担当者、市販後の安全性担当者など、非常に多くの方々と連携しながら進めています。医薬品には必ず副作用がありますが、それがどの程度のものなのかを適切に評価し、リスクを最小化することがとても大切です。安心して服用できる医薬品を患者さんに届けるために、必要不可欠な業務に関わっていることがとてもうれしいですね。また、業務をより効率的に行うための体制整備や組織整備も担当しています。

体制や組織の整備とは、どんな業務があるのでしょうか。

妙摩:最近の例として、安全性評価資料の電子媒体化があります。それまでは紙媒体で行っていたため、出社しての作業が不可欠でした。ところがコロナ禍で、出社の機会が2週間に1回くらいにまで激減。テレワークでも扱えるように大急ぎで電子媒体化を進めました。時間がなくて大変でしたが、やりがいはとても大きかったですね。

テイジンのエンジニアに、はじめから男女差なし。

テイジンを志望する際、女性の働きやすさを重視しましたか?

浅野:正直に言うと、まったく気にしていませんでした(笑)。学生時代もまわりに女性が少なかったんですが、それほど過ごしにくいとも思っていなかったので。ただ、歴史のある会社だからこそ、ちょっと堅いかもしれないとは思っていました。すべてにおいて仕事が最優先で、よっぽどのことがなければ休めないような社風を想像したこともありますね。

実際にはどうだったのでしょう。

浅野:イメージとは完全に真逆でした。たとえば男性の部長が、午後3時くらいに「子どもが熱を出したから」と帰っていくことが当たり前なんです。男性社員が育休を取ることも当たり前ですし、周囲もごく自然にそれを受け入れています。部署に若い人が多いせいもあるかもしれませんが、「育児は夫婦でするもの」という意識を誰もが持っていて、そのためにちゃんと制度を使っています。いい意味でのギャップがすごかったですね。私は今のところ、そんなにはっきりとしたライフプランは描いていないのですが、この環境ならどう転んでも何とかなるだろうと思っています(笑)。フレックス勤務やテレワークが浸透しているので、体調が優れない時、働く時間や場所を調整しやすいのも嬉しいですね。

伊藤さんは2010年にご入社されていますが、その当時と比べていかがですか?

伊藤:当時は女性エンジニアのほとんどが本社配属だったんです。工場などの事業所はまだまだ男性が中心という時代でしたから、本社配属のほうがフォローしやすいという配慮だったんだと思います。それでも私は、自分から希望して松山事業所に配属されることになりました。

なぜ事業所に行きたかったのですか?

伊藤:エンジニアとして、自分が手がける本物のプラントを目の前にしながら勉強したかったんです。工学部出身ですから、女子トイレを見つけるのにさえ苦労する環境には慣れていましたし(笑)。もちろんあくまで10年前の話で、今ではそんなことありませんが。

自分しか女性がいない環境で、苦労はしませんでしたか?

伊藤:ヘルメットをかぶっている女性社員は珍しかったので、かえって覚えてもらいやすかったんじゃないでしょうか。今でも「あの時、松山にいたよね」と声をかけられるくらいです。エンジニアは人とのつながりが大切な仕事ですから、得をしたような気がします。女性エンジニアが見慣れた存在になった今では、もう通用しないかもしれませんが(笑)。また、エンジニアというとなぜか体力勝負だと思われがちなんですが、少なくともテイジンのエンジニアはそうではありません。理論的に考え、実行し、いずれはプロジェクトをマネジメントする立場へと成長していく。そもそも、男女差にとらわれることなく活躍できる仕事なんです。その点ではまったく苦労は感じませんでしたし、そこは今も昔も変わらないよさだと思いますね。

10年で、完璧に近づいた制度。

妙摩さんは、2度の産休・育休をご経験されていますね。

妙摩:入社5年目と10年目に取得しています。やっぱり1度目は不安でした。初めてのことでもあるし、当時はまだ周囲に経験者が少なくて。今だから言えますが、制度も細かいところでは現実と噛み合っていない部分があったのかもしれません。それに、復帰後は担当業務も大きく変わりました。産休前は飛行機であちこちを飛び回るような出張の多いスタイルでしたが、戻ってきてからは部署こそ変わらないものの、内勤がメインになりました。当時はそれが普通だったんですね。やりにくさも感じましたが、復帰社員のロールモデルになろうと奮闘していたことを覚えています。

現在はだいぶ変わったのでしょうか。

妙摩:まったく違いますね。まず部署内に子どもを持つ女性社員が増えて、雰囲気がすっかり変わりました。私のグループには子育て中の女性社員が4人いて、子どもの話で盛り上がっています(笑)。復帰前後でまったく同じ業務に就くことも当たり前になりました。育休・産休からの復帰者が増えるうちに、それでも問題ないことがわかってきたんだと思います。もちろん、周囲のサポート体制がしっかりしてきたこともあります。制度についても、昔は自分で改善に関わりたいと思うくらい気になる点があったのですが、この10年ですっかり解消されました。

先ほど「ロールモデル」という言葉がありましたが、後輩にとっても頼もしい存在ですね。

妙摩:復帰直前の後輩から相談を受けることはありますね。「時短はどれくらいに設定するのがいいのか」とか「評価に響いてしまわないか不安だ」とか。私自身の実体験をもとに答えるようにしています。ちなみに、評価に影響することはなかったですよ(笑)。

浅野:私の部署はちょっと特殊なくらい若手が多くて、育児経験のある総合職がいないんですよ。そこはちょっと不安ですね。

妙摩:浅野さんはもう少し年次が上がると、女性総合職向けのキャリア研修に参加する機会もあると思います。そういう場で、出産や育児についての情報交換をすることも多いですよ。

リケジョの数は、未来の数。

これから先、テイジンでやってみたいことを教えてください。

浅野:まずは、現在の部署でできることに全力を尽くしたいですね。自分自身が発掘した患者さんの困りごとを解決するサービスや製品を、自分自身の手で実現し、患者さんに届ける。その一連のプロセスを経験してみたいと思っています。

伊藤:いずれは、エンジニアとして第一線に戻りたいです。ここ数年、設備には触れていないのですが、採用活動や教育業務を通じて、テイジンにおける理想のエンジニア像について深く考えることができました。それを私自身が体現できたらいいですよね。また、多くの人を巻き込みながら業務を進めるスキルも磨いてきたので、その経験を活かしてプロジェクトマネジメントにも挑戦してみたいと思います。

妙摩:テイジンの魅力のひとつは、いろいろな事業や職種があることだと思います。今の私は医薬事業に所属して安全性情報管理の仕事に携わっていますが、じつは「業務効率化」という概念が好きで、そういった観点から業務改善に取り組んできました。RPAやAIの導入も進む今、医薬事業だけに留まらず、会社全体の業務効率化に関わる仕事にも挑戦してみたいなと考えています。……でも、今の仕事も大好きなので、そっちを極めていくのもいいなと(笑)。

圧倒的な「人のよさ」を伝えたい。

「リケジョ」の就活生に対して、メッセージをお願いします。

浅野:入社して実感したテイジンのよさは「誰でも、聞いたら教えてくれる」ことです。一言でいってしまえば「人がいい」。窓際の、偉い人の席に座っているような人であっても、聞きたいことがあれば必ず時間をつくってくださいますし、「あれ、どうなった?」と気軽に話しかけてくださいます。そんな風土があるからこそ、女性でも若手でも臆することなく手を挙げて、挑戦を重ねていけるんだと感じています。ただ残念なのが、コロナ禍の就職活動では、そのよさがなかなか伝わりにくいことですね。機会は限られるかもしれませんが、もしテイジンの社員に対面することがあれば、気軽に逆質問をぶつけてみてください。きっと丁寧に答えてくれますし、テイジンの「人のよさ」もわかるはずです。

伊藤:採用活動をしていると、テイジンに惹かれた理由として、人の魅力を挙げる学生さんがとても多いんです。人はもちろん、事業もエンジニアとしての仕事も面白いので、ぜひそっちも注目してほしいです。……と言いながらも、最終的には私も、人が本当に魅力的だというところに帰着するんですよね(笑)。テイジンが持つ技術についても、それを熟知する人の深い話を聞くことで、すごさや楽しさに気づけるように思います。それから、繰り返しになりますが、テイジンは本当に男女関係なくやりがいを感じられる舞台です。少しでも興味のある方は、ぜひ視野を広げて企業研究してみてください。

妙摩:リケジョのみなさんの中には、自己アピールがちょっと苦手だな、と思っている方もいると思います。私もそういう1人でした。就活でも自分を積極的にアピールすることができず、挫折しかけました。そんな時に出会ったのがテイジンです。テイジンの人たちは面接で私に温かく向き合い、よさを自然に引き出してくれました。入社してからも、中には風変わりな人もいますが(笑)、やっぱり温かな人であふれた会社だと実感しました。みなさんも、いつか自分に合う会社に出会えるよう、まずは学生時代を一生懸命にすごしてほしいと思います。ぜひ自分を信じて、がんばってください。