日本の森を、
炭素繊維で救う。
日本の国土面積のうち、約67%が森林です。さらにその18%がスギの人工林です。戦後の資材不足を解決するために大量に植林されたスギですが、すでに伐採適齢期を過ぎているにも関わらず、放置されているケースは珍しくありません。剛性の低いスギは建築構造材として使いにくく、安価で性質のいい輸入木材に需要を奪われてしまったためです。
森林が手入れされなければ、洪水や土砂災害、二酸化炭素濃度の上昇といった環境問題につながり、林業、ひいては地方経済の衰退も招きます。2009年、農林水産省は「10年後の木材自給率50%以上」を目標に掲げましたが、2019年の木材自給率は37.8%。ゆるやかに回復してはいるものの、目指す姿には届いていないのが現状です。
私は木材活用をテーマのひとつに掲げ、ソリューション開発に着手していました。その時、上司がこう教えてくれました。「テイジンは過去に、炭素繊維による木材の補強を検討していたことがある」と。ただし当時のテイジンは、素材(材料)を開発して加工メーカーや部品メーカーに販売するというビジネスモデルがメインでした。したがって木材加工、さらには建築物への活用というのは当時の事業戦略に当てはまらず、事業化までは至らなかったようです。けれど、ソリューションそのものを届ける今のテイジンなら、きっと実現できるのではないか。そう考えたことが、炭素繊維と木材のハイブリッド集成材「LIVELY WOOD」のスタートでした。