CROSS TALK

ヘルスケア営業座談会

患者さんのために。
その想いでつながる、
チーム医療の一員として。

Profile

青栁 裕人
帝人ヘルスケア株式会社 東京支店
2012年入社
商学部
長谷川 志朋
帝人ヘルスケア株式会社 東京支店
2018年入社
薬学部
福嶋 晴華
帝人ヘルスケア株式会社 東京支店
2004年入社
健康保健学部
森 雄陽
帝人ヘルスケア株式会社 東京支店
2019年入社
政治経済学部
出川 直樹
帝人ヘルスケア株式会社 東京支店
2012年入社
経済学部

医療者の想いを理解し、支え続ける。

現在の仕事内容を教えてください。

出川:在宅医療機器の営業をしています。扱っているのは、慢性呼吸不全の方が使用する在宅酸素療法(HOT)、睡眠時無呼吸症候群の治療用のCPAP装置、より重症の呼吸不全・心不全の方が使用する人工呼吸器(NPPV・ASV)など。主に医療機関の医師が対象ですが、医療は多くの方の連携のうえに成り立つものです。看護師、臨床工学技士、臨床検査技師、理学療法士など、さまざまな医療者へのアプローチが非常に重要ですね。「患者さんのために何ができるか」という大きな目標を医療者と分かち合い、テイジンとしてできることを考え抜き、状況に合わせた最善の提案を行っています。

森:私も在宅医療機器の営業です。出川さんと同じく、医療者の「患者さんのために」という意志に寄り添うことを大切にしています。一方的に売り込むのではなく、医療者が患者さんに何を提供したいのか、具体的なイメージをヒアリングによって明らかにしながら、テイジン製品の意義を伝えていくよう心がけています。また、テイジンの製品やサービスを採用していただくことで得られる収益についても説明を行い、クリニックや病院の経営に貢献できる面白さも感じています。

長谷川:私はMRとして、医薬品についての有効性や安全性についての情報提供を行っています。主な製品は、高尿酸血症・痛風治療剤の「フェブリク®」や、骨粗鬆症治療剤の「ボナロン®」、鎮痛消炎剤である「ロコア®テープ」など。医師を始め、薬剤師や看護師といった幅広い職種に対して情報提供を行うところは、在宅医療機器と共通していますね。また、情報を発信するだけではなく、マーケットの状況や副作用に関する情報収集も常に行っています。MRは営業職ではありますが、向き合う医療者の先には患者さんがいます。そのことを常に意識して、患者さんの役に立つ行動が取れるように心がけています。

青栁:私もMRです。仕事のテーマにしているのは「人と人を繋げる」ことです。ITが発展した今、MRの存在意義とはただ情報を届けることだけではなく、医療者を中心としたコミュニケーションの場を生み出し、その先にいる患者さんに貢献することだと考えています。これまでに、前担当地の埼玉県では県全体の医療者を対象とした骨粗鬆症領域における研究会の立ち上げをし、現担当地の東京都では、視神経炎の患者さんの早期治療介入の為に、大学病院と地域の脳神経内科と眼科を対象にWEB講演会を実施しました。このような活動の目的はテイジンをアピールすることではなく、専門医による適切な情報提供を通じて医療者同士をつなげ、治療の充実をサポートすることです。コロナ禍によってできることは少なくなっていますが、WEBツールも積極的に活用しながら、患者さんのために、医療者のためにできる事を考え、実践しています。

福嶋:出川さんのお話にも登場しましたが、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療法としてCPAP療法という鼻にマスクを装着し、気道がふさがらないように空気を送り込むものがあり、テイジンではその機器(CPAP装置)を扱っています。その普及のために、SAS検査施設「スリープラボ」の立ち上げ支援を行っています。医療機関の医師や検査技師に検査機器を紹介するほか、さらに幅広い医療者も巻き込みながら、検査体制の構築や他施設との連携診療についても提案します。マーケティングや戦略立案といった営業的な側面もあるのですが、医療資格を持つ者として、患者さんや医療者の立場をより深く理解したうえで業務を行うことができます。複数の医療機関を担当するので、より多くの方々のお役に立てることもやりがいですね。

誰もが新人時代に経験する「ギャップ」とは。

若手の営業お2人にお聞きします。仕事に慣れるまで、どんな苦労がありましたか。

長谷川:私がつまずいたのはMR研修と現場とのギャップですね。MR研修自体はとても充実したものです。医療や製品についての基礎知識を1からインプットできるのはもちろん、それを面談の場でどうアウトプットするかも、ロールプレイングを通じてしっかり学ぶことができます。けれど実際の現場では、医師のタイプによって話し方から変えていく必要がありますし、イレギュラーな出来事も次々に起こる。最初は対応力が追いつかず、落ち込みましたね。

森:私も長谷川さんとまったく同じ壁にぶつかりました。在宅医療機器の知識は身についていても、医療者の性格に合った伝え方をするのがとても難しい。しかも医療者のみなさんは忙しいので、時間も限られています。なかなかうまくいかなくて、知識だけでは追いつかないことを痛感しました。

こうした悩みに対して、先輩のお2人ならどうアドバイスしますか。

出川:若手の誰もが通る道かもしれませんね。知識をインプットしたばかりなので、どうにか披露したいという気持ちが先走ってしまう。緊張していて、喋り続けていないと不安になることもある。けれど私たちの仕事は、話すことではなく、相手に話してもらうことなんです。医療者が抱えている課題を引き出し、それに対して答えを提示するほうが実りある面談になりやすい。自分は聞き役であるという意識を持つといいですね。……というアドバイスを、私は森くんのチューター(教育係)だったので、まさに森くんに話しましたね(笑)。

森:はい。とても助かりました(笑)。

青栁:大学生までは、年上の話し相手といっても1個上くらいの先輩が中心です。一方MRとして最初に担当する開業医の先生方は、40代、50代くらいの方々が多い。20歳近く年齢が離れている上に、みなさん医療のプロです。そのような方々と仕事で接することになれば、コミュニケーションがうまくいかなくても当たり前だと思います。研修で一生懸命頑張ってきているので自信もあり、実際の現場とのギャップに戸惑ってしまうんです。私も経験してきたことのなので、新人は失敗して当然だと考え、一日の訪問目標を決める等、場数を踏むことを意識して行動し続けることが大切だと伝えています。経験を重ねていくことで医療者とのコミュニケーションにも慣れ、情報提供の質も高まっていくと思います。

今のお話は営業のケースでしたが、臨床検査技師の場合はいかがでしょうか。

福嶋:私たちの場合、面談の相手も同じ臨床検査技師であることがほとんどなので、営業よりは話が早いかもしれませんね。とはいえ、新人時代は資格を取ったばかりで実務経験もなく、もちろん社会人経験もなく、医療者との会話についていくのにやはり苦労した記憶はあります。経験によって自信を深めていくのは、職種に関係なく同じなんでしょうね。

出川:苦労するのは、新人のうちから仕事を任されることの裏返しかもしれませんね。医療機関の中でも最大級といえるのが大学病院ですが、その大学病院を1年目で任された時には「まさか」と思いました(笑)。大変なことになったと思う反面、モチベーションがかなり上がったことを覚えています。さまざまな条件が重なってのレアケースではあったのですが、少なくとも「年次が高くなければ大病院は担当できない」ということはないですね。

森:私も研修を終えてすぐ、規模の大きな医療機関を引き継ぎました。若手にもパッと任せるような傾向は確かにあると思います。

チームプレーとポートフォリオ。テイジンの強みを、さらに強く。

仕事の際は、個人で動くことが多いのでしょうか。

森:いえ、その反対です。在宅医療機器の営業活動においては、ケア職やナース職など、さまざまなプロフェッショナルとどう協働するのかも重要なポイントです。たとえばある患者さんのケースでは、患者さんが人工呼吸器をうまく使うことができず、ご本人もご家族も、主治医の先生も困っていらっしゃいました。この分野ではテイジンのナースがプロフェッショナルなので、私はすぐさま協力を仰ぎました。患者さんのご自宅を訪問してもらい、現場で得られた情報を元に主治医とナース、私の3者で対策を協議。人工呼吸器の設定を変更した結果、快適に使用いただけるようになりました。患者さんからも主治医からも、チームプレーを評価されたのが非常にうれしかったですね。

出川:チームプレーといえば、医薬品担当者や学術支援担当者に支えられて新規開拓を行ったことを思い出します。未開拓だった診療科へアプローチするにあたり、まずは医薬品担当者の力を借りて面識のなかった医療者へつないでもらいました。1年かけてじっくり関係を構築したのですが、いざ提案という段になってまさかの準備不足が露呈。どうにか再挑戦のチャンスをいただいたものの、準備を整えるには英語の論文を大量に読み込む必要がありました。そこで今度は学術支援担当者に付きっきりでサポートしてもらい、無事に提案を乗り切ったんです。その後、少しずつ提案の成果も現れています。こうして思い返しても、本当に感謝の気持ちしかありません。

福嶋:私は出川さんと同じ医療機関を担当していますが、商談の窓口としてまだ若いのにリードしながら進めてくださって、業務を完結するためにはなくてはならない存在だと思っています。

出川:うれしいな(笑)。こちらこそ、福嶋さんの臨床検査技師としての知見には非常に助けられています。それぞれの得意分野を活かしながら、まさにチームプレーで動いていますね。

福嶋:臨床検査技師は、支店の垣根を超えた「技師会」を定期的に開いています。それぞれの経験を共有することで、自分自身の経験値を増やしていくという取り組みです。こんなふうに同じ職種同士が連携するのも、広い意味でのチームプレーですよね。普段の業務でも、困ったことがあれば社内のチャットツールで応援を求めることができます。

長谷川:MR同士も、拠点をまたいでの情報共有はときどきありますね。ただ正直なところ、在宅医療機器の営業に比べれば職種間の連携は少ない。むしろ、1人できちんと対応することで医療者の信頼を得ているように思います。

青栁:そうですね。MRは個人商店に近いと思います。けれど今はちょうど、在宅医療機器と医薬品の営業を統合している最中です。出川さんや森さんが実践しているチームプレーを、MR出身者も取り入れていこうという意識は高まってきています。在宅医療機器の営業としてはもちろん、医薬品においても「一人ではできないことが全員ならできる」というシーンはきっとあるはずだと思います。

ゆくゆくは、在宅医療機器と医薬品の両方を、全員が営業できるようにするのですね。

青栁:はい。これまではそれぞれ担当が分かれていたのですが、両分野を全員が手がけ、しかもクオリティを落とさないというチャレンジングな体制変更が進んでいます。私たちMRの場合、患者さんとのやりとりなど経験したことのない種類のコミュニケーションを学ぶのがなかなか難しいですね。けれどこの体制変更によって患者さんのためにできることがさらに増えるはずですから、前向きに頑張っています。

出川:在宅医療機器を担当してきた側からすると、MRの資格取得のために1から知識を身につけるのが大変です。森くんのようにまだ若くて、頭が柔らかい人なら何てことないのかな(笑)。

森:在宅医療機器についても学んでいる最中ですから、さらに覚えることが増えたという感覚ですね(笑)。

長谷川:大変なことも多いのですが、その分、必ずテイジンの優位性につながっていくと信じています。在宅医療機器と医薬品の組み合わせは、他社には見られないものですから。先日、在宅医療機器の営業と同行したんですが、医薬品の説明をしてもリアクションの薄かった医師が、患者さんの話を出した途端に身を乗り出したんです。こちらの引き出しが増えることで、医療者の、ひいては患者さんの期待にますます応えられるのではないかと思っています。

福嶋:臨床検査技師としても、MRの情報収集力を活かすことで新たな診療科にアプローチでき、SAS(睡眠時無呼吸症候群)の啓発活動をこれまで以上に広げられるなどのメリットをすでに感じています。意義の大きな取り組みだと思いますね。

エッセンシャルワーカーとしての意識を持って。

最後に、ヘルスケア営業職のやりがいを改めて聞かせてください。

福嶋:私が達成感を感じるポイントは2つあります。ひとつはチームプレーで何かを成し遂げた時。他社と競合する中で、営業さんとタッグを組んで提案を行い、受け入れられると嬉しいですね。もうひとつは、私が提案した検査の実行を通じて、医療機関の検査技師さんがやりがいを感じてくださった時。普段から周囲の人に助けられて仕事をしているので、恩返しできることに喜びを感じます。

長谷川:自分の存在意義を感じられることが嬉しいですね。私が担当している医薬品はすでに普及が進んでいて、有効性についての情報も広く行きわたっています。改めてその説明をしても医師に関心を持たれないことが多く、悩んでいました。ある時、有効性ではなく安全性をテーマに話してみたところ、非常に熱心に聞いていただけて感謝もされました。インターネットで調べればわかることも多い今、何を伝えるべきかをしっかりと考え、医療者に貢献することにMRの存在意義があるのかなと思います。

青栁:長谷川さんの言う通りで、現在はインターネットで簡単に医薬品の情報を手に入れる事ができます。その中で、いかにMRの存在意義を打ち出していくか。先ほども話したことですが、私は介在価値を重視しています。講演会や研究会を立ち上げ、医療者同士のコミュニケーションを生み出すことで疾患や治療についての啓発活動を盛り上げていく。さまざまな医療機関とつながりのあるMRが介在するからこそ、できることです。このような取り組みにやりがいを感じますし、これからも力を入れていきたいです。

森:私はなんといっても、患者さんと接する機会があることにやりがいを感じます。決して多くはないのですが、限られたそのタイミングで患者さんから感謝の言葉をいただけると本当に嬉しい。自分にとって仕事の大きな原動力になっています。患者さんに喜んでいただくことで医療者にも喜んでいただけますし、すべてを患者さんを中心に組み立てられるところはこの仕事のよさですね。

出川:私たちのように、エンドユーザーである患者さんの情報を医療者と共有できる業種は限られています。その分、医療者からの期待はとてつもなく大きく、ミスは許されません。けれど、チーム医療の一員として仕事ができることは大きなやりがいです。コロナ禍で経済にブレーキがかかりましたが、在宅医療機器においては変わることなく新規ユーザーが増え続けているものもあります。医療に不可欠な製品を届けているという意味では、おこがましいかもしれませんが、私たちもまたエッセンシャルワーカーであるという意識を持って仕事に取り組んでいます。これから入社する方にも、ぜひこのやりがいを感じていただきたいですね。