INTERVIEW

技術系
携帯できる医療機器で、
自由を広げる。
在宅医療の可能性が広がる。
メディカルエンジニア職
2016年入社
電気電子工学 専攻

専門家のいない自宅でも、安全な医療機器を。

テイジンを選んだ理由を教えてください。

学生時代、ドクターと共同で携帯電話の電波が人体に与える影響を研究しました。その経験から、医療機器に興味を持ったんです。医療機器には、病院だけでなく家庭で使用される機器もあります。家の中には、非常に多くの電波が飛び交っており、その状況下でも安全に動作する在宅医療機器に興味を持ちました。そんな機器を開発しているテイジンの技術力を使って、新たな機器を開発できるならやりがいも大きいだろうと思いました。開発から製造まで手がけられること、実際に使用している患者さんの声を聞く機会があることも魅力的でしたね。

現在、どんな開発に携わっているのですか。

在宅医療機器のひとつに、酸素濃縮装置があります。慢性呼吸不全の患者さんに必要な酸素供給を、自宅で行えるようにしたものです。据え置き型と携帯型がありますが、私が携わっているのはより小型で軽量な次世代の携帯型。バッテリーパックやアダプターなどの電源部分を担当しています。患者さんのご自宅という専門家の管理が及ばない場所で使われるものですから、安全性には特に配慮して開発しています。電源の小型化と容量確保の両立も大切なテーマですね。

電源開発はどのように進んでいくのでしょうか。

バッテリーパックに使用するLi-ion電池は外部のメーカーに開発を委託しています。テイジンが提示したスペックに基づいて提案を受け、そのアイデアをさらに洗練させていくんです。安全性やサイズ、容量など、配慮すべき点が多い分、メーカーとのやりとりもかなりの回数になりますね。アダプターに関しても海外のメーカーと協力しながら進めています。テイジンの意図と実物にズレが出ないよう、試作品をつくって具体的に指示を出したり、材質などを細かくチェックできるシートを共有したりと工夫を重ねています。

小さくなるほど、詰め込まれるこだわりは大きい。

ユーザーには高齢者が多いと思いますが、どのような配慮が必要ですか。

高齢の方でも「わかりやすいか」や「使いやすいか」という点には細心の注意を払っています。たとえば、バッテリー不足をどう伝えればもっともわかりやすいのか。残量が少なくなってきた時点でアラートを出し、完全に使えなくなる直前にまた別の形でアラートを出す……など、最善の形をソフトウェアの担当者とディスカッションしながら実現しています。

小型化・軽量化というところにも難題は多そうですね。

小さな筐体に必要なすべてを詰め込もうとすると、どうしてもパーツ同士が干渉しやすくなります。簡単に言えばスペースの奪い合いですね(笑)。このディスカッションはけっこう白熱することもあります。小型化・軽量化には、患者さんの自由を広げるという大きな意義があります。超高齢化社会の到来を目前にその意義はますます高まっていくはずですから、関わるメンバー全員がしっかり意見をぶつけ合いながら、よりいいものを開発するための努力を重ねています。

まさかの不合格。猶予は1日。

これまでで最大のピンチを教えてください。

医療機器を量産するには、外部機関による認証試験が必要です。その試験において、製品の一部が破損する不合格が出てしまったんです。液晶部分を見やすくするための材質変更が直前に行われており、そこを伝って静電気が内部に入り込んだことが原因でした。一報を聞いたときには青ざめましたね。短時間で解決できなければ開発プロジェクトが止まる。つまり、既存の部材を応用するしか手がない。症状を聞いて予測を立て、候補の部材をありったけかき集めて取り組みました。結果的に、どうにか1日で解決することができました。

その経験から、どんな学びを得たのでしょうか。

量産に移ることの難しさと、医療機器が背負う責任の大きさは改めて身に染みましたね。また、落ち着いて状況を俯瞰し、対策を立てることの大切さも学びました。ほとんどパニック寸前だった私ですが、上司から連絡があり、冷静なアドバイスをもらえたおかげで対処が可能になったのだと思っています。しかも、責められることはまったくありませんでした。あの時の上司の姿勢が、今の私にとって、ひとつのモデルケースになっています。

ONE DAY SCHEDULE

  • 7:30出社。作業服に着替え、本日の業務を確認
  • 8:00朝礼。電装メンバーと現状やスケジュールの確認
  • 8:30試験計画書や報告用の資料を作成。後輩の業務進捗相談
  • 10:00オンラインにて、依頼先の電源メーカーと規格試験に対する対策検討会議
  • 11:00オンライン会議で出た課題に対する対策検討資料を作成
  • 12:00昼食
  • 13:00部下と分担しながら試験系の組立・試験条件の調整を行い、試験を実施
  • 15:00上司や有識者と試験結果を共有し、今後の方針についての対策会議
  • 16:00測定で得られた試験データを基に、検討結果と効果に対するまとめ資料を作成
  • 18:00退社