専門家のいない自宅でも、安全な医療機器を。
テイジンを選んだ理由を教えてください。
学生時代、ドクターと共同で携帯電話の電波が人体に与える影響を研究しました。その経験から、医療機器に興味を持ったんです。医療機器には、病院だけでなく家庭で使用される機器もあります。家の中には、非常に多くの電波が飛び交っており、その状況下でも安全に動作する在宅医療機器に興味を持ちました。そんな機器を開発しているテイジンの技術力を使って、新たな機器を開発できるならやりがいも大きいだろうと思いました。開発から製造まで手がけられること、実際に使用している患者さんの声を聞く機会があることも魅力的でしたね。
現在、どんな開発に携わっているのですか。
在宅医療機器のひとつに、酸素濃縮装置があります。慢性呼吸不全の患者さんに必要な酸素供給を、自宅で行えるようにしたものです。据え置き型と携帯型がありますが、私が携わっているのはより小型で軽量な次世代の携帯型。バッテリーパックやアダプターなどの電源部分を担当しています。患者さんのご自宅という専門家の管理が及ばない場所で使われるものですから、安全性には特に配慮して開発しています。電源の小型化と容量確保の両立も大切なテーマですね。
電源開発はどのように進んでいくのでしょうか。
バッテリーパックに使用するLi-ion電池は外部のメーカーに開発を委託しています。テイジンが提示したスペックに基づいて提案を受け、そのアイデアをさらに洗練させていくんです。安全性やサイズ、容量など、配慮すべき点が多い分、メーカーとのやりとりもかなりの回数になりますね。アダプターに関しても海外のメーカーと協力しながら進めています。テイジンの意図と実物にズレが出ないよう、試作品をつくって具体的に指示を出したり、材質などを細かくチェックできるシートを共有したりと工夫を重ねています。